第301回「an弾手テレビ番組出演?の巻」その3

[2010.5.25]

 さてさて、前回は300回記念で皆様から頂いたメッセージに一つひとつ思いを込めてコメントを書かせて頂いたり、とりまとめてアップしたり、その後も何度も読み返して感慨に浸ったり(笑)。
 せっかく皆様からメッセージを頂いたので、1週間でバックナンバーに入れてしまうのも気が引けて、今回の更新を一週間延ばしてしまいました。すみません!

 前々回まで、2回に渡ってテレビ出演の話を書いてましたので、今回はその続きです。

 地元のKAB熊本朝日放送から出演と取材の依頼。大人になってからピアノを始めて、本を書いたり人前で弾いたりしているおじさんがいる、っていう話題での紹介らしい。
 実は前回のコラムの「ちょっと、ひと言」に書きましたように、もう放送日は過ぎてしまいましたので、ここからは出演後日談、ということになりますが。

 会社での本業の様子、自宅での練習の様子、そしてan弾手がらみでピアノを始めたあるおじさんの話題。こちらは楽器店のレッスン室を借りて2時間弱、実際にそのおじさんにレッスンをしながら収録。
 そして、5月3日。山都町・清和文楽邑のレストランでの収録。こちらは毎年、東京のフランス料理店からシェフを招いて地元の素材を使ったフランス料理のフルコースを食べる会があっているのですが、そこでのウェルカムピアノを毎回弾かせて頂いているのです。
 「当日はご参加のお客様へのインタビューもさせて頂きたいのですが」とテレビ局の方から事前にお話があり、ある女性にご相談しました。
 私の本の読者で、いつも私のピアノを楽しみにこの会にも参加頂いている方です。
 「ええ、今年も参加しますよ。インタビューもOKです」と快いお返事。
 「今回は主人と二人で参加します。次の日が主人の誕生日ですから、いい誕生日プレゼントになると思います」
 それは素敵ですね。私も一層気持ちを込めて弾かせて頂きます!

 で、当日は少し早めに取材の方も来られて現場で簡単に事前打ち合わせ。
 「ピアノのリハーサルはされないんですか?」
 「はぁ、特にリハーサルみたいなものは…。少し音を出してみて鍵盤の重さや音の響きを確認するくらいですかね〜」
 と言いながら軽く弾いてみます。1年ぶりのこのピアノ。すぐに感触は思い出しました。
 すると取材の方、
 「ありがとうございました。リハーサルって、じつはカメラのリハーサルをしたかったんですよ〜」って。
 会場内の色んな角度から、カメラテストをされたみたいでした。

 やがて、インタビューをお願いしていた女性の方が到着。取材の方にご紹介したら、
 「それじゃ、先にインタビュー収録しましょうか」
 ってことで、ピアノ経験や私の本での練習の感想、今日来られたいきさつなどをカメラの前でにこやかに話して頂きました。
 「先生の本で練習したら、自分でも何だか上手になったような気がして楽しくて。今日は、先生が実際どんな風に弾かれるか聴きたくて来ました」
 あの〜、先生、って誰?あ、私のこと?何か違和感があるんですけど(笑)

 やがて、開会30分前。ウェルカムピアノのスタートです。ご参加のお客様もほぼ揃われていて、皆さんピアノの方を注目されているので、何だかちょっとしたミニリサイタルみたいな雰囲気?
 外はまだ明るく、床から天井まで全面ガラス張りのピアノの背景には視界一杯に新緑の木々が広がっています。客席からの光景としては最高です。
 「あんまり真剣に聴かないでくださいね〜。どうか聞き流してくださいね〜」
 と言いながらピアノに着きます。

 持ち時間は30分。曲は主に拙著「お父さんのためのピアノ曲集〜憧れの洋楽スタンダード」の中から選んでみました。あらかじめ曲の時間を書いたメモ紙と小さなデジタルウォッチをピアノの上に置いて、弾きながら時間の経過をチェック。それぞれの曲の間にコード進行の即興弾きを軽く挟んで時間調整していくのですが、最後の曲を予定より1分早く弾き始めてしまって、29分で弾き終わってしまった!
 この間、テレビカメラは適当にあちこちから撮って頂いていたみたいでした。
 さて、どんな風に撮られたのか、ちょっと心配ではありますが。

 この後はまた日を改めて、今度はテレビ局でのスタジオ収録です。
 10分足らずの番組らしいのに、こんないっぱい撮るんだ。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 週末から激しい雨が降って梅雨の走りかという気配でしたが、昨日からはまた明るい日差しが戻ってきました。皆様の所はいかがでしょうか。
 さて、久々になりますが、近く上京することになりました。某出版社の方との打合せや日頃ご無沙汰ばかりの方へのご挨拶や交流などもできたらいいなあと思っています。
 6月の中頃、3泊4日の予定。ちょっと、楽しみ、です。

 
−an 弾手−


第302回「an弾手テレビ番組出演?の巻」その4

[2010.6.1]

 KAB熊本朝日放送から話があったテレビ番組出演の収録も、いよいよ大詰め。後はテレビ局でのスタジオ撮りを残すだけとなりました。金曜日夕方からのオンエア分をその週の水曜日の午後収録です。

 「12時半までに局に来てください。お弁当はこちらで用意しますから」
 とのことで、午前中の仕事を片付けてそそくさとテレビ局へ。
 受付で名前と用件を告げると、担当ディレクターの方が出てきて控え室へ案内してくださいました。部屋に入ると、同じ番組のもう一つのコーナーに出演される八代市の皆さんが大勢(10人位?)、先にお弁当を食べながら番組担当の方と打ち合わせ中。私は横の空いているテーブルに案内されます。まずは簡単にごあいさつと名刺交換(この方とは前日に電話では話していたのですが、お会いするのは初めてなので)。
 続いて、先日から何度も取材に来て頂いたレポーターの方も到着。さらに、楽器店のレッスン室でレッスン場面の収録に出演して頂いた例の「おじさん」も、今日はスタジオにも一緒に出て頂くということでご到着。出されたお弁当を食べながら、今日のスタジオ収録の大まかな流れについて説明を聞きます。

 「進行役のアナウンサーはあまり細かいことは聞きませんので、ピアノを始められたきっかけや実際にやってみられての感想や思いなど、好きなように話して頂いて結構ですよ」
 「えーっ、好きなように、って言われても〜。何をどう話したらいいんですかぁ?話のきっかけをアナウンサーの方に順序良く振っていただけませんか〜?」
 「それから〜、これって、事前収録ですよね。だから後でうまく編集して頂けるんですよね」
 「いえ、何回かリハーサルはありますが、本番は時間に合わせて一発撮りですから、後からの編集はありません」
 え〜っ!打ち合わせしながら、段々不安と緊張が高まってきます。大人のピアノについて、言いたいこと、伝えたいことは一杯あるけど、短時間でうまくまとめてしゃべれるかなぁ。

 「じゃあ、後はミキサー室で事前取材の映像を見ながら、打ち合わせしましょう」
 ということでミキサー室に移動です。
 司会役の若い美人の女子アナの方とディレクター、レポーター、おじさん、それに私、モニター画面のある部屋に入ります。
 先日からの取材の映像を約3分半に編集してありました。
 「番組の流れとしては、まず司会から今日ご出演のお二人をご紹介しますから、an弾手さんから簡単に自己紹介をお願いします。ここまで30秒ですね。
 それから事前収録の映像が流れます。まず清和物産館での場面です。このan弾手さんの演奏の映像に合わせて、これは何のイベントなのか、どうしてan弾手さんがここで演奏することになったのか話してください。その後お客様のインタビューシーンですね。
 次にan弾手さんの会社でのお仕事のシーン。本業は音楽と関係の無いお仕事、ってお話をしてください。
 続いてご自宅での練習風景。これは何をされているところですか?それと、大人になるまで楽器の経験はなかった、っていう話、ですね。
 はい、次は楽器店でのレッスン風景です。ここはおじさんの方に話を振りますから。やってみての感想などを話してください。
 はい、ここまでで4分です。続いてスタジオのカメラに戻ります。レッスン風景の話題に続けて、おじさんにはan弾手さんからレッスンを受けたきっかけや、やってみての感想を引き続き話してください。
 続いてan弾手さんにコード奏法についての話をお聞きしますね。ここで著書の本を広げて、コードの簡単な話ですね。えっと…、ページはどこがいいですかね。ここが映像的に分かりやすいですね。すぐ開けるように付箋紙を貼っておきましょう。
 その後は、最後のまとめに入りましょう。an弾手さんがピアノを始めてみて、どうだったか、何が変わったか、そして、これから、どんなことを目指していきたいか、などを話してください。はい、ここまでで7分です。
 では、タイムを計りながら、通してやってみましょう」

 ふ〜っ、一つひとつの話を10〜20秒単位で簡潔にまとめながら話して行くって、大変だぁ!もちろん手持ちの原稿なんてないし。ちょっとつっかかったり、次の言葉が出てこなかったり、同じことを繰り返したりしてるとすぐ時間が足りなくなって
 「はい、もう一度やってみましょう!」
 ってことになっちゃう!

 ひとしきりミキサー室での打ち合わせが済んだところで(自分の中では、ほんとはちっとも済んではいないんだけど…)
 「では、本番のスタジオに入ります〜!」
 ってことになりました。

 天井から照明のライトが一杯下がった広〜いスタジオに入ります。奥に、背景や椅子などを並べた番組のセット。フロアには何台ものテレビカメラ。それにヘッドセットのマイクをつけたカメラマンやスタッフの方たちが、えっ、こんなに?っていうくらい何人も!
 私の胸にもスタッフの方がピンマイクを付けに来ます。
 いよいよ、スタジオでの最終リハーサルです。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

今日から6月。この前ゴールデンウィークだと騒いでいましたがぁ。この調子だとすぐに暑中見舞いの季節になるんでしょうね(笑)
 ところで話は変りますが、先日、やっと歯の治療が一段落しました。手帳を見てみたら、2月から歯科医の予定を書いているので4ヶ月近くになりますね。以前歯科に掛かった記憶は確か中学か高校の頃なので、数十年振りの歯科医通いでした。
 あるのが当然、と、永年酷使してきた歯。でもちょっと支障が出たら毎日が苦痛と不便の連続。これからはもっと大切にしていかなくては、と振り返らせてくれたいい経験でした。

 
−an 弾手−


第303回「an弾手テレビ番組出演?の巻」その5

[2010.6.8]

 いよいよ、本番のスタジオに案内されました。
 天井から照明のライトがたくさん下がっています。フロアに何台ものテレビカメラ。そしてヘッドセットのマイクを付けたスタッフの人達が沢山!奥に番組用の背景と椅子のセット。
 同じ番組の最初のコーナーに出演する八代市の人達が、すでにハッピ姿で待機中です。
 「えーっと、どこに座ったらいいんですかね?」
 私は一緒に出演のおじさんとウロウロ。
 「まずは、ここに掛けていてください。それではマイク付けますね」
 そう言いながらスタッフの人がおじさんと私の胸にピンマイクを付けに来ます。
 椅子に掛けると、目の前の壁に大きなモニターテレビ。フロアにも可動式のラックに乗ったモニターテレビと大きな丸い時計。

 まずは最初のコーナー、八代市の人達の最終リハーサルから。
 「はーい、ではリハーサルいきま〜す!」
 と声を掛ける女性のスタッフ。この人がいわゆるフロアディレクター?。
 撮影中を示すカメラの赤いランプが点灯し、本番同様にアナウンサーと出演者がトーク。その様子が目の前のモニターに映っています。でも、出演の人、かなり緊張気味で舌が回らなかったり言葉が続かなかったり。「カット!」で中断する度に、お尻の下に敷いたカンニングペーパーを取り出しては話す言葉を確認されてます。
 そっかぁ、自分もカンニングペーパー作っとけばよかったかなぁ。さっきまでの打ち合わせの内容、もうすっかり飛んじゃって頭真っ白だ。
 とは言え、まだ自分の番じゃないので少しは気が楽です。前のグループのリハーサルの模様をしばらく見ているうちに、スタジオ内の業界用語(?)をひとつ発見。
 カメラが回り始めるまでのタイムの確認で10秒前からディレクターさんがカウントするのですが、その時の言葉。
 「はい、次は下から行きます!」とか、
 「はい、次は横から行きます!」とか
 「はい、次は上から行きます!」とか言うんです。
 この、下とか横とか、何?
 でも、何回か聞いているうちに想像がつきました!目の前に大きな丸時計があるんですが、その秒針が15秒あたりを刻んでいる時に「下から行きます!」と言われたら30秒の所からスタート!ってこと?30秒あたりを刻んでいる時に「横から行きます!」って言われたら45秒の所からスタート!っていうこと?らしい。
 で、10秒前からディレクターさんが「10、9、8、7、…」って大きな声でカウントし、最後の3秒は声を出さずに指を大きく折りながら合図です。カウントの声が収録の音声に入らないように、なんでしょうね。

 「はい、本番オーケーです!では、次のコーナーに行きます〜!」
 おっとぉ、後ろでキョロキョロ他人の収録風景を見てるうちに、遂に自分の番だぁ!
 前の席に移動して、アナウンサー、私、おじさんの順に並んで
掛けます。
 「では、リハーサルで〜す。下から行きま〜す!…10、9、8、7、6、5、4、(3)、(2)、(1)!」
 ディレクターさんの手がスッとこちらを指してカメラの赤いランプが点灯!同時にアナウンサーさんのMCが始まります。
 「では、次のコーナーです。40歳からピアノを始められて、今では教本まで書かれている、○○さんをご紹介します」
 と振られて、後は自分で自己紹介!……という具合で。
 途中何度か止まりながらも一通りコーナーの最後までたどり着き〜。ほっとする間もなく
 「では、本番行ってみましょう!」ってことに。
 本番撮りでは、隣席のおじさんも私も、何とか途中「カット!」にならずに通して収録して頂くことが出来ましたぁ。好リードのアナウンサーさん、ありがとうございました!

 時計を見たらもう4時半。昼、テレビ局に来てからもう4時間だ。何週間も前からの事前収録、事前編集など、トータルしたら一体何時間掛かってるの?こんな短い番組でもこれだけの時間と人手を掛けて制作されているんだ。何事も、外から見ているだけでは分からないことが一杯あるんですね。私自身の出演内容は別にして、今回は貴重な経験をさせて頂きました。
 私の知らない所で私の事を番組企画会議に出して頂いた方、事前収録で何度も足を運んで頂いたレポーターの方、私の突然の依頼にも快く出演を了解して頂いた「おじさん」、清和物産館フランス料理の会でのテレビ収録にご協力いただいた私の本の読者の方や当日ご参加の皆さん、館長さん、そして、番組制作の沢山のスタッフの皆様、ありがとうございました。

 で、肝心のオンエアは?
 2日後の夕方、一応、テレビを付けてはみましたが…。なんとも自分の恥ずかしい映像としゃべり。もっと自分を客観的に見て正さねば、と思い知らされたのも、まあ、いい経験になったかと…。

(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 いつもこのコラムお読み頂き、ありがとうございます。こちらは毎週火曜日(原則)更新にしているのですが、次週は私が東京出張中で更新はお休みとさせて頂きます。申し訳けありません。
 東京には去年も行きましたが、その時は別の所に行くのにバタバタと乗り換え・通過しただけ。落ち着いて上京するのは2年ぶりです。
 2年前と同じく、今回も東京・弾手の会の皆様が私の上京に合わせてわざわざ集まってくださるそうです。嬉しい限りです。3時間に及ぶ演奏会とその後の懇親会、皆様の素敵な演奏と笑顔にお会いできるのを楽しみにしています!

 
−an 弾手−


第304回「東京・弾手の会の皆様との再会〜の巻」

[2010.6.22]

 行ってきました。久し振りの東京。
 週末から九州は梅雨入り…、という天気予報を聞きながら「梅雨から逃げて?」羽田にやって来ましたが。3日目から東京も雨。梅雨前線に追いつかれてしまった(笑)

 それはともかく。実り多い3泊4日の「おのぼりさん」でした。今回メインの用件は某出版社との次の本の打ち合わせだったんですが、その他にも4日間、フルに有意義な時間を過ごすことができました。

 その一つが、東京・弾手の会の皆様との再会。今回も私の上京に合わせて皆さんが集まって頂き、音楽と笑顔に包まれた楽しい時間を過ごさせて頂きました。
 場所は渋谷区笹塚。今回の私の宿が新宿だったので、きっと私の都合を考慮して近くの会場を探して頂いたのでしょう。新宿から京王線で10分足らずでした。
 教えて頂いた住所から事前にgoogleのストリートビューで周りの風景を確認していたので、駅から会場までは見慣れた光景、迷わず到着です。便利な世の中ですね。

 予定の20分ほど前に会場に着いたら、すでに弾ディさん始め2年前にもお会いした懐かしい方が数名、会場の準備をされていました。
 「こんにちは!お久し振りです!」
 今回初めてお会いする方も。
 「はじめまして、an弾手です!」
 会場は中華料理店の貸切り。その一角にグランドピアノが置いてあります。
 「最初3時間が演奏会で、その後中華料理を食べながら懇親会になります」
 「an弾手さんには最初の方で20分、みんなの演奏の最後にもう一度20分、演奏をお願いしますね」
 は〜い、一応準備はしてきましたがぁ。計40分の演奏、さてどうなりますか…。

 やがて続々と皆さんがご到着。その中のお一人「ゆめびと」さん。いつもこの会では録音をやって頂いているらしいのですが、今日も大きな機材を抱えてのご参加です。
 「ピアノの音がよく録れるように準備してきました」
 と言いながら、スタンドマイクを2本、何やら機械につないでセッティング。
 お〜本格的!録音スタジオみたいです。皆さんの演奏を後で記念に頂けるのは嬉しいですが、自分のナンチャッテ演奏もしっかり証拠が残るんですよね〜って、複雑?でも後で自分の演奏を聴くのはとても勉強になるんですよね。

 やがて、大きなキャリーバッグを引いた方がご到着。何と、滋賀から来られたとか。遠路お疲れ様です!
そうこうするうちに予定の12人の方が揃われて会場もすっかりにぎやかになりました。中にはギターやウクレレのケースをご持参の方も。何が始まるのか、期待が膨らみます。
 (後で途中からもう1人ご参加。他に当日所要でどうしても参加できなかった皆様、また次の機会に、ですね!)

 さて、いよいよ演奏会の開始。幹事の弾ディさんの演奏から始まり、白と黒さんとお友達によるコードによる連弾の実演。そして私の1回目の演奏へと続きます。
 私は今回2回出番があるので、最初は洋楽を中心に6曲、後の出番では日本の叙情歌から入ってタイトルの関連した曲をつないで6曲、という構想です。

 まず最初はいつもながらダニー・ボーイで始めてみました。
 ところがっ!イントロ風のコード進行のところでいきなり指が回らずミスタッチの連続っ!何とも間の抜けた演奏開始になってしまいました。その後は何とか気を取り直して弾けた、かな?

 その後、次々に登場して弾いて頂いた皆さんの演奏。お一人お一人個性豊かで、ピアノって本当に弾き手の人柄が出るんだなあ、と改めて感じました。その実感を私は自分の2回目の演奏の前に皆さんにちょっとだけお話してみました。

 「少し前の私のコラムに『世界一、ということ』というのを書いたのですが、今日は皆さんの演奏を聴かせて頂いて改めてそのことを思っています。客観的な基準での上手下手ってあるかもしれませんが、これからショパンコンクールに挑戦するわけではないし、我々が暮らしの中でピアノを楽しんでいくにあたっては、やはりその人らしさや聴いてくれる人との関係、あるいはその場のシチュエーションで演奏の価値も変わるのではないでしょうか。その時その瞬間のその演奏が、聴いてくれているその人にとっては『世界一』になることだってあるかもしれないですね」

 言葉は少し違っていたかも知れませんが、そんな意味のことを言ったように思います。
 私の急な上京の予定に合わせてこんな素敵な会場を探して頂き、急遽集まって頂き、こんなに和やかな雰囲気の中で皆さんの演奏を聴かせて頂いて、本当にその時の皆さんの演奏は私にとって「世界一」だったのですから。

 最初は結構長丁場だと思った3時間の演奏会、そして2時間の懇親会。過ぎてみたらあっという間でした。
 食事をしながら熱心にコード談義を交わして頂いた方、「ここにサインを」と私の本を持参して頂いた方、また、「一緒に写真を」と交代でツーショット写真を撮って頂いた女性陣の皆様。そして最後には白と黒さんのアイデアでご参加の皆さん全員のメッセージシートを寄せ書き帳に貼ってお土産にして頂きました。ありがとうございました。

 また一つ、心の宝物が出来たような気がします。今こうして原稿を書きながら、何だかウルっと来そうになっています。音楽がつないでくれた心の輪。これからも大切にしていきたいと思います。

(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 知人からの案内で演劇を観てきました。今年6月19日が太宰治の101回目の誕生日、ということで「101年目の太宰治」という公演。その中で太宰治戯曲の「冬の花火」と「春の落葉」という2本が上演されました。
 終戦で日本人の価値観や生活が激変した時代。東北地方の農村を舞台に、土地代々の暮らしや文化を守り続けてきた人々と、急速に変化する都会の暮らしを持ち込もうとする人との葛藤を描いたストーリー。シンプルな舞台装置に登場人物のセリフ、動き、そして音と光の変化だけなのに、想像力をかき立てられ、目の前に見えているものよりはるかに大きく広い世界が広がっていきました。
 まさに、演者と観客の共同作業で一つの物語が出来上がるんですね。新鮮な感動と同時に、音楽の場合に置き換えてみたり、いろんなことを考えさせられたひと時でした。

 
−an 弾手−


第305回アナ鼻ピアノ」(その38)曲の中で、コードってどうやって決めるの?

[2010.6.29]

 前回のコラムで書いた東京・弾手の会の、演奏会のあとの懇親会。中華料理を食べながら隣に座った人から質問されました。
 「この楽譜の、例えばここのメロディーの音、ソですよね。ソの音が入っているコードって、CもあるしGもあるし、えっと、Emもそうですよね。なのに、どうしてここのコードってCなんですか?GやEmじゃダメなんですか?」
 なるほどー。あるメロディーにどうやってコードを付けるか?っていうことですね。

 メロディーにコードを付けていくのは、ハーモナイズとか言って、専門書などには難しい理論が書いてありますね。私もあまり難しいことは分かりませんので、その時食事しながら簡単におしゃべりしたようなことをちょっと整理してみますね。

1. コードを考える時はその小節のその音だけ見ても決めようがない。
 確かにソの音はコードCにもコードGにもコードEmにも含まれています(コード構成音)。いえ、他にも構成音にソを含むコードはたくさんあります。確かにメロディーの音を構成音に含むコード、というのはひとつの手掛かりにはなりますが、決め手にはなりません。

2. メロディーもコードも、前後の流れの中で考える。
 例えばそこのソの音、曲の流れに関係なく突然出てきた訳ではないはずです。コードにしても突然あるコードが前後の関係なく現れることはありません。メロディーが曲の流れに乗って展開していくように、コードもそのメロディーの流れに乗って展開していきます。このコードの流れをコード進行と言います。

3.コード進行のルール(バリエーション)を知っているとそこで使えるコードが想定できる。
 コード進行にはルールみたいなもの(?)があります。?を付けたのは、この場合はこうでなくてはいけないという絶対的なルールではなく、こんな風にコードをつないでいくとこんな雰囲気になるよ、という、多くの人が似たように感じる法則みたいなもの、だからです。それを知っていると、曲の展開の中でここはこんな雰囲気のハーモニーにしたいなあ、と思った時、こんなコード進行が合うんじゃない?ってイメージ出来るんですね。で、それで実際に弾いてみてそれで納得できたら、そのコードでいいんです(OK!)。違和感があったら別のコード進行を試してみて、納得するまでそうやって探せばいい。その時、当てずっぽうじゃなくていくつもコード進行のバリエーションを色々知っていると効率よく探せるってことですね。
 もちろん、1.で書いたように、そのメロディーの音を構成音に含むコード、というのも一つのヒントになります。ただ、ある小節の中でもメロディーの音は当然いくつか変化していくし、コード構成音とメロディーの音というのは常に一致している訳ではありません。

 簡単に言ってしまうとこのようなことですかね。コード進行のルールには、極めて基本的な、いわゆるドミナントモーションと言われるものから、その変化したもの、そして、あるコード進行に出てくるコードを、それと機能の似た代理コードや裏コードと言われるものに置き換えたり、同じコードでもテンションの音を加えたりしてたくさんのバリエーションができます。このコラムの第57回、58回、64回、65回にはコード進行のごく基本的な話を書いています。また拙著「お父さんのためのピアノ教室」(ドレミ楽譜出版社)にも、色んな雰囲気が出せるコード進行のバリエーション例を少しだけ書いていますので参考にしてください。

 それから、ここまでの話は既にあるメロディーにどうやってコードを付けるか、ということでしたが、逆にコード進行からどうやってメロディーを作るか、という話をこのコラム第215回に書いています。どちらも同じ話の裏表みたいなところがありますので参考になるかな、と思います。
 また、コラム第74回から第79回にかけて、自作の曲を実例にしてコード付けやコードをヒントにメロディーをつくる話を書いていますので、ご興味とお時間がありましたらご覧ください。
 もうひとつ、コラム第130回に私の本の読者の方から頂いたご質問「コード進行を覚えて何の意味があるの?」について書いていますが、これも何かの参考になるかも知れませんね。

 という事で久し振りのアナ鼻ピアノ、書いてみました。実はその弾手の会の雑談の中で、このコラム、最近はan弾手の体験話ばっかりでコードの話があんまりないですね〜って、ご意見もあったので(笑)。ありがとうございました!また何かご質問やご要望などありましたら、言ってくださいね〜。

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 今夜ですね。パラグアイ戦。今、このコラムをお読みになっているタイミングでは既に結果が出た後かもしれませんが。
 1回戦の本田選手の1本のゴールから流れが変わって、日本中が大変な盛り上がり様。私もちゃっかりその流れに乗っかってる、にわかサッカーファンの一人です。って、オフサイドの意味もイマイチよく分かってないんですけど…。それでも今夜はテレビの前で応援しましょう!
 考えてみれば1個のボールを蹴り合うだけなんですが。人が何かに夢中で挑戦している姿って、どうしてこんなに感動的なんでしょうね。

 
−an 弾手−


第306回「2種類の趣味って?」

[2010.7.6]

 実は私、色んなメルマガに登録しているので毎日山のようにメールが来るんです。ほとんどは開かなかったり、開いてもサッと読み飛ばしているのですが。そんな中でふと目に止まった言葉がありました。
 「趣味は、苦労するものと苦労しないものの2つを持つといい」
苦労する趣味っていうのは鍛錬したり向上トレーニングが必要な修行系の趣味。苦労しない趣味っていうのは楽しむだけで向上する必要のない趣味。

 なるほど…。なんだか分かるような気がしますね。趣味なのにいつも修行ばっかりしているようなのはちょっと辛そうだし、かと言ってその時バッタリで楽しむだけの趣味じゃ、そのうちに空しくなりそうだし。

 そう言えば以前、ピアノを習い始めた知人が
 「ストレス解消のためにピアノ始めたのに、そのピアノのレッスンがストレスになる〜っ!」
って言ってましたっけ。
 ピアノもレッスンの内容によってはまさに「修行系」と言えなくもない。特に音大やプロを目指すとなるとそれなりの「修行」が必要かもしれませんね。趣味レベルのピアノにしても、本格的に技術の向上を目指そうとしたら結構厳しい課題を自分に課すことが必要なのかもしれません。
 ただ、それはそれで必ずしも苦痛というわけではなく、その課題へのチャレンジに充実感を感じていれば、それはその人にとって素晴らしい「趣味」になるのかもですね。逆にそれがいつもストレスとしてのしかかってくる様だったら、それはもう「趣味」とは違う次元のものなのかもしれません。

 さて、自分のことを振り返ってみると…。
 憧れで始めた「趣味」のピアノ。自己流楽譜丸暗記奏法で行き詰まり、コードと出会ってピアノバーにレッスンに通い、その後はまたまた自己流コード奏法でタラタラと遊んだりしているのですが。
 これは、修行系なのか、向上する必要のない趣味なのか。
自分では、これまでピアノを「修行」って感じたことはないなぁ。かと言って、向上する必要のない趣味、とも思えない。
 私はあまり日頃からピアノの「向上トレーニング」をやっている方ではないと思いますが、それでも弾きながら指の練習だったり表現力(?)の試行錯誤だったり、まだ自分のものになっていない理論の勉強だったり、意識してやることはあります。もっともそれが苦労とか修行とかいう意識はあまりないのですが。
 また、いわゆる「向上トレーニング」とはまったく別次元の、弾くことそのものを楽しむために弾く、みたいなことも多いようです。その場合は、むしろ疲れているから弾く、ってことも。そんな時は練習という意識は全く無くて、自分の気持ちのままに、それこそストレス解消のために、弾くことそのものを楽しむ、みたいな感じでしょうか。

 そう考えてみると、冒頭の
「趣味は、苦労するものと苦労しないものの2つを持つといい」
という言葉は、自分の場合ピアノという趣味でその2種類を両方楽しんじゃってるのかなぁ、という気もします。
 さらに、趣味として自分の中で完結するだけでなく、このコラムや本の執筆などを通して全国の人と大人のピアノつながりのご縁も頂けるようになり、これはひょっとするともうひとつ、3種類目の趣味の楽しみ方なのかなぁ、という気もしてきます。
 一粒で三度おいしい?(笑)

 えっと、何を言いたいのか分からなくなってきました。
あ、そうそう、趣味のピアノって、練習、練習ってガツガツやるばかりじゃつまらないし、かと言って自己流でタラタラやってるだけでも空しいし。両方、バランスとりながら楽しくやれたらいいですね、って、そんなことを言いたかったのかも。
 何とも、当たり前の結論ですみません!

(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 明日は七夕。梅雨の晴れ間を縫って織姫と彦星は無事に逢うことができるでしょうか。
先日、ライブの店に行ったら入り口に七夕飾りがありました。席に着くと店長さんが短冊と筆ペンを持ってきて「何か書いて入り口の笹に結んでくださいね」と。
 さて、何を書こうかと考えていたら周りのお客さんからは「宝くじが当たりますように」とか「更年期障害が早く治まりますように」とかいう会話も。私もとりあえずひとつ書いて笹に結びました。
 何て書いたかって?
 それは…、ヒミツです(笑)

 
−an 弾手−


第307回「心に響くピアノ、ねぇ…」

[2010.7.13 ]

 しばらくご無沙汰していたライブハウスを覗いてみました。
 「あーら、久し振り!」
 店長の女性が浴衣姿でお出迎えです。
 「あ、そうか。もうすぐ七夕ですね。ご無沙汰してました〜」
 まだ早い時間で、お客さんは誰もいなくて、今日出演のメンバー(女性ピアニスト、男性のテナーサックス、女性ヴォーカリストの3人)が奥でリハーサル中でした。

 あれ、ピアノの配置が変わってる。
 これまでは奥のステージの左側にグランドピアノがあり、右側にドラムセットがあったのに、今日はピアノが中央に、ドラムセットが左側に置いてある。
 でも、久し振りに来たのでいつからこんな配置になったのか、その話には触れにくいなあ。
 「えっ、もう随分前からですよ。だいぶいらしてなかったんですね」
 と言われそうで。
 ところが、リハの終わったヴォーカルの女性が店長に聞いていた。
 「いつからこの配置になったの?」
 「昨日からですよ!昨日、オーナーが一人でピアノ動かしたみたい。なんでも、オスカー・ピーターソンの配置がこんなんだとか、どうとか…」
 そっか、昨日からなんだ。

 「どう?この配置」
 うーん、確かにピアノが真ん中で存在感あるし、ピアノを弾く自分としては悪くない気もするけど。
 でも、ドラマーから見てピアニストが背中向きになるし、フロントのサックスもピアニストに背中を向けるので、アイコンタクトとかどうなんだろ。
 そう言ったら、サックスの男性、
 「背中で語り合うんだよ」
 って言ってましたが(笑)

 やがてお客さんも増えてライブ2ステージ。
 ジャズのスタンダードナンバーに加えて、
 「えー、今日は昭和の香りいっぱいのメンバー3人ですので、昭和歌謡をいくつか混ぜながらやってみましょう」
 ってMCで、星影のワルツ、見上げてごらん夜の星を、あの日にかえりたい、などをお洒落なジャズアレンジで聴かせてくれました。

 ライブの後は、恒例(?)の飛び入りタイム。まずは私にも顔なじみのお客さんでピアノを弾く男性とヴォーカルの女性のカップルが1曲。
 すると
 「次、an弾手さん、お願いします〜!」
 と店長。グラス片手に席でグズグズしていたら…
 「このお店、お客さんも何か演奏しないと帰っちゃいけないシステムなんですよ!」
 とジョークで畳み掛けられて。

 この店で何回か弾いたことはあるけど、昨日から変わったらしいこの配置で弾くのは初めてだ。
ピアノの椅子に掛けたら、えらく高い!さっきライブで弾いていた女性のピアニストさんが高くしていたみたい。妙に落ち着かないけど、大げさに椅子の高さを調整するほどでもないし、ま、いっか。ただ、それにしても何?この鍵盤!天井のスポットライトが複数鍵盤に当たっていて、えらく眩しいうえに黒鍵の影が両側に何個も出来ていて見にくいなぁ。

 「では、今日のテーマは昭和歌謡、っていうことでしたので、私も昭和の曲を弾いてみますね」
と言いながら弾き始めた曲はトワエモアの「誰もいない海」。これ、最近弾く機会があって家でも何度も弾いていたので自信があったのですが。

 あれ、やっぱりこの椅子の高さ、この照明、なんか勝手が違うなぁ。あれっ!次どうだったっけ?!
弾き始めのところから、ボロボロだっ!
 「すみません!ちょっと飛んじゃって〜!」
なんて言い訳けを叫びながら、それでも何とか止まらずに。でも、自分でも焦ってるなぁと分かる演奏になってしまいました。

 …数日後。
 その日出演していた女性ピアニストさんからメールが。
 「久し振りにan弾手さんのピアノを聴けてよかったです。一緒に口ずさんでいたお客様もいらっしゃいましたよ。楽しいライブになりました。ありがとうございました」
 私の返信、
 「いやあ、私のピアノは散々でした。それに鍵盤に沢山のライトが当たっていて弾きにくかったです。言い訳にはなりませんけど」
 すると、
 「そうなんですよね!ピアノにライトが当たって眩しかったですよね〜。気持ちが分かって頂ける方がいらしてよかったです」
 さらに続けて
 「弾いた人は間違えちゃったなぁって思ってても、心に響くピアノってあると思いますよ。お客様に口ずさんで頂けるのは、ほんっとに素敵なことだと思います」
 と慰めて頂きました。ありがとうございます。

 心に響くピアノ。私が目指すところではありますが。
 ピアノの位置が変わっても、椅子が高くても、照明で鍵盤が見にくくても、言い訳せずにちゃんと弾けるよう、まだまだ修行ですね〜

(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 会社の部屋の中にいても激しい雨音が聞こえてきます。私の身近では大きな災害の話は聞いていませんが、被害を受けられた地域の方がいらっしゃいましたら、心からお見舞い申し上げます。梅雨末期の激しい雨、もうしばらく続くみたいですね。
 ワールドカップが終り、選挙が終り、大相撲はとりあえず開幕。何なんだろう、最近の何だか落ち着かないうっとうしい気分。湿度のせい?
 もうすぐ梅雨明け、そしてまぶしい夏が来るんだし。さて、そろそろ切り替えなくちゃ。

 
−an 弾手−


第308回「お詫びのはずが…」      

[2010.7.20]

 「申し訳ありませんでした」
 午後2時の約束で高原の物産館までやって来て。外出中の館長さんを少しお待ちして。少し前に私の方の不手際で納品してしまった不良品を作り変えての再納品。検品して頂いてやっと納品することが出来ました。(私の本業の話です)
 最初の約束から納期も随分遅れてしまって、申し訳ありませんでした。

 一応、仕事の話が終ってしばらく世間話。すると館長さん
「あ、そう言えば今日an弾手さんがいらっしゃるという話をしたら、うちの○○が『ピアノ弾いてもらえますかね?』と言ってましたよ」
 「えっ、ピアノですか? はぁ、それは構いませんけど…」
 「ちょっと待ってくださいね」
 そう言って館長さん、○○さんを探しに。
 午後3時。物産館のレストランは閉店の時間で、スタッフの方も片付けや別の作業で広い施設のあちこちに動いていらっしゃるようです。
 「ちょっと見当たらないようですねぇ」
 そう言いながら館長さんが戻って来られます。
 するとその時、その○○さんが通り掛かられました。
 「あ、○○さん、ピアノ弾いてくれるそうですよ!」
 「わぁ、そうですか! お願いします!」

 という訳で。急遽ピアノのある隣りの郷土料理館に移動です。
 行ってみると、あれ、女性がもう一人。仕事をあがったレストランのスタッフの方。○○さんのお誘いで急遽合流されたみたいです。
 お客さんのいないガラ〜ンとしたホール。ここはいつもフランス料理の会でウェルカムピアノを弾かせて頂いている会場です。
 ピアノの背景は、全面ガラス張りの向こうにしたたるような緑が広がっています。

 館長さん、○○さん、そしてもう一人のスタッフの方。3人がピアノのすぐ近くに椅子を持ってきて掛けられます。そう、ピアノから手を伸ばせば届きそうな距離?
 私は、ピアノの蓋をあけ鍵盤の上の赤いフェルトの布を畳んでピアノの上に置いて。
 「どうかサラッと聴き流してくださいね〜」
そう言いながら椅子に掛けます。

 そして。
 思い付くままにタラタラ〜っと、ダニー・ボーイ、ライム・ライト、赤とんぼ。弾かせていただきました。
 広〜いホールの隅っこで。3人と私と。ピアノの周りにくっついて。でも視界には広々とした緑の風景。
 ○○さん、何とかご希望にお応えすることは出来たでしょうか。

 仕事のお詫びと納品で伺ったはずの物産館でしたが。いい気にピアノなんか弾かせてもらったりして良かったんだろうか。ちょっと複雑な気持ちで高原を後にした私でした。

 さて、会社に戻ったら、まだあと一仕事残ってる〜。

(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 明けましたね、梅雨。自宅で過ごしたこの前の日曜日。カーッと太陽が照って暑いのなんの。と思っていたら午後は空が一転かき曇り、ザーッと夕立です。あわてて窓を閉めたら蒸し暑い。
 ふと思い出して、以前買っていたデッキチェアを納戸から出してみました。リビングの前の小さなデッキに置いてみます。ここなら庇の下で雨には濡れないし、目の前には雨に濡れる緑の葉。しばしのんびりと風に吹かれながら雨音を楽しみました。
 たまにはこんな時間もいいものです。

 
−an 弾手−


第309回熊本の夜、ピアノを囲んで交流会!のお知らせ」      

[2010.7.27]

 「an弾手さんの演奏で夜のラウンジピアノを楽しみたいなと思っていますが8月30日夜熊本に泊まればそれは可能かしら?? an弾手さんの演奏されているお店、紹介してくださいます?」

 東京・弾手の会のメンバー、白と黒さんからこんなメッセージが舞い込んできました。

 「an弾手さん この夏は結構私は演奏に動き回り、一番最後のとどめに、うちの旦那ちゃんと一緒に九州旅行!という実にムボーな計画を立てています。
 私の師事する作編曲の先生方がそろいも揃って
 「編曲者責任できちんと作品を表に出すときは自分の名前も出しなさい」
 と口すっぱく言われるので、この夏私は自分の書いた作品バリオス作曲・白と黒ピアノ編曲「大聖堂〜副題長崎からの祈り」を演奏して回ることにしました。

 手始めに7月25日、横浜のイギリス館で友人のクラシックギター愛好家さんたちとのプチ演奏会から、演奏旅行を始めます。
 そのこともあり、先日は自分が演奏する前に一足先にyou-tubeへのアップもしました。

http://www.youtube.com/user/shirotokuro2010#p/u/3/KsANQWvc6h4

 なのでネットという「大海原」をおおまじめに「小型ボート一隻」で漕ぎ出すという実にムボーなことをもうしちゃいましてーーー
 もう行けるだけどこまでも行ってやれー!と思っています。
 8月の末の夏休みには、私が医学生時代を過ごした長崎にまず入り、一度長崎で演奏してから、29日に福岡の友人が懇意にしている喫茶店でピアノを弾くことになりそうです〜」

 …ということで、ついでに熊本まで足を伸ばそうかなぁ、というお話で。

 白と黒さんは数年前私のコラムと本を読んで頂いたことがきっかけでメールを頂くようになり、その後、 東京・弾手の会発足と同時に色々と会のお世話もして頂くようになりました。
 ピアノはアマチュアでいらっしゃいますが(本職はお医者さん!)、最近ギター曲のピアノアレンジや演奏、 また、プロのピアニストへご自身のアレンジ曲の提供などもされている方です。

 今年6月に私が上京した時は弾手の会幹事の中島さん始め、 白と黒さんやたくさんの人が集まって頂き、 5時間に及ぶ演奏会(みんなで弾きっこ大会?)と懇親会を開いて頂いたばかりです。

 早速、心当たりのピアノのある店にあたってみました。

 「30日? う〜ん、月曜日は店はお休みにしようかと思ってたところなんですよ。でも、オーナーに聞いてみますね」
 となじみの店長さん。
 で、翌日メールが。
 「OKですよ。30日開けますから」
 ありがとうございます!

 という訳で。
 8月30日に東京「弾手の会」の白と黒さんご夫妻を 囲んでピアノ交流会を開くことになりました。

 もしこのコラムを見られて覗いてみようかと思われる方がいらっしゃいましたら、私an弾手宛にご連絡ください。
an弾手宛メールはこちら

piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

●日時:8月30日(月)PM8:00〜10:00(7:30開場)
●会場:酔ing
     熊本市花畑町10−10 中山ビル2F
     096-356-2052
http://swing-live.jp/top.htm

●会費:2.500円(2時間飲み放題、おつまみ付き)
     食事は含みませんが、パスタ、チャーハン等の軽食なら
     別料金で注文できます。

【今回の集いの趣旨】

 白と黒さんご夫妻を囲んで、熊本のan弾手つながりの人達と一緒に楽しい音楽のあるひと時を過ごせたらと思います。
 白と黒さんの演奏と、私an弾手も演奏すると思いますが、お集まり頂く皆様にも気軽に演奏などに参加して頂いてみんなでワイワイと楽しく過ごせればと思っています。
 (あ、もちろん飲んでおしゃべりだけ、でも結構ですよ)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 このところ、朝からセミの声が賑やかです。ワッシワッシワッシと大合唱!昨日の朝、木の下に立って鳴いているセミを探してみました。最初は枝や葉っぱばかりが目に入って、声はすれどもどこにセミがいるのか分からなかったんですが、しばらく見ていたら見つかりました。そこにも、あそこにも!お腹をいっぱい振りながら鳴いている姿がありました。見え出したら結構何匹もいるのが見えてくるものですね。時々鳴きやんで、ツツツッと枝の上を移動していく姿がコミカルです。
 この世を謳歌しているのか、それともはかない命を惜しんでいるのか。ちょっと足を止めて見てみると、自分の日常と違う宇宙がすぐそこにあるんですね。

 
−an 弾手−


第310回Q&Aコーナー「暗譜について」

[2010.8.3]

 久し振りのQ&Aコーナーです〜。
 今回は、私の本やコラムの読者であり、また東京・弾手の会の幹事でもいらっしゃる弾ディさんからのご質問です。弾ディさんは50代からピアノを始められ、私の本とコラムで独学されながら、今では東京・赤坂のライブハウスなどで人前演奏も楽しまれている方です。

 (弾ディさんからのメール)
 …お尋ねしたかったのは、いわゆる「暗譜」についてです。
 いつも他の人の演奏を見ていると、ほとんどの方は楽譜立てに楽譜を置いて鍵盤をほとんど見ずに楽譜を目で追いながら弾いていますよね。本当に1つ1つの音符、音符の固まり、小節ごとを追いながら弾いているのか不思議でなりません。あれは目から入る音符信号みたいなものが脳を経由して自然とその音の鍵盤に指が置かれるのでしょうか。
 私にはこれが大変で、リードシートや楽譜を置いても全く見る余裕すらなく、たとえそれらを見ながら音符やコードを追えても、押さえる鍵盤のズレで音がすぐメチャクチャになってしまったりと、今どこを弾いているのか全く頭が真っ白で演奏迷子となる始末、やはりすぐ鍵盤を見ることだけに戻ってしまいます。
 an弾手さん、暗譜はやはりお勧めできませんか?少なくともリードシートを見ながらをお勧めされますか?

 (an弾手より)
 私はクラシックピアノの基本を正式に習ったことがなく、読譜や暗譜について公式な解説をすることは出来ません。ですから、これから述べる事はあくまでも私個人がコード奏法でピアノを楽しんでいる中で思っていることなのですが。

 楽譜というのは誰かが誰かに自分の演奏の内容を伝えて再現してもらうために書いたメモだと思うんです。その曲を世界で最初に演奏した本人は、別にそんなメモはなくても自分の気持ちで弾けたはずですよね。
 ですから、究極の演奏というのは楽譜を見て弾くのではなく、自分の気持ちのままに自由に曲を奏でることではないかと思います。
 ただ、その様な境地に至るために、まずは楽譜を正しく読み、作曲家の思いを読み取り、それを自分なりに正しく再現する訓練というものが求められているのかも知れません。

 でも、コード奏法で使うリードシートにはメロディーとコードしか書いてありません。その最小限の情報からどんな曲を再現するかは全て演奏者に任せられています。ですから、楽譜を見て楽譜に忠実に、ということとはそもそも違う世界なんですね。
 だったら、鍵盤を見ずにリードシートを見ながら弾けばいいの?
 うーん、単に鍵盤から目を離して弾く、ということにこだわる意味はあるんでしょうか。
 もちろん、鍵盤を見ずにリードシートを見ながらサラサラ弾ける能力はあるに越した事はないし、セッションなどで急に譜面を渡されていきなり演奏する「初見」に役立つとは思いますが、それと「暗譜」の是非とはまた別の話のような気もします。

 「暗譜」というと、結局、楽譜を「暗記」してそれを「再現」する「暗記→再現の能力」という風にとれますが、譜面無しで弾く究極の演奏は単なる暗譜ではなく
 「読譜→暗記→曲を自分の物にする→自分の物にした曲を自分の気持ちで演奏する」、
 ということではないか、という気もします。
 素人が偉そうなことを言うみたいですが、素人だからこそ、怖い物知らずで言えるのかもですね(笑)

 (弾ディさんからのメール)
 そんなことを最近考えている中、カーサクラシカClassic Session Nightへ行った時、たまたま楽譜持参を忘れてしまい、思い切って指の動くままに2曲弾いてみました。それがどうでしょう。なんとも気持ちよく、E,F#,Aなど一つ一つの鍵盤の響きを感じながら弾く、自分の耳で自分の出した音をゆっくり聴くことができたのです。これはたぶん楽譜に気を取られないで、その分、気持ちと対面できたのが効を奏したのでしょうか。
 その時にはなぜか指の震えも忘れていました。目の前にだれもいないような、自分だけが曲に向かって気持ちよく弾いているような、不思議な気分でした。

 (an弾手より)
 私は自分の体験から、事ある毎に
 「楽譜に弾かされるピアノ」ではなく「自分の気持ちでピアノが鳴ってくれた瞬間」を実感した時の感動について書いたりしているのですが、弾ディさんの上のエピソードはまさにそんな瞬間だったのかも知れませんね。

 ただ、目の前に譜面がない場合、一度つまづいたらそこで終る!という危険も確かにはらんでますよね(笑)
 私がよくやるのは、万一その先が飛んで分からなくなった時のためにコード進行だけを書いたものを目の前に置いておく、という方法です。
 コード進行さえいつでも確認(意識)できれば、その先が弾けなくなる危険性は非常に少なくなります。また、そもそも音符が書いてないので見るのに気を取られて手元や気持ちがお留守になる危険性も非常に少ないです。

 私がやっている方法は、だいたい次の通りです。
 1.最初のうちはリードシートを見ながら、試行錯誤しながら練習する。
 2.慣れてきたら、リードシートは置いていてもなるべく見ないでコードの確認程度で弾くようにする。
 3.やがて気持ちを込めて弾けるようになったらリードシートも全く見ないで自分の気持ちだけで弾くようにする。
 4.人前で弾く時は、念のためにコード進行だけ書いたメモをさりげなく置いておく。

 という手順ですかね。

 コード進行を書いた紙、というのは
 楽譜の五線の代わりに1本線を引き、小節の切れ目にチョン、チョンと短いタテ線を引き、その横線の上部に小節単位でコードネームだけ書いておく、というものです。
 試してみてください。

 弾ディさん、ご質問ありがとうございました。
 これからも、自分の気持ちで奏でるピアノとの楽しいお付き合いを広げていってください!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 前回、第309回のコラムで「熊本の夜、ピアノを囲んで交流会!のお知らせ」というのを書かせていただきました。今回のコラムのご質問主、弾ディさんが幹事を務めておられる、東京・弾手の会のメンバー、白と黒さんが九州旅行で熊本まで足を延ばされるのに合わせて、熊本の夜にみんなでピアノ交流会をしましょう、という企画です。
 白と黒さんの演奏を始め、私an弾手や熊本のピアノ愛好者の方の演奏とおしゃべりで楽しい交流のひと時が過ごせたらと思っています。
 まだひと月位先の話(8月30日)ですが、もしご興味がおありの方がいらっしゃいましたらan弾手までメールくださいませ。
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

 
−an 弾手−