私と県劇
開館30周年を迎えた熊本県立劇場。
節目となる30周年を記念して県劇で上演された思い出の舞台を、
熊本を拠点に活躍されている様々な舞台芸術関係の方に
振り返っていただきます。
熊本県立第一高等学校講師 熊本県合唱連盟理事長 
松本 強一
Vol. 23
熊本県立第一高等学校講師
熊本県合唱連盟理事長

松本 強一
 私にとって県劇といえば、顧問を務めている第一高校合唱団のステージです。一年間の集大成といえる定期演奏会の舞台であり、最高の音楽に触れ合い子ども達に夢を与えることができる場でもあります。 “いいホールはいい音楽家を育てる”という言葉どおり、県劇には生徒たちを育てていただいているようなものですね。
 2007年より毎年、水俣市出身の詩人・淵上毛錢(もうせん)の詩に瑞慶覧(ずけらん)尚子さんが曲を付けた委嘱作品を発表しています。委嘱作品を集めて全曲初演プログラムを組んだ2009年の定期演奏会はやはり一番印象深いです。
 合唱団のテーマは「地方からの文化の発信」。今年度は委嘱作品の「無門」が、全日本合唱コンクールの課題曲に選ばれ全国のコンクールで歌われました。生徒達は活動の中で新しいものを生み出すことに誇りを持つと同時に、仲間を大切にすることを何よりも大事にしています。今年は3年生の退部者が入学以来ひとりも出なかったそのことが私たちにとっては何よりの“金賞”だと思っています。
 合唱とは、声を合わせ、心を合わせて紡いでいく“絆”だと考えています。東日本大震災後、福島で開かれた「第35回全国高等学校総合文化祭」で、私たちは福島を訪問。瑞慶覧さん作曲の「Let’s sing a song」で、多くの人々に元気と感動を届けました。また、福島でも新しい絆が生まれ、生徒たちが一回り大きく成長したことを感じます。合唱を通じて、山も谷も越えて行ける力を生徒たちに付けてほしいですね。
 

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.143より

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