第81回 「できない理由。できる理由。」 [2004.3.16]
 「この人ね、ヘタだったよ〜。あの位なら、ちょっと練習すれば俺だって弾ける、と思う位ヘタだったよ。」例のライブバー。久し振りに会った顔見知りのおじさんが連れの人に私を紹介した言葉です。その日も2〜3曲弾いて席に戻った私に、いきなりのあいさつがこれです!
「でもね。久し振りに聴いたらえらくウマくなって! 結構聴かせるじゃん! あれから相当練習したんだろ?」

イヤ〜、そう言われても。自分では以前も今も、そう変わったとは思えないんだけどね。でも、人がそう言うんだったらそうなのかも・・・。まあ、多少場慣れしてきて、落ち着いて弾けるようになったことと、最後まで何とかトチらずに、たとえ間違ってもゴマかしながら終りまで止まらずに弾き切ることは出来るようになったくらいかな。もしかすると、それがウマくなった、という印象を与えているのかも。
でも逆に言えば、相当「ヘタ」な時から厚顔無恥にも、人様の前で弾いていたってことですかね。

ピアノを少し始めた人が良く言うセリフがあります。
「まだ人前で弾けるような曲はないんです。」
でもね、人前で弾く経験をしないと、いつまでたっても人前で弾けるようになりませんよ。
「私、一応人前で弾いています。年に一回、ピアノ教室の発表会で。」
あ、それじゃダメです。まあ、それはそれで意味はあると思うんですけど、ここで言う「人前」って、「発表会」と本質的に違うんです。発表会って、日頃の練習の成果を披露する場でしょ。聴いている人だってまだ「練習の続き」と思って聴いている。

それに対して、ライブの店やクラブのお客さんは、「練習の続き」なんて思ってくれませんよね。まさに、音楽そのものを楽しみに来てるか、お酒や会話や、あるいは女の子を口説くための舞台演出のひとつとして聴いているんですよね。発表会がバーチャル(仮想)な世界なら、こちらはリアル(現実)空間。だから真剣勝負になれる。・・・なんて言うと、またまた恐れをなしてしまう人がいるかも知れませんけど、練習で最後まで通して弾ける曲が出来たら、さっそく「人前」に挑戦してみましょう! とりあえずギャラもらう訳じゃないんだし、他のお客さんに鼻つまみだと思われたって、ママにイヤな顔をされたっていいじゃないですか! 確信犯でいきましょう!
おちゃらけじゃなくて、真面目に自分の音楽を伝えたいという気持ちがあれば、幼稚な演奏の中にもそのうちきっと聴く人に伝わるものがにじみ出てくるはずです。それが「大人のピアノ」の特権だと思います。

ステキなインテリアのおしゃれなお店。
その一角に置かれたグランドピアノ。
そこで演奏している自分をイメージしてみて下さい。
ま、別にそういう店でなくてもいいですよ。あなたがいつかはこんなシチュエーションで演奏できたらいいなあ、と思えるようなシーンをイメージしてみて下さい。

『・・・鮮明に想像できることは実現する。』

そして、とにかく、一歩を踏み出してみましょう!

『・・・はじめる前は、できない理由が見つかる。
    はじめた後は、できる理由が見つかる!』

ちょっとカッコ付け過ぎでしたかね。まあ、遊び、遊び。
気楽に行きましょう!

次回は、人前で弾く時の、ちょっとしたヒントを書いてみます。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 一週間休暇を取っていた社員が今日出勤してきて、おみやげを持って来ました。温泉糖ってご存知ですか?一見、湯の花みたいな砂糖のかたまりです。ちょうど軽石のようなスカスカの穴が一杯空いています。私は思わず「懐かしい!」と叫んでしまいました。かむとサクッと溶けて砂糖の甘さが口一杯に広がります。
 そうそう、小さい頃こんなおやつ食べたよな〜っていう、遠い記憶が蘇ってきました。そう言ったら、他の社員が「何、これ?」「初めて見ました。」って。唯一話が合うだろうと思った30代の社員も、「いや〜、知りませんねえ。」だって。う〜む。これってやっぱりGeneration Gap?
−an 弾手−


第82回 「人前でうまく弾くコツは?」 [2004.3.23]
 しまった! どうしてこんなところでピアノなんか弾き始めたんだろう。
 ピアノを習い始めて3ヵ月。ライブバーでお客さんを前に初めて弾いたピアノ。弾き始めるとすぐ、激しい後悔の念に襲われました。
 えーっとドはどこだ! 鍵盤が全部のっぺらぼうの真っ白に見えます。指がブルブル震えてうまく鍵盤が押えられません。ヒザがガクガクしだして、ペダルが思うように踏めません。最悪だ! 早くこの場から逃げ出したい! 何が何だか分からないうちに終わってしまった初ステージの苦い思い出。でも、人間はイヤなことは本能的に早く忘れようとするのか、あの時の出来事も今は遠い記憶になってしまいました。
 人前で弾く時、誰だって緊張するものです。特に初めての時は大変です。でも、場数を踏むほどに段々慣れて落ち着いてきます。ですから、「人前でうまく弾くコツは?」の答えは「人前でたくさん弾くこと」に尽きます。それも、出来るだけ早く!
 あなたはピアノを始めてからどの位になりますか?(ご自分で弾かない方、スミマセン。少しガマンして付き合ってくださいね〜。)
 半年? 1年? だったら資格あり! 早く人前(不特定多数の人がいるところ)で弾きましょう。 私が人前で弾いたのは3ヵ月目でした。これからピアノを始めようと思っている方、とりあえず「半年で人前」を目標にしてはどうですか。そんなの無茶だ!と思いますか? でも目標は無茶な位でちょうどいいいです。

 ここで、人前で弾くためのヒントを整理してみましょう。

1、まず、人前で弾く。

 何だ、そのマンマじゃねーか!というブーイングが聞こえそうですが…。卵が先か鶏が先か、みたいな話ですが、準備が出来たら人前で弾こうと思っていると、いつまでたっても準備は出来ません。まず始めてみる。そうすると、色んなことが見えてきますから。

2、弾きながら後悔しない。

 これは難しいですよね。私も後悔しまくってましたから。でも、この後向きの感情は百害あって一利なしです。弾き方が雑になります。日頃の自分の力が出せなくなります。浮き足立ってきます。ですから、そんな感情が起こることを予想しておいて、あわてないことです。腹を決める。開き直る。曲に集中しましょう。

3、どんなピアノでもあわてない。

 人前で弾くってことは自分が普段弾いているのとは違うピアノで弾くっていうことですよね。ピアノは鍵盤の重さ、手触り、ストロークの深さ、音色、ペダルの感覚など、一台一台全部違います。自分のピアノの感覚に浸りきっていると、よそのピアノのちょっとした違いにもとまどってうまく弾けないことがあります。「自分のピアノ対よそのピアノ」と思わないことです。「自分のピアノも、世の中の数多くのピアノの中の特殊な1台」と思っていたほうがいいです。
 そして、日頃から世の中の色々なピアノに触れてみる経験を多く積んでおきましょう。その一番いい方法は色んな所で(人前で)弾いてみる!ことですが、またまた卵か鶏か、みたいな話になっちゃいますね。
 私が時々やっている方法をご紹介しましょう。それは楽器店のレッスン室を使う方法です。どこの街でもあるかどうか分かりませんが、私の近くでは1時間1,000円前後で使える所があります。(これが高いか、安いか…? まあ、喫茶店2回分と思えば) 街に出た時、ちょっと暇つぶしに1時間借ります。グランドピアノ1台が入る小さな防音室がいくつもありますから、その時空いている部屋によって当たるピアノが変わります。弾いてみるとタッチも音も全く違います。もちろん部屋の雰囲気も自分の部屋とは違いますから、聴いている人はいなくても、よそで弾く感覚は充分味わえますよ。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 我が家の玄関脇に置いた沈丁花の鉢植が花を付けました。朝あわただしく玄関を出ると、フワッとした香りが一瞬の心地良さを運んできます。でも、無粋なビジネスマンはセカセカと車へ急ぐと、たった今のほのかな幸福をあえて断ち切るようにバタン、とドアを閉めて仕事モードへ発進です。何という余裕の無さ。ならば一日の終わりぐらいは…、と彼女が考えたのかどうか。夜、我が家にたどり着いた男に、今度は闇の中から妖艶な香りの誘惑。私は1日の疲れも忘れて、あえなくクラッととろけてしまう、やっぱりヤワなオヤジなのでありました。
−an 弾手−


第83回 「ひとり弾きの楽しみ」 [2004.3.30]
 この前から「人前で弾く」ことにこだわってしまいました。でも、ピアノって人前で弾くばかりが全てじゃないですよね。
 休みの日、グランドピアノの大屋根を思い切り広げて音を鳴らしてみる…。一週間、フツフツとたまったストレスがジワッと溶けて流れていくのを感じます。こんな時は何かのための「練習」っていうんじゃなくて、今、弾いているこの瞬間を楽しむために弾いているっていう感じですね。耳に入る音だけではなくて、指先に触れる鍵盤の感触、鍵盤を押し込んだ時のわずかにカクッとする微妙なタッチ感。そしてボディ全体でグワーンと身震いしてくるような共鳴感。おそらく人間の可聴周波数を超えたある種のウェーブが体中の細胞という細胞を優しくマッサージしてくれているに違いないと確信できてしまう、そんな快感です。加えてメロディーをフェイクしてみたり、コードの押さえ方を色々変えてみたり、と、こちらが仕掛けていくと、それに敏感に反応して鳴いてくれるところなど、まさに生き物。と言うより、あのグランドピアノのなまめかしいボディーラインといい、スッと伸びた脚線美といい、これはどう考えても女性そのもの。
 な〜んて、いい歳したオヤジがよからぬ妄想いっぱいで、一人、ピアノに向っている図なんて、こりゃ気持ち悪りぃ〜なあ。

 すみません。話が変な方に行っちゃって。脱線したついでに、このまま少し走っちゃいましょう。
よく言われるんですよ。女性の方から。
「男の人がピアノ弾くのって、カッコイイですよね!」
これ、ピアノ弾く男に対する社交辞令?本音は定かではありませんが、でも全く違う場面で、全く違うタイプの女性が、全く同じこの言葉を口にするのを何度も聞くと、あながちお世辞だけでもないのかな、と思います。
 以下、私の勝手な仮説です。

 やっぱり人は無意識のうちに、ピアノと言う楽器に「女性性」を感じているのではないか。そのピアノを弾く男性の姿に、女性を優しくエスコートする男性のしぐさをイメージしているのではないか(無意識に)。だから男女がペアで華麗に舞うダンスやフィギュアスケートのように、ピアノと男性のペアが美しく見えてしまうのではないのかなぁ。
 それに、あのピアノの音。キラキラした、まばゆい光のような華麗な響きは、まさに女性の声そのもの。ズーンと来る野太い低音の響きは力強い男性そのもの。この2種類の響きが絡み合いながら、音楽と言う一つのドラマが展開していくんだから、考えようによってはこんなエロチックな楽器もないですよね〜。
…ふぅ。えーっと今週のテーマは何だったっけ。
あ、「ひとり弾きの楽しみ」でしたね。(この原稿、書き始めたときの構想とは全然違う展開になっちゃった。)
でも、だいたい以上のような話でもオジサンの「ひとり弾きの楽しみ」の、ある一つの側面は語れたかな?

 ピアノの楽しみ方、これはまた、人それぞれですよね。人前でみんなで楽しむピアノもいいけど、一人で気ままにポロポロッと、全身の細胞が喜ぶような、そんなピアノと遊ぶひとときも大切にしたいなぁ、と思っています。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 第79回のコラムの中に間違いを見つけました! 鍵盤図2の指の指定です。親指と小指が逆になっていました。こんな風に弾くにはピアノに背を向けて弾くしかないですよね! すみません。訂正してお詫びします。バックナンバーの方も訂正しておきました。
−an 弾手−


第84回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)
ためのコード奏法超入門講座」
(その24)オクターブ奏法
[2004.4.6]
 久し振りの「アナ鼻ピアノ」です。第53回から第69回までにコード奏法によるソロピアノの簡単な弾き方の話をしてきました。また第74回から第79回に、私のオリジナル譜を使っていくつかのヒントをお話しました。今回はそこには出てこなかったけど、ポピュラーピアノではぜひ使ってほしいテクニックのひとつ「オクターブ奏法」の話をしてみましょう。もっとも、このオクターブ奏法、何もポピュラーピアノだけの奏法じゃなくて、クラシックでも沢山出てくると思います。でも、ポピュラーピアノではこれが非常に効果的に使えるので、どんな場面でもごく自然に出来るように自分のものにしておくと、強力な武器になります。

「オクターブ奏法」は、文字通り1オクターブ間隔の同じ音を同時に弾く奏法です。左手では、すでに「ルートを1オクターブでつかむ」という方法で散々使ってきましたが、ここでは右手の親指と小指でオクターブの音をつかみ、主にメロディーを弾いていく奏法の話です。メロディーを単音で弾くのに比べて、非常に華やかな感じが出せます。バーンと盛り上げたいサビのところや、同じメロディーを2コーラス、3コーラスと繰り返す時に使うと曲の流れに変化が出てなかなか「イイ感じ」になります。

 もちろん、リードシートには「ここはオクターブ奏法で弾きなさい」などという指示はどこにも書いてありませんから、自分で「ここは!」と思う部分を見つけて使っていく訳です。
 練習方法は色々あると思いますが、単調な音階練習なんかするより、好きな曲のメロディーをオクターブ奏法で沢山弾いてみるのが楽しくていいでしょう。そうするうちに、曲の中でオクターブ奏法に向いている部分とそうでない部分が何となく分かってくれば一石二鳥ですね。
 
 このオクターブ奏法のバリエーションとして、オクターブの音の間に更に別の音を同時に鳴らしてサウンドをふくらませる方法もあります。少し難しくなりますが、親指と小指だけのオクターブ奏法に慣れた方は試してみられると更に表現の幅が広がります。

1 中指で5度の音を同時に弾く

 鍵盤図を書いてみます。この指の形のまま親指と小指でメロディーを弾いていきます。中指の音が濁った響きになって勝手にジャジーな味が出ます。

2 人差指を使う

 鍵盤図を見て下さい。親指から鍵盤を1つ飛ばした音を人差指で弾き、このままの手の形を保ったままオクターブでメロディーを弾いていきます。

3 薬指を使う

 今度は小指から鍵盤を1つ飛ばした音を薬指で弾き、このままの手の形を保ったままオクターブでメロディーを弾いていく方法です。

4 コードの3度の音を加える

 親指と小指でメロディーをつかんだ時、その時のコードの3度の音も同時に鳴らす方法です。特に、普通のコード進行ならマイナーコードになる所で、あえてメジャーコードを使ってあるような時(その逆も)には、この3度をことさら心の中で意識しながら鳴らすと、アレンジの意図が明確に表現できます。

5 トレモロにする

 親指と小指を同時に弾かず、素早く交互に繰り返し弾いて、トロトロトロ〜と鳴らす弾き方です。メロディーが2分音符や全音符などで動きがない所で音に変化をつける時などに使います。ジャズピアノを聴いていると、よく出てきます。あの雰囲気を覚えて真似しましょう。

 どうですか? 女性や手の小さい人は1オクターブ広げるのが少し苦しいかもしれませんが、これが出来ると表現の幅がグーンと広がりますから、是非、挑戦してみてください。
 次回はこれまた超便利な左手2オクターブアルペジオの話をしてみます。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 明日(4月7日)は何の日かご存知ですか? 実は鉄腕アトムの、満1歳の誕生日なんです。2003年4月7日に生まれたらしいので。小さい頃、白黒のテレビで見ていました。その頃は21世紀なんて、遥か未来の、まぶしいような別世界の話でした。今、2004年の世の中に生きながら、あの頃から何が変わったんだろう、と思っています。そう思うと、何だか暗い気持ちになってしまいますね〜。
 だからと言っては何ですが、熊本市現代美術館で明日から始まる「鉄腕アトムの軌跡展」、行ってみようかと思っています。いつの間にか忘れてしまったものを思い出せるかも知れないような気がして…。
−an 弾手−


第85回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)
ためのコード奏法超入門講座」
(その25)超便利!左手2オクターブアルペジオ
[2004.4.13]
 前回のオクターブ奏法、どうでしたか? 単純な曲でも、これを組み込むことで結構メリハリが付いて、1つのまとまった曲らしくなりますので、ぜひ使ってみてください。 
 さて、今回は、これまた超便利な左手2オクターブのアルペジオの話です。左手については、これまで、オクターブによる1度(ルート)、5度、8度(ルート)のパターン(第61回)と、1度(ルート)、5度、8度(ルート)、10度(3度)のパターン(第62回)をご紹介してきましたが、これを更に2オクターブまで広げてみましょう。

これもオクターブ奏法と同じく、曲を盛り上げたい部分などに左手パターンとして使うと、伸びやかな広がりのある感じがよく出て、効果的です。しかも、左手の動き(指使い)のパターンをひとつ覚えてしまえばどんなコードでもスタート位置をルートに持ってくるだけで、あとは全く同じように弾くことができますので、大変便利です。
 コードCの場合の譜面と鍵盤図を書いてみましょう。

セブンスやメジャーセブンスが付いているコードの場合は、山の一番高くなっている音を、ルートではなく、セブンス(ルートの1音下)やメジャーセブンス(ルートの半音下)の音にすればOKです。

C以外のコードも、全て上に書いたように

というパターンで弾けます。この指使いを手グセにしてしまえばどんなコードでも左手を目視せずにこのアルペジオが弾けるようになりますから、色々なコードで練習してみて下さい。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 毎日が怒濤のように過ぎて行きます。何でこんなに忙しいんだろう。(単にさばけないだけじゃないの?←陰の声)
 今、4月12日(月)夜11:00。そろそろ会社を出ようと思って、デスクの前に明日やらなくちゃいけないことを書き出してみたら、18本もある! 昼からは撮影立合いで半日つぶれるしなぁ・・・。この「ちょっとひと言」も今日書いとかないと、明日の更新がまたまた遅くなってしまいそうだ。
 …とか何とかブツブツ言いながらこの原稿を書いています。もっとも、会社を出てしまえば「あとは何とかなるだろう」と気分を変えて、CDかけながら夜の国道を飛ばすか。怒濤の明日が始まるまでの、もうひとつの自分の時間。
−an 弾手−


第86回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)
ためのコード奏法超入門講座」
(その26)an弾手流二段譜の活用術
[2004.4.20]
 好きな曲を弾きたいと思った時、皆さんはどうしていますか? CDを何回も聴いて耳コピーする、いう方法もありますが、普通は楽譜を探しますよね。このコラムでは一貫してリードシートによるコード奏法の話をしてますが、楽器店に売ってあるピアノの楽譜は圧倒的に二段譜が多いですよね。「〜ピアノ○○」というタイトルが付いている楽譜は100%二段譜です。(多分)
 私も二段譜の楽譜は沢山持っています。コード奏法を始める前は二段譜を見ながら恐怖の丸暗記奏法(?)に挑戦したことがあるので、一応、二段譜の表記ルールぐらいは分かります。でも二段譜で楽譜通りに弾くのは苦手です。そこで今週はこの二段譜を私がどんな風に使っているのかをお話してみようと思います。(クラシックは対象外です)

 独断と偏見による、an弾手流二段譜の活用術

(まず、購入前の店頭でのチェック)

1、弾きたいと思う曲かどうか。
 当り前のコトですけど…。せっかく練習するんだったら自分が弾いて楽しい曲、弾いてカッコ良く聞こえそうな曲、レパートリーに加えたい曲を選びたいですよね。ただ曲集は普通数十曲が1冊にまとまっています。ですから本当に自分の興味をそそられる曲が何曲入っているか、が問題です。1〜2曲だけのピアノピースもありますが、1曲当りの単価は高くなってしまいます。

2、Keyを見る。
 弾きたい曲が見つかったら、Keyを見ます。要するに♯や♭が何個付いているか。自分のレベルを考えて、あまり難しそうなKeyの曲は敬遠します。但し、簡単なKeyならいいってものでもありません。初心者用に、「ハ長調で弾く〜」なんてのもありますが、移調することで原曲の良さが死んでしまうこともあるので要注意です。楽譜を見ただけで見分けるのは難しいですが、ピアノで弾く訳ですから、メロディーラインの音域が中音域だけを終始ウロウロしているようなのは多分ピアノ映えがしないだろうと予測します。もっとも、これは自分が演奏する時、アレンジしていけばいいことではありますが…。

3、コード進行を見る。
 クラシック以外の曲なら、二段譜でもコードネームが付いているはずです。(コードの振ってない楽譜は論外です)コード進行のあまり単純なものと、あまり複雑なものはパスです。コードは自分で付け替えてもいいんですが、それが難しいから楽譜を探している訳でして…。

4、音符の動きを見る。
 どんなアレンジがされているのか。もちろん楽譜通りに弾くつもりはないんですが(というより弾けない?)、自分でアレンジする時の参考になりそうな、カッコイイ音の使い方が書いてあるかどうか? これも楽譜を見ただけでは難しいのですが、何となくカンで決めます。「この辺のベースラインの動きが面白そうだ」とか「ここの間奏部分、カッコ良さそう」とか。何か、自分の演奏のネタに使えそうな要素がいくつかあったら、買い!です。


(イザ、ピアノの前に坐って)

1、二段譜をリードシートと思って見る。
 二段譜では二段の五線の間に沢山の音符が書いてあります(当然!)。この中から、その曲のメロディーラインだけを拾っていきます。とりあえず、メロディー以外の音符は無視! メロディーラインとコードだけ見れば、複雑な二段譜も、ホラ、シンプルなリードシートに早変わり!という訳です。そして、いつも自分が慣れ親しんでいるコード奏法のやり方で自分流に弾いてみます。何のことはない、リードシートを買ってきた、と思えば苦手な二段譜も恐るるに足らず、です。

2、音の使い方を見る。
 自己流コード奏法である程度弾けたら、はじめてメロディー以外の音符を見てみます。すると、「このコードで、こんな音の組み合わせを使っているんだ!」とか、「このコード進行の時に、内声部でこんな音の動きをしてるんだ!」とか、自分が思いも付かないような発見が一杯出てきます。(さすがプロのアレンジ!)
 但し、やり出すと各小節ごとに沢山ありすぎるので、その中から自己流コード奏法にうまくプラスしていけそうなものだけ拝借していきます。これで自分のマンネリ化したコード奏法がグッと新鮮に聴こえるようになります。

3、イントロ、間奏、エンディングを見る。
 イントロ、間奏、エンディングは、そのまま使えそうな時は、そのまま真似します。イントロはほぼそのまま弾いて違和感ないものが多いです。二段譜としてもイントロ部分は割りと簡単な場合が多くて、私でもとっつきやすいかな。間奏は、メロディーラインとコード進行だけ拝借して、弾き方は自己流コード奏法した方がうまくいきそうな場合が多い。エンディングは、正直言って市販の二段譜はちょっと物足りない、かな。(エラそうなこと言ってますが、私が知っている極く少数の楽譜だけの話です)
 エンディングは自分で納得するようにくっつけます。

4、その他の味付け。
 二段譜の場合は、文字通り、楽譜通りに弾いて完結することを前提に出来ているので、さすがに良くまとまっているんですが、逆にまとまり過ぎてどうしても「譜面」という枠からハミ出せないところがあるような気がします。恐らく、譜面通りに完璧に弾いても、プロのピアニストが夜の街なんかで弾いているあの雰囲気とはちょっと違うかな。あの手の演奏には譜面には書き切れないようなアドリブ的な音や広い音域が含まれてますからね。
 例えば音域で言えばポピュラーピアノの実際の演奏では8vaでも追っつかないような広い音域(極端に言えば鍵盤の一番右上のC、とか)なども多用して、あの独特のキラキラ感を出しているように思います。
 私の場合は幸か不幸か二段譜が苦手なので、(少なくとも、幸、じゃないよね)、プロの演奏を耳で聴きながら少しでも雰囲気を真似できるところは真似しようとしています。逆に二段譜が得意な方は、譜面の枠にとらわれず、鍵盤の左はじから右はじまで、88鍵全部使うくらいのつもりで味付けを工夫されたらいいんじゃないのかなぁ、と思っています。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 先日、熊本城の横を車で通りました。石垣の間を抜けると、フロントガラスの向こうを一陣の風に乗って木の葉が吹雪のように舞っていきました。お城一帯に植えられている楠の大木から、大量の葉が散っているのです。見上げると梢には若い葉が一杯に芽を吹いて、初夏を待ち切れない陽射しの中にキラキラ輝いています。そんな話をしていたら、俳句をやる人から「それを春落葉って言うんだよ」と教えていただきました。
「ついでに言うと、春先、竹の葉が散るのを[竹の秋]、秋に竹の緑が濃くなるのを[竹の春]って言うんだ」とも。ウーン、ちょっぴり粋人になったような気分だ。それにしても、一斉にいのちが萌え出る季節になりましたね。なんか、ウキウキしてきますね。
−an 弾手−


第87回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)
ためのコード奏法超入門講座」
(その27)イントロの考え方
[2004.4.27]
 リードシートは一般にシンプルなメロディーにコードネームが振ってあるだけです。コード奏法の練習の間はそこだけ(メロディーをワンコーラスだけ)弾いていてもいいのですが、いざ人前で弾こうと思えばそれではなかなかサマになりません。やはりイントロやエンディングをつけて、一つのまとまった曲としての体裁にする必要があります。

●イントロの考え方
 イントロの役割は何でしょうか。
 伴奏の場合はヴォーカリストがリズムや音程をとりやすくし、歌い出しのタイミングを合わせるなどの役割もありますが、ピアノソロの場合は、聴いている人に今から始まる曲への期待感を膨らませる、ということと、本題の曲をより引き立たせるというのが大きな役割でしょうか。小説を読みたくて一冊の本を手にしたとします。まずいわくありげなデザインの表紙があり、題字があり、開くと扉があり、前書きがあり、さらに中扉があり、やっと本文が始まります。
 本文にたどり着くまでに徐々に期待が高まっていくように構成されています。曲も、ある一つのストーリー(物語)だと考えれば、そんな導入が必要です。それがイントロだと思えばわかりやすいでしょう。

 それではイントロの簡単な作り方を考えてみましょう。

(1)その曲のお決まりのパターンを使う方法。

(2)メロディーを意識した方法。
1.曲の最後の数小節のメロディーを使う
2.曲の最初の数小節のメロディーを使う
3.曲のサビのフレーズを使う

(3)コードを意識した方法
1.曲の最後の数小節のコード進行を使う
2.曲の最初の数小節のコード進行を使う
3.循環コード(I−VIm―IIm―V7など)を使う
4.ドミナントコード(V7)を使う

(1)その曲のお決まりのパターンを使う方法。
曲によっては決まったイントロのパターンがある場合があります。そんな曲では素直にこのパターンを使うのが賢明でしょう。違うイントロを無理につけると、聴いている人に違和感や不満が残る場合があります。

(2)メロディーを意識した方法
曲の中のメロディーの一部をイントロに使う方法です。
1. 曲の最後の数小節のメロディーを弾く
2. 曲の最初の数小節のメロディーを弾く
どちらも分かりやすい方法ですが、どちらかというと歌の伴奏のイメージが強く、ピアノソロではあまりスマートではないような気がします。
3. 曲のサビのフレーズを弾く
やり方によってはオシャレにまとまるでしょう。但し、本来のサビよりやや控えめにしておくことが必要です。

(3)コードを意識した方法
1. 曲の最後の数小節のコード進行を使う
2. 曲の最初の数小節のコード進行を使う
どちらも、弾き方としてはコードバッキング風にしたり、アルペジオにするのが簡単です。慣れてきたらコード進行に沿ってカッコいいイントロを作曲できたらいいですね。まずは曲のメロディーをどことなくイメージさせるようなフレーズにしてみましょう。なお、イントロの最後のコードはドミナント(V7)にしてそのまま曲の頭につなげるか、トニック(I)で一旦終わった感じにして、改めて曲を弾き始めるなどの方法が考えられます。

3. 循環コード(I−VIm−IIm−V7)を使う
1−6−2−5の循環コードです。色々なKeyでのこの循環コードが弾けるように慣れておくと、簡単なイントロとして使えて便利です。

4. ドミナント(V7)を使う
非常にシンプルなイントロですが曲によってはなかなか渋く決まったりします。
曲のKeyのV7のコードをアルペジオにしてパラパラパラッと流してからおもむろに曲が始まる感じで弾いてみましょう。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 熊本市内のクラブ「S」で、専属のピアニストがラストナンバーに必ず弾く曲があります。「ひまわり」。ヘンリー・マンシーニ作曲の映画音楽です。あの、甘くせつないメロディーが流れ始めると店内の照明が一段と暗く落とされ、客はそろそろお開きの時間が近づいたことを知るのです。
 あの何とも言えない美しいメロディーが耳に残って、私もぜひレパートリーのひとつにしたいと思いました。そこで少し楽譜を探してみましたが、なかなか見つかりません。ところが、先日購入したジャズ、ポピュラーのスタンダードピアノCD12枚セットの中に、この曲があったんです。今、毎日車の中でこの曲をリピートで流しっぱなしにして聴いています。このところなかなか自宅でピアノの前に坐る時間もないんですが、そのうち耳コピーで弾けたらいいなあ。
−an 弾手−


第88回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)
ためのコード奏法超入門講座」
(その28)エンディングのまとめ方
[2004.5.4]
 さて、先週はイントロの話でした。今週はエンディングです。
 エンディングの役割は何でしょうか?
 曲の最後を余韻を持って締めくくり、聴き手に「ああ、聴いてよかった」という充足感を与えるものですね。本で言えばあとがき、料理で言えばデザート、宴会で言えば軽い2次会、デートで言えばお別れのキスや、別れた直後の「今日は楽しかったよ。おやすみ…」なんてメールみたいなもの、かな。そんなイメージでエンディングを考えてみると分かりやすいでしょう。

 それではエンディングの簡単な作り方を考えてみましょう。
1.曲の最後の数小節を繰り返す。
2.曲の最後の数小節を引き伸ばす。(音符を2倍ずつの長さにする)
3.循環コードのパターンを利用する。
4.トニックコードのアルペジオで終わる。


1.曲の最後の数小節を繰り返す。
普通、最後の4小節程度のフレーズをrit.をかけながら(名残り惜しげに)繰り返します。

2.曲の最後の数小節を引き伸ばす。
普通、音符を倍の長さにするといかにも「これで終わりです」という感じになります。

3.循環コードのパターンを利用する。
イントロと同じで、I-VIm―IIm-V7―I
などの循環コードが使えます。もちろんエンディングですから最後は必ずトニック(I)で終わるようにします。
また、これ以外にいかにも「エンディング!」という感じになるコード進行がありますからこれも覚えておいて臨機応変に使えると心強いです。

例えば
(例1)I-IV-IVm-I
key=Cの場合はC-F-Fm-Cとなります。
このFm(IVm)-Cがミソで、ちょっと物悲しいような、懐かしいような雰囲気で、終わった!という感じになります。

(例2)I-VI♭-VII♭-I
key=Cの場合はC-A♭-B♭-Cとなります。
こちらはハッとするような高揚感があり、ハッピーエンド!な終わり方です。

4.トニックコードのアルペジオで終わる。
Key=CならC、key=GならGの華麗なるアルペジオをややゆっくり目にパラパラパラ~ッと流して、最後に鍵盤の一番右上でミ、ソ、ドをゆっくりポロン、と鳴らす感じです。シンプルですがその分大抵の曲には使えます。また、思い入れたっぷりに弾くと、ピアノを「操っている」という感じがして簡単な割には「上手そう!」に聴こえます。

 このバリエーションとして、トニックのシックスナインスのコードを使う手もあります。オシャレでジャジーな香りがして、急に上手くなったような気分に浸れます。

 これらの方法を一つだけではなく、いくつか組み合わせることもできます。その曲らしい、あるいは自分らしいエンディングを工夫してみましょう。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 an弾手からのお願いです!!
《新企画!Q&Aコーナー(ご質問)大募集!!》

読者の皆様から、メールでのご質問をよく頂きます。その都度、ご本人には返信していますが、他の方にも参考になりそうなテーマもあったりしますので、たまにはこの奮戦記のページ上でQ&Aコーナーみたいな企画もいいかなぁ、と急に思い付きました。
 そこでご質問を大募集いたします!!
内容は、このコラムに関すること(ピアノのこと、コードのこと、奏法のこと…)はもちろんですが、そのほかan弾手のプライベートのこと、熊本の見どころ、うまいものの話など、何でも結構です。
 …と言いながら、ちょっとむずかしい話になったらほとんどまともにお答えできないかも知れません。掲載できるかどうかは、an弾手の独断と偏見と能力によりますので、何卒ご容赦下さいませ。
(但し、個人的には、何らかのご返事はするつもりです。私には分かりません、とか何とか…)

●下のアドレスから送信して下さい。(いつものと同じですが)
 piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
※なお、送信の際は掲載させていただく場合のお名前の表記(本名か、ハンドルネームか)をご指示下さい。
※募集の期限はありません。随時、どうぞ!!
 以上、どうかこの企画が空振りに終わりませんように、皆様の暖かいご支援、ご参加をよろしくお願い致しま〜す!!
−an 弾手−


第89回 「Q&Aコーナー」(その1)
目を閉じていても出来る左手の移動法
[2004.5.11]
 先週、急に思い立って新企画Q&Aコーナーのご案内をしましたが、今回はさっそく(その1)です。
 少し前に頂いたメールですが、ピアノに触れてから3年半という、新潟県UKさん(30歳・男性)からのご質問です。


「1度5度8度とその応用の記事、大変参考になっています
(以前もお伝えしましたが)
人前でまだ披露したことはありませんけども、そのうちさりげなく^^。

1度5度8度の演奏について---その後試したところ
例えばコード進行がC-F-Gの場合のアルペジオを考えると
コードCからFへ移る時、ルートを5(小指)で弾こうとすると
5(小指)の移動距離が大きいので、私の場合
リズムがずれたりミスタッチすることがあります。そこで、
コードFをド・ファ・ドの5度1度5度で弾くようなアレンジをしています。
ここからさらにコードFからGへ移る時、
やはり同様にルートを5(小指)で弾こうとすると
5(小指)の移動距離が大きいので
コードGをレ・ソ・レの5度1度5度で弾くようなアレンジをしています。
このへんについてなにかアドバイスいただけますでしょうか?」

 このご質問には2つのテーマが含まれていますよね。
1.左手の移動距離が大きいコードチェンジをスムーズにするには?
2.左手の最低音をルート以外の音にしてもいいのか?


さて、皆さんはどう考えますか?

 では、まず
1.左手の移動距離が大きいコードチェンジをスムーズにするには?

 確かにC→Fとか、C→Amなどの時、小指でベース(ルート)をつかむパターンでは左手の移動が大きくて大変ですね。1,6,2,5の循環コード、C→Am→Dm→Gなんかも結構苦労されている方も多いのでは。左手を気にしていると右手がお留守になるし、右手を見ていると左手が間に合わないし。
 私も最初の頃、なかなかうまくいかずに
「こんな、左手、右手同時に別々の的に当てるなんて、人間に出来るの?」
と真剣に思ったこともあります。ところが、そんなある日、いろいろやっているうちにうまい方法を発見しました!個人差もあると思いますが私の方法をご紹介しましょう。

左手の小指、人差し指、親指のうち、一番長い人差し指をガイドに使い、黒鍵の形と並びを手探りで探っていくのです。
 F(Fm)の時はC♯の黒鍵の左側面に人差し指の右側を当てます。すると小指と親指は自動的にFに乗ります。
 A(Am)の時はE♭の黒鍵の右側面に人差し指の左側を当てます。
 E(Em)の時はB♭の黒鍵の右側面に人差し指の左側を当てます。
 その他のコードは人差し指をどの黒鍵の間にはさむか覚えておきます。
 こうして黒鍵の形を人差し指の感覚で探りながら手探りで左手を移動させます。また、指の運びとして、C→Fの時は親指が乗っているCの鍵盤に次は人差し指が乗ればいい訳なので、尺取り虫風に、まず親指の位置(C)に人差し指を運び、次にこの人差し指(C)を基準にして親指をFに運ぶ要領です。この時C♯の黒鍵の側面を人差し指で感じておくのです。慣れると、目を閉じていても左手は必要なポジションに来るようになります。そうすると意識は右手(メロディー)と曲想に集中できます。
 他のコードもそんな感じで工夫してみてください。

 ご質問のもう一つのテーマは次週に考えてみましょう。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 先週に続きan弾手からのお願いです!!
《新企画!Q&Aコーナー(ご質問)大募集!!》

 読者の皆様から、メールでのご質問をよく頂きます。その都度、ご本人には返信していますが、他の方にも参考になりそうなテーマもあったりしますので、たまにはこの奮戦記のページ上でQ&Aコーナーみたいな企画もいいかなぁ、と急に思い付きました。
 そこでご質問を大募集いたします!!
内容は、このコラムに関すること(ピアノのこと、コードのこと、奏法のこと…)はもちろんですが、そのほかan弾手のプライベートのこと、熊本の見どころ、うまいものの話など、何でも結構です。
 …と言いながら、ちょっとむずかしい話になったらほとんどまともにお答えできないかも知れません。掲載できるかどうかは、an弾手の独断と偏見と能力によりますので、何卒ご容赦下さいませ。
(但し、個人的には、何らかのご返事はするつもりです。私には分かりません、とか何とか…)

●下のアドレスから送信して下さい。(いつものと同じですが)
 piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
※なお、送信の際は掲載させていただく場合のお名前の表記(本名か、ハンドルネームか)をご指示下さい。
※募集の期限はありませんが、出来ましたら早めに、よろしく!!
 以上、どうかこの企画が空振りに終わりませんように、皆様の暖かいご支援、ご参加をよろしくお願い致しま〜す!!
−an 弾手−


第90回 「Q&Aコーナー」(その2)
左手ベースの基本?
[2004.5.18]
  先週、UKさんからのご質問を取り上げましたが今週もその続きです。
先週のご質問をもう一度載せてみます。


「1度5度8度とその応用の記事、大変参考になっています
(以前もお伝えしましたが)
人前でまだ披露したことはありませんけども、そのうちさりげなく^^。

1度5度8度の演奏について---その後試したところ
例えばコード進行がC-F-Gの場合のアルペジオを考えると
コードCからFへ移る時、ルートを5(小指)で弾こうとすると
5(小指)の移動距離が大きいので、私の場合
リズムがずれたりミスタッチすることがあります。そこで、
コードFをド・ファ・ドの5度1度5度で弾くようなアレンジをしています。
ここからさらにコードFからGへ移る時、
やはり同様にルートを5(小指)で弾こうとすると
5(小指)の移動距離が大きいので
コードGをレ・ソ・レの5度1度5度で弾くようなアレンジをしています。
このへんについてなにかアドバイスいただけますでしょうか?」


このご質問のテーマ
1.左手の移動距離が大きいコードチェンジをスムーズにするには?
2.左手の最低音をルート以外の音にしてもいいのか?

のうち1.は先週やりましたので、今週は

2.左手の最低音をルート以外の音にしてもいいのか?
を考えてみます。

 バンドなどで演奏する時にはベースというパートがあって、文字通りその曲のベース音を鳴らしてくれます。ですからピアノ(キーボード)では楽器同士の音がぶつからないようにベース音は省略して弾きます。でも、ピアノソロの場合は、メロディーのほかにべースパートも自分で弾く必要があります。二段譜の場合はアレンジャーがそこを考えてちゃんと左手にベースラインが入るようにアレンジしてますから楽譜どおりに弾いていればいいんですが、リードシートで弾く時は自分で考えないといけません。
 えー、ここから先の話は私も専門的なことは良く分からないので、もし間違ったこと言ったらすみません。(でも、大筋では当たっていると思います…)
このアナ鼻ピアノでご紹介しているピアノソロの場合、左手は基本的にはベースラインを弾く、とエイヤッと思ってください。そのベースの上に右手でメロディーとコード(和音)を乗せていく、とエイヤッと思ってください。すると、何となくこの奏法の演奏の原理がイメージできるような気がしませんか?
 さて、そういう共通認識の上で先ほどのご質問を考えてみましょう。
C→Fの場合、左手のコードFをド、ファ、ド(5度、1度、5度)で弾いていいか?
F→Gの場合、左手のコードGをレ、ソ、レ(5度、1度、5度)で弾いていいか?
ということですね。
分かりやすいように音符にしてみると例えばこんな感じでしょうか?

 確かに指の移動が少なくて弾きやすそうですね。コードの押さえ方としても転回形でうまくつながっているし…
 でも左手がベースパートということを考えると問題がありそうです。C→Fで1拍目がドのまま動かないのでコードが変わったように聞こえません。F→Gはどうでしょうか?ここも1拍目がレでコードDのように感じます。
 まあ、結論として、あまりお勧めできないと思います。ベースラインの基本としてはやはり1拍目はルートを弾く(必ずしも最低音でなくても)と考えた方がいいと思います。右手のコードの押さえ方が同じでも、左手のベース音〈ルート〉によって違うコードに聞こえます。この辺の事情はバックナンバー第56回を見てください。
 2拍目以降の音はいろいろ遊んでみてもいいのですが、(例えば半音ずつ下がる、とか)その時は次のコードのルートにつながる最終拍をどうするかがポイントになりそうです。
 だんだん話が複雑になってきますので、この話はこの辺までにしときましょう。とりあえずこのアナ鼻ピアノでご紹介している左手のパターン(第61回、62回)をやっていれば何も考えなくても一応、左手ベースの基本は押さえてるってことになりますからとても便利です。
でも、UKさんのようにそこから発展させていろいろ工夫してみることはコード奏法では非常に重要ことですので、皆さんにも是非習ったこと以外の弾き方も色々試して遊んでみてくださいね。UKさん、とても有意義なご質問、ありがとうございました!
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 先日、リニューアルオープンした仕事先の居酒屋の反省会に参加しました。そこはマスターのご家族のほかは全員バイトという構成。シフトで普段はお互いに顔を合わせないバイトさんも全員(9人)揃って、お客様アンケートの内容をチェックしたり、基本動作の確認をした後、皆んなで会食。それからカラオケに繰り出しました。私も久し振りに、はたち前後の若者達に混じってカラオケってしまいました。でも、歌う曲目のギャップはいかんともしがたく、ここは開き直るしかなかったなあ。0:00過ぎにお開きの後は今度はマスターと3次会、4次会まで流れて帰宅は午前4:00。この歳になると、さすがに翌日にこたえた反省会でした。
−an 弾手−
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