第141回●「宝物の発見に思わず感激!読者の方からのお便りご紹介」[2005.9.7]
 本が出て以来、たくさんの方からメールをいただくようになりました。「お父さんのためのピアノ教室」の読者の方からは技術的なご質問が多いのですが、今度の「40歳からのピアノ入門」ではピアノに取り組む気持ちや、きっかけなどへの共感の声を多くいただいています。

 今回はそんな中から、「40歳からのピアノ入門」をお読みいただいた47歳の男性の方からのメールをご本人のご了解をいただいてご紹介しましょう。
 ずっとピアノに憧れ、ピアノを身近な友と感じながらも、今ひとつその先に進む事ができなかったというI.Sさんのご感想は、同じような思いでいる多くの方にも共通するところがたくさんあるのではないでしょうか。
an弾手様へ

 先月のある土曜日の午後でした。しばらくぶりに、とある書店の音楽誌のコーナーを見ておりましたところ、貴書をその一角に発見いたしました。

 タイトルを見て、直ぐ開いて最初の数ページをそこで読ませていただきました。読みながら、少しずつですが全身に計り知れない勇気を感じてきておりました。その思いが徐々に心の中に大きく広がっていくのを実感しておりました。私がずっと探し求めていた本でした。
 「あっ、これだ!そう、そう、これこれ。」
 思ってもみなかった宝物の発見に思わず感激。そんな自分がそこおりました。

 読みながら、その出会いの感動がずっと今も続いております。しぼみがちで、先の全く見えなかった「我がピアノ道」に一筋の光を貴書が注いで下さいました。本当にありがとうございます。
 自分なりにこれまでに試みてきた方法がうまくいかず、貴書の中に発見したことをこれから実際にトライしてみようとワクワクしております。更なるご指導ご鞭撻を賜りますよう、どうかこれからも宜しくお願いいたします。

 「音を楽しむこと」を忘れることなく、肩の力を抜いてピアノを続けて参りたいと願っている一人です。私は現在47歳。家族は家内と13歳と4歳の女の子が二人です。音楽とは全く無縁の仕事している者です。

 誰のために買ったのでしょう。実家にはアップライトのピアノがありました。ある日そのピアノにさわり始めました。私が高校生、1975年頃の事です。

 楽譜は残念ながら今でも読めません。読もうとする努力をして来ませんでした。母親に連れられて小3の頃だったでしょうか、オルガン教室へ一度行ってみたこともありました。そうすると周りは女の子ばかり、何となく恥ずかしくて次の週から逃げ出し、二度とそこへは戻れませんでした。続けてそこに行かなかったこと、現在の自分は少し後悔しております。

 それからだいぶたった高二の頃だったでしょうか、思い直して数回自主的にピアノを習いに行ってみましたが、またしてもそこで挫折。それでもピアノは好きで、以来「我流のピアノ弾き」を続けて参った者です。周りで聞いた音を真似て弾く。そんなことをずっと続けてきました。
 高校三年間はコーラス部にも属して譜面を終始見てはおりましたが、実はピアノでのパート音だけを頼りに自分で音をとって発声をしており、音符そのものにはほとんど集中しておりませんでした。随分むちゃくちゃな話だとお思いでしょう。その通りなんです。こんなコーラス部員もおりました。ご免なさい。

 曲としてはバラード調の優しいものが好きです。
 「楽譜の読めないピアノいじり」、そんな風に家内や長女からは胡散臭い眼で見られております。実績も全くありません。
 「どうせやっても無駄だから。」そんな彼らの視線を横目にしながらも、それでいて決して諦めてはおりません。諦められないのです。何せピアノが大好きなんです。何かいい方法が必ずあるはずだ。そう信じて参りました。
 しかしながら譜面の読めない悲しさもずっと味わって参りました。確かにそこにはピアノを続けていく上で限界があるようにも思われます。
 これからになりますが「コード奏法」に臆せずにじっくりと取り組んで見たいと思っています。
 「今度こそやって見るぞ!」そんな意気込みでおります現在の自分です。

 何でこんなに自分はピアノが好きになったのかをお話しさせていただきたいと思います。高二から高三の春休みをはさんでの短期留学で行かせてもらった米の高校の音楽室で、David GATES の作曲した IF と云う曲に出会いました。その曲を誰かがピアノで流暢に弾いていたのを偶然にそこで耳にしました。観客は私一人でした。
 そのピアノの奏でる流れるような旋律に私は魅せられてしまいました。とても素敵な曲なんです。そのメロデイがいつまでもいつまでも頭を離れずにありました。その曲こそが私とピアノとの初の出会いであり、出発点でもありました。
 「私もこんな風にピアノを弾いてみたい」
 と思いました。その時その曲を弾いていた人が、作曲者名と題名そして曲のコードをメモ書きにして私に渡してくれました。そのたった一枚のとっておいたメモ書きが、後で大切な弾く時のヒントとなりました。

 お忙しい中、このメールを読んでいただき感謝を申し上げます。これから先「コード奏法」とじっくりと向き合いながら教材も揃えて、出来る範囲の中で音を楽しむ為に力を注いで見たいと思っております。自分勝手なことを長々と書いてしまいましたことどうかお許し下さい。まだまだ暑い日が続きます。どうかお体にご留意下さってご活躍下さい。

 それではまた。お元気で!ありがとうございました。

I.S

 I.Sさん、ありがとうございます!
 ピアノへの熱い思いが伝わってきました。私にも共感できるところがたくさんあり、他人事とも思えません。私の本が、何らかのヒントになったのであればこんなにうれしい事はありません。
 その後のお便りで、さっそく「お父さんのためのピアノ教室」も入手され、練習を始められたとのこと、うれしい限りです。
これからも一緒にピアノを楽しんでいきましょう!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 台風14号が直撃しました!

 9月6日、朝から雨と風。昼過ぎに熊本に最接近するというので会社は休みッ!家の雨戸を閉めておとなしくしていました。
 ただ、去年は台風で会社のガラスが割れて大変な事になってしまいましたから、今回は大丈夫かな、と、家にいても心配。7日に出勤して無事を確認し、ほっとしたところです。

 皆様のところはいかがでしょうか?
 まだまだこれから被害が発生するところもあるかもしれませんね。どうぞお気をつけください 。
−an 弾手−


第142回「新聞社が自宅に取材に!」 [2005.10.11]
 先日、会社で仕事中。ちょっと長電話をして受話器を置いたら、女性社員が
「今、電話がありました。こちらにお電話くださいとのことです。」
 と、電話受付メモを持ってきました。
 見ると、某大手新聞の西部本社から。取材にうかがいたい、とのこと。
 ん?何の取材だ?
 電話番号は092で始まる福岡局番。さっそく掛けてみます。

「今お電話いただいた○○と申します。」
「始めまして。実はピアノの件で取材におうかがいしたいのですが。」
 あっ、ピアノかぁ!う〜む、なんだか複雑な心境。いえ、ピアノで取材していただくの、とてもありがたいし嬉しいのですが、たまには本業の方でも何か話題に取り上げられるような事があればなあ、な〜んて贅沢な事、思わないでもありません。などど言いつつ、やっぱり嬉しい。
「取材させていただいてよろしいでしょうか?」
「はい。」(もちろん!←陰の声)
「それではカメラマンと一緒にうかがいます。撮影がありますのでやはりピアノのあるところがいいと思います。どこか適当なところございますか?」
「そうですねぇ。ピアノがあるところといえば夜のピアノバーか、楽器店のレッスン室か…」
「ピアノバーだとプロっぽい感じになりますよねえ。ご自宅は…?」
「ええ、自宅にもピアノはありますが…」
「お父さんのピアノ、っていうテーマですからやはりご自宅がいいですね!よろしいですか?」
「あ、はい。」
 一瞬、我が家の雑然とした部屋の様子が頭をよぎります。
「いつうかがいましょうか?」
「自宅ですと、休日のほうが…。平日は仕事で会社に出てますから。」
 やはり趣味のピアノのために仕事の時間を割くのは抵抗があるのです。
「では今度の土曜日とかは?」
「はい、それでお願いします。」

 ヤバっ!約束したもののあと3日だ!今週は毎日帰り遅くなりそうなので部屋の片付けは当日朝からだぁ!
 それに、どんな記事なのかよく聞かなかったなあ。写真を大きく載せたい、とは言ってたけど…。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 8月3日のこの「ちょっと、ひと言」に、我が家のベランダに植えたニガウリの話を書いてましたね。
 その後、たくさんの実を次から次に着けてくれました!ほぼ毎日、色々なメニューで食卓に登場してくれました!そして冷蔵庫の中にはタッパに入った塩漬けがまだまだたくさんあります。
 あれから2ヶ月、見事に茂って涼しげだった葉っぱも、そろそろ終わりになりそうです。暑かった夏、暑かった秋。しかし、10月も半ばになって、少しは秋らしくなった高い空と枯れ始めたニガウリの葉に、やっと季節の変化を感じています。
−an 弾手−


第143回「そして、取材当日…」 [2005.10.18]
 某新聞社が福岡から我が家に取材に来るという電話。「はい」、とは言ったものの、さて…。
 今回はその続きで〜す。

 いよいよ当日。朝から部屋の片付け大作戦の開始です!なにしろ悲惨な状況なのです。ピアノはリビングルームにあるのですが、そこには今春大学を卒業した息子がアパートから送ってきた不用になった冷蔵庫と、すぐ使わないけど大切な書類が入ったダンボールが二つ、不似合いな雰囲気で置かれています。(とりあえず置き場がなくてリビングの一角に置いたら、すっかりそのままになってる!)
 おかげでそこにあったソファーセットは二階の部屋に避難したまま。人が来ても掛ける場所もないぞ!リビングに続くダイニングには古新聞の山!これも紐でしばって出しとかなければ…。おっと、もちろんピアノも磨いとかなくちゃですね!
 という訳でバタバタしてるうちに11時を回っちゃった!午後1時に約束したから12時までには終わって軽く腹ごしらえでもしとかないと。あ、そう言えばさっき出て行った奥さん、どこに行ったかと思っていたらきれいな花を買って帰ってきた。玄関とリビングの花瓶に活けてくれてます。お〜、何だか見違えるような我が家だ!

 すっかり汗びっしょりになったので一旦シャワーを浴びて下着を替えて、やっとスタンバイ!
ふぅ、二階から戻したソファーに掛けて見回すと、何とか人並みの部屋になったかな。時々お客さんが尋ねて来てくれると、いつもこんな感じでいれるのかなぁ。記者さん、ありがとうございます。

 ピンポーン♪ 午後1時ぴったりにチャイムが鳴りました。玄関を開けます。あれっ、一人?確か電話ではカメラマンを連れてくるっていう話だったけど。
「すみません。カメラマンが今日はみんな出払ってまして。私が撮りますから。」
なるほど、いかにもプロ、っていう感じの使い込んだカメラを肩に掛けた40代くらいの男性記者さん。
「あ、いいえ。どうぞこちらへ…。」
部屋へ案内して(さっき二階から下ろしたばかりの)ソファーに掛けます。
「ところで、ピアノを始められたきっかけは?」
ソファーに掛けて軽く挨拶を交わすと、いきなりインタビューが始まりました。
「ええ、実は娘が……」
と話し始めたら、どんどんつながって質問が続きます。
「それまでのピアノ経験は?」「楽譜は読めたんですか?」「どんな曲を?」「娘さんは今でも弾かれてますか?」「いつも練習はどれくらい?」「どんなところで弾かれてますか?」「レパートリーは?」
えーっと、他にもいっぱい聞かれましたが忘れました!1時間くらいインタビューが続いたでしょうか。
「では写真を撮らせてください。ちょっとピアノを弾いていただけますか。」
いよいよピアノの登場です。午前中に大屋根を開いてしっかりほこりを払っておいた我がピアノの前に座ります。
「旧い曲ですが、小さな日記、ってご存知ですか?これを自分なりにアレンジしたのを弾いてみますね。」
弾き始めると、記者さんは曲を聴くというよりカメラを構えてピアノの周りをあっちこっち移動しながらバシャバシャ、シャッターを切り始めました。
「ちょっと、手を止めてこっちを見てください!」
「はい、カメラ目線で!」
「今度は少し横を向いて!」
「はい、では後ろ向きになって!」
…ん?
そうか、ピアノを背にして座るんですね!
「じゃ、そこに肘をついて、手をあごに当てて!」
え〜、こういうの苦手なんですよね〜
「はい、そこで二カッと笑って!」
だからぁ、そういうの苦手なんですよね〜っ
「はい、結構です。終わりました!」

 ふぅ。すみません、被写体悪くて。写真撮られるの苦手で…。
「○○日の夕刊と○○日の朝刊に載る予定です、一応。」
ありがとうございました!一体どんな記事になるんだろう?

 あっという間の1時間半の取材でした。門の外までお見送りしてから一人になった部屋でしばらくピアノの弾き直し。さて、記事になるのが楽しみ、と言うか怖いと言うか。
いえ、写真写りの方がもっと心配?

 本当に新聞に載りましたら皆様にもご紹介いたします。よろしく!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 先日、ドレミ楽譜の編集長からメールがありました。
「お父さんのためのピアノ教室がまた重版になります」
 お〜っ、またまた嬉しいお知らせです!初版からちょうど1年で第9刷、13,500部の発行になりました。編集長からも「こういった教本としては近年にないヒット商品」と言っていただきました。
 そう言えば去年の今頃は「いよいよ発売で〜す!」って騒いでましたね(^^; この1年、皆様には様々な形でご協力、ご支援いただいて本当にありがとうございました。ここまで順調に版を重ねてこられましたのも皆様のご支援のおかげです!感謝です!
 次の企画も現在進行中です。編集長からは「今後もまた新しい企画の提案を!」とハッパを掛けられています。無理に頑張るつもりはないけれど、自分で楽しみながら、それがたくさんの方との楽しみの共有に広がっていけたらいいなぁ、と思っています。
 これからもどうかよろしくお願いいたします!!!
−an 弾手−


第144回「顔写真付きの実名報道!読売新聞。」 [2005.10.25]
 某新聞社が福岡から私の自宅まで取材に来てくれた、という前回までの話。
 某、って、実は読売新聞のことです。
「読売新聞西部版の10月22日の夕刊と25日の朝刊に載る予定です一応。何事もなければ…。ただ、熊本は夕刊がありませんから25日の朝刊だけです。」
 と言い残して帰っていかれました。

 さて、その22日(土)。夕刊はここ熊本では見れないので本当に載ったのかどうか分かりません。
 ただ、夕刊発行の翌日(日曜日)には読売新聞のホームページにも載る、という話でしたので23日(日)の朝からアクセスしてみました。
 …しかし、載ってません。

 どうなったのかなぁ、と思いながら、昼頃もう一度アクセスしてみたら…
 あ、出てました!見たような名前と、見たような男の写真!
 う〜ん、写真たくさん撮っていかれたけど、結局これになったんですね。
 記事のほうは、1時間のインタビューを、なるほど実に簡潔にまとめていただいている。以前に地元の新聞(熊本日日新聞)に大きく写真入で取り上げていただいた時は最近の巷の話題(大人のピアノ)としての記事の一部だったのですが、今回は純粋に私個人の記事として書いていただきました(といっても、連載コーナーの中の一回なのですが)。

 記者さんによる身に余る文章とともに、写真を撮られるのが苦手な私としては恥ずかしい写真付き(それもデカデカと!)、なのですが、せっかくですので皆様にご紹介させていただきます。
(このコラムはan弾手ってハンドルネームで通してますが、新聞記事では本人顔写真付きの実名報道!で全部バレバレですね〜!あは…)

 なお、読売新聞西部版の発行は、九州、沖縄、山口、及び島根の一部だそうです。

ホームページのアドレス

http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/muchu/0510/mu_510_051023.htm

新聞記事はこちらをクリック

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 この前の日曜日。仕事の打ち合わせに呼ばれて郊外まで車を走らせてきました。
 ある介護老人保健施設の開設準備会議。この手の施設は、最近名前はよく聞くけど私には制度や仕組みが今ひとつ不案内な分野です。でも、丁寧に説明していただいて少し分かってきました。
 実は私の母がまさにそういう制度の当事者だし、家族として内心切実な問題です。私自身も遠からずお世話にならなくちゃいけないかも知れない。仕事は別にしても、しっかり勉強しておかなくては、と身につまされる思いでした。

 しかし、打ち合わせのあと帰りのハンドルが何となく軽かったのは、フロントグラスから見上げた爽やかな秋空のおかげだったのでしょうか。
−an 弾手−


第145回「幻のダニーボーイ(その1)」 [2005.11.8]
 小泉八雲ってご存知ですよね。ラフカディオ・ハーン。実はこの八雲さん、熊本に大変縁があるのです。
 1891年、熊本の第五高等学校(現熊本大学)の英語教師として熊本にやってきました。そのとき住んだ家が熊本市の繁華街近くに八雲旧居として一般に公開されています。
http://www.yado.co.jp/kankou/kumamoto/kumamsi/kyagumo/kyagumo.htm
 この小泉八雲の人となりや文学作品、さらには彼が育ったアイルランドのことを研究しようという集まり、「八雲会」というのが熊本にあるんです。なぜか私もその会員になってまして…。

 えー、前置きが長くなってしまいました。その八雲会、私は日ごろ何にも活動していなくて、年に1回の総会兼懇親会に顔を出すだけの幽霊会員なのであります。
 私がいつもランチを食べに行く、くだんの喫茶店のママがその世話役と言うかイベント担当というか、「何で私がこんな面倒な役、やんなくちゃいけないのよ〜」なんてぼやきながらも総会案内の発送、出席者の取りまとめ、会場の段取り、プログラムの企画など、取り仕切ってくれているのです。
 で、先日のランチタイム。
「今度の八雲会だけど、ピアノ弾きます?」
 って話になりました。
「うん、いいよ〜。でもどんなのがいいかなあ?」
「なんか八雲にちなんだのってある?」
 …そう言われてもねぇ。
 おっと、そうだ。彼の故郷、アイルランドにちなんだ曲ならありそうだ。確かダニーボーイだってアイルランド民謡だったはず。
 って訳で、アイルランドの曲を探してみる事にしました。
 せっかくだからみんながよく知っている曲がいいなあ。

 探してみたら、ありました。
「庭の千草」
「春の日の花と輝く」
 どちらもメロディーを見ると昔聴いたことがある。
 でもママに言ったら
「そんなの知らないよ」
「いや、確か小学校の時、音楽の時間に習ったはず」
「だって、あなたと世代がちがうでしょ!」
 大して違わないと思うけど…。
 ま、いいか。
 ダニーボーイとあわせてこの3曲でどうにかしてみるか。

 と、決めたまではよかったのですが…。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 81歳のおばあさんから電話を頂きました。
「お父さんのためのピアノ教室」の読者の方。「実地の教室はやってないんですか?」ってお問い合わせ。
 「本で学んでコード奏法やってみるけど、どうしても演奏が単調になってしまうので、なにかテクニックがあるのかと思って。」
 確かに。実際の演奏例を聴かないとなかなか雰囲気とか分かりにくいですよね。
 「いやあ、私も本業が忙しくて教室まで手が回らなくて」とお詫び申し上げました。同じ思いの方も、もしかしたら沢山いらっしゃるかもしれませんね。何か方法を考えなくちゃ。私の今後の課題ですね。
 しかし、そのおばあさんのお元気だったこと!ウクレレを10数年前から、今は横笛とキーボード、更に今年1月からはスチールギターに挑戦中だとか!
 私も負けちゃおれませんなぁ!
−an 弾手−


第146回「幻のダニーボーイ(その2)」 [2005.11.15]
 八雲会の懇親会の出し物で、小泉八雲のふるさと・アイルランドの曲を弾く事になりました。探した曲が、ダニーボーイ、庭の千草、春の日の花と輝く、の3曲です。
 ダニーボーイはジャズのアレンジでもよく聴く曲ですね。私の「お父さんのためのピアノ教室」にもリードシートを載せています。「庭の千草」と「春の日の花と輝く」は、小学校の音楽の時間に習ったような気がします。これがアイルランド民謡だとは知りませんでした。いかにも日本の叙情歌風の懐かしさをそそる旋律で、てっきり日本の曲だと思っていました。今回、この3曲を弾く事になって、改めて曲の背景を調べてみましたのでご紹介しましょう。

 「ダニーボーイ」はロンドンデリーの歌とも呼ばれています。夏の終わりに戦争に行く息子を想う母親の歌だそうです。

〜この草原に夏の日が差す頃、戻ってきておくれ。
そうでなかったら、この谷が雪に覆われる頃になっても私はおまえの帰りを待っているよ。
もし、おまえが帰る時、花は枯れ私も死んでいたら、おまえは私の眠る場所を探してやってくる。おまえのやさしい足音を聞くだけで、私の夢は温かくなる。〜

…というような歌詞らしいです。
なんとも母親の愛情と哀しさにあふれた曲ですね。そう思うと、ダニーボーイのちょっと哀愁を含んだやさしいメロディーがなんだかジーンときます。

「庭の千草」は原題がThe Last Rose of Summer(夏の名残のバラ)。
 夏の終わり、庭に一輪だけ咲き残ったバラを歌った曲ですが日本語訳ではバラが白菊になっています。

庭の千草も 虫の音も
枯れて淋しく なりにけり
ああ白菊 ああ白菊
ひとり遅れて 咲きにけり

露もたわむや 菊の花
霜におごるや 菊の花
ああ あわれあわれ ああ白菊
ひとのみさおも かくてこそ  (訳詩:里見 義)

 なんとも寂しい歌詞です。
 でもメロディーは明るくやさしく可憐な感じですね。

「春の日の花と輝く」は原題がBilieve Me
 こちらは永遠の愛を誓ったラブソング。

春の日の 花と輝く
うるわしき 姿の
いつしかにあせて うつろう
世の冬は 来るとも
わが心は 変わる日なく
御身をば 慕いて
愛はなお 緑いろ濃く
わが胸に 生くべし

若き日の 頬は清らに
わずらいの 影なく
御身いま あでに麗し
されど 面あせても
わが心は 変わる日なく
御身をば 慕いて
ひまわりの 陽をば恋うごと
とこしえに 思わん   (訳詩:堀内敬三)

 歌詞の文語体が、多少大時代的なイメージがしないこともありませんが、なんともロマンチックな歌ではありますね。メロディーも明るく清楚な感じで、現代の日本人が口ずさんでも全く違和感がなくむしろ懐かしい感じがすると思うのですが、実はこれがアイルランドで1700年代にはすでに広く知られていた民謡なんだそうです。不思議ですね。

 という訳で、歌詞や曲の背景を調べてみたら曲想がだんだん広がってきたような気がします。
 さて、あとはこれを実際の演奏にどう反映させるかですね。な〜んて、口ではカッコいい事を言いながら、実際はそこのところが難しい限りでして〜(汗)

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 先日、ある楽器店の方に誘われてバイオリンコンサートに行ってきました。
 バイオリン、とは言っても普通のではなく、ハルダンゲルバイオリン?。なんでもノルウェーの伝統楽器らしいのです。形も演奏スタイルもバイオリンと同じですが、民族楽器らしい沢山の装飾がほどこされ、弦も普通の4本に加えて5本の共鳴弦が張ってあります。奏者は山瀬理桜さん。日本でこの楽器を操ることの出来るただ一人のバイオリニストだそうです。
 音色はどことなく哀愁を帯びた独特の響き。グリーグやドビッシー、ノルウェー民謡のほかご自身のオリジナル曲も演奏されました。
 今回のコラムに書いたアイルランド民謡もそうですが、北欧の音色もどことなく哀愁が漂って、なにか日本人の感性と共通するものを感じたのは私だけでしょうか。
−an 弾手−


第147回「幻のダニーボーイ(その3)」 [2005.11.22]
 さて、八雲会の日が近づいてきました。私が当日弾くことになったアイルランド民謡が3曲。ダニーボーイ、庭の千草、春の日の花と輝く。しかし、ただシラッと弾いても面白くないなあ。それにダニーボーイはともかくとして、庭の千草と春の日の花と輝くはとてもメロディーがシンプルで短い曲なので、かなりアレンジに凝らないとつまらない(あっけない)ピアノ演奏になってしまいそうです。色々やってみたけど難しい!なかなか聴き映えのするアレンジにならないぞ。うーん、困った…。
 そこで一計!当日私の出番になったらまず司会者の紹介の後だまってピアノの前に座り、まずダニーボーイを弾く。これは何とかピアノソロで持つだろう。ダニーボーイが終わったら立ち上がりマイクを取って自己紹介と本日の演奏曲目の紹介をする。つまり、小泉八雲の故郷アイルランドにちなんだ曲というテーマと、それぞれの曲の簡単な背景のお話。そして「では皆さんごいっしょに歌ってください!」ということで庭の千草と春の日の花と輝くを皆で歌ってもらおう。私はその伴奏をする、っていう構想。
 これだったらむしろ変にアレンジするより素直にメロディーが分かりやすいように弾けばいいから楽だなぁ。な〜んてズルを決め込む事にしました!そのほうが私がただ弾くより会場も盛り上がってくれるでしょう。
 庭の千草と春の日の花と輝くのリードシートと歌詞が載っているページをコピーして当日会場で配る事にしました。原本を一枚作って、世話役である喫茶店のママのところに届けます。
「これを出席者の数だけコピーしといてね」
「うん、分かった。それでね、あなたの出番は乾杯の後10分くらいしてからだからね。」
「OK!」
 ママも当日のプログラムと進行台本を着々と準備中のようです。

 さて本番前日です。夜、帰宅してから最終的な演奏の確認です。もうこの後は明日の本番まで練習する時間はありません。電子ピアノのヘッドホンを被って何回か弾いてみます。ダニーボーイは、まあ、こんなもんだろう。問題は庭の千草と春の日の花と輝くです。会場の人たちが一発で声を揃えて歌い出せるようにイントロを工夫してみます。といっても、単純に曲の最後の部分のメロディーを出来るだけ分かりやすく弾く、というだけなんですが…。それからサビのところと歌詞の1番、2番でちょっとだけ伴奏のパターンを変える。伴奏が単純にならないように、ですね。そして、歌が終わった後にやや長めのエンディングをつけて一応ピアノ奏者の存在もさりげなくアピールする! ってところで何回か弾きながら確認します。よしっ、これでOK!後は明日の本番を待つだけ!

 …と、準備万端で床に着いた深夜。激しい胃の痛みで目が覚めました。胃がつかまれ絞られるような痛みで息が止まりそうです!全身を硬直させてじっと我慢していたら少し痛みが引いてきました。しかし、しばらくするとまた痛みが襲ってきます。そんな周期的な激痛が10分おき位に続きます。今何時なのか、部屋の中は真っ暗で時計を見る余裕もありません。眠れない長い夜が続くうちに、やがて窓の外がうっすらと明るくなり始めました。朝になって痛みの周期間隔はやや長くなってきたものの、まだ治まりそうにありません。うーん、困った!今夜は八雲会でピアノ弾くんだぞ!おっと、その前に朝から会社だ!しかし、これは出勤できる状態ではないなあ。とりあえず朝は休んで様子を見よう。
 妻が「病院に行ったら」と心配してくれるけど、30分おきに襲ってくる胃の痛みで病院外来まで出て行く気になれません。携帯電話と仕事の予定を書いた手帳を枕元においてひたすら横になります。9時を過ぎると会社から仕事の確認電話やメールが携帯に。本日予定していた仕事先との打ち合わせの変更とお詫びをとにかく連絡しておかねば。手帳を確認しながら布団の中から携帯電話!
 ふっ、そのままうつらうつらしてふと気付くともうお昼前だ!
 胃の痛みは少しは和らいできたけど、まだ起きる元気はないなあ。さあ、どうしよう。今夜の八雲会。夕方までになんとか治まればピアノだけ弾きに行くか。とても飲み食いは出来ないけどね。しかし、このままの症状が続けばそれもムリか。はやくママに連絡しておかないと迷惑掛けるぞっ。
「…じつは、かくかくしかじかで…」
 また布団の中から携帯です。
「えーっ!それは大変ね!プログラムはなんとか調整するから無理しないで。」

 …ってことで、せっかく準備したアイルランドの3曲、とうとう日の目を見ない事になってしまったのです。関係者の皆様、本当に申し訳ありませんでした。

 その後、1週間はまともに食べられずふらふらの状態。胃の方は病院で診察受けたもののはっきりした原因も分からないまま、それでもなんとなく快方に向かいました。

 まあ、いい加減歳ですしね。あんまりムリしないように生活パターンを少し見直さなくっちゃですね。
(続く→随時更新)

an弾手(andante)


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ちょっと、ひと言。
 先日、ジャズのライブに行きました。
 テディー金城スーパークインテット。テディー金城さんのピアノのほかにトランペット、テナーサックス、ウッドベース、ドラムスという編成。テディーさんは沖縄出身のジャスピアニストで、毎年春夏秋に17年間にわたって日本縦断全国ツアーを続けているんだそうです。出身地の沖縄をテーマにしたオリジナル曲を沢山演奏されましたが沖縄の音階とジャズのフィーリングを巧に融合させたサウンドがなんとも新鮮でした。
 テディーさんのダジャレ連発の陽気なトークもあって、思わず引き込まれてしまった2時間でした。
−an 弾手−


第148回Q&Aコーナー「移調について」 [2005.11.29]
 さてさて、久し振りに読者の方からのお便りとご質問の紹介です。
 「いつも楽しみにコラムを読ませてもらっています。千葉県在住52歳です。仮にHARIMAOと名乗っておきます。フォークソング世代とでも言いましょうか、中学の頃より加山雄三に憧れ、それからグループサウンド、フォークソング(歌謡曲も含みますか!)。当時はただTVの歌番組を見ては、耳から入ってくる歌を覚え、そして口ずさんでいました。高校1年の時、ホームルームの時間に先生が
 「今日は○○君がギターを弾くぞ!」
 って事になり教室で弾いたわけです。曲名は忘れましたが、「何だこれー!すげーなー!」その時の衝撃は忘れられません。田舎でしたし、もちろんライブなんてものはなく、友人の生演奏に聴き入ってしまいました。
 「楽器っていいなー」
 友人の所属するギタークラブはクラシックでしたが、遊びに行ってはコードを教わりフォークソングを歌っていました。
 社会人になって、25歳の頃でしょうか、ポールモーリアーの「蒼いノクターン」を聴いた時、二度目の衝撃。
 「ピアノを弾きたい」
 って思った次第です。ピアノの先生に習いに行き、数年掛けてバイエル終了後チェルニー40番位までやりましたでしょうか。それからお決まりのブランクが続き、好きな楽譜を見つけては、譜面通りに弾き(ヤマハのクラビノーバ)、鳴かず飛ばずの数十数年が経ってしまいました。
 そして最近貴殿のコラムを見つけた次第です。三度目の衝撃です。
 
 さてこれからが本題です。楽器を弾く様になって、どうしても解らない事が幾つかあります。ちょっと長くなりますが、付き合って下さい。

 一つ目は移調の仕方というかキーの設定です。実は「移調」と言う項目で検索していたらこのコラムにたどり着いたのです。貴殿のコラムは非常に分かりやすく、数十年間分からずじまいだったのがようやく分かって来た様な気がします。自分なりに理解した事を記しますので異なっていた所がありましたら指摘してください。
 例えば、中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」の曲で、♯3つ・イ長調・キーA

コードBm
和音ミラド♯ファ♯シレミソ♯シミラド♯
歌詞か  た り つ  ぐ ひ   と も な  く ふ き す さ ぶ
音符ミ  ラ ラ シ  シ ファ  レ ミ シ  ド ミ ・ ・ ・ ・
 
 このキーだと歌うのにやや高いので出だしの音符を二度(鍵盤で黒鍵を含めて4つ下げ)下げ。♭1つ・ヘ長調・キーFに書き直してみました。そうすると下記の様になると思います。

コードGm
和音ドファラレソシ♭ ドミソドファラ
歌詞か  た り つ   ぐ ひ   と も な  く ふ き す さ ぶ
音符ド  ファ ファ ソ  ソ レァ  シ ド ソ   ラ ド ・ ・ ・ ・

 つまり和音の部分も鍵盤でそれぞれ4つ(黒鍵を含め)下げたのです。そうするとAがFになり、BmがGmに、っとこれでいいのでしょうか。つまりメロディーの最初の音を、黒鍵を含め4つ下げたなら、和音も(コード)もそれぞれ4つずつ下げれば移調が出来るという事につながる。この考えで良いのでしょうか。
 
 もう一つの疑問は「キー」です。我々素人はあまり言いませんが、良く「私のキーはEとかEmとか」言う人居るじゃないですか。この場合のキーとはその人の声の高さですよね。上の「テールライト・ヘッドライト」を例にすると、キーをEにするという事は元の♯3つ・イ長調・キーAの曲を、メロディーの最初の音をミから5つ(黒鍵を含め)下げシから始まり♯4つ・ホ長調にして、コードもAからEに変更、っと考えて良いのでしょうか?そして、もしその人の声の高さがキー・Eと言うのなら、常にイ長調に変更って事なのでしょうか?

 更にキー、EとEmは違いますよね。Eはホ長調、Emはホ短調ですよね。しかしE(ホ長調・♯4つ)とC♯m(嬰ハ短調・♯4つ)は同じと考えて良いのでしょうか?同様にG(ト長調・♯1つ)とEm(ホ短調・♯1つ)は同じ?(平行調?)。同じだとしたら、ではなぜ調が異なるのでしょうか?

 更に更に、曲の中の小節毎にコードが一つ又は複数記してありますが、このコードの付け方が理解できないのです。例えば富士山、(貴殿の「目からウロコのピアノ練習法」購入しました)31ページ・ソソラソノっとコードはCから始まってますが、なぜCなのだろう。又56ページのダークアイズはファーミミノっとE7です。何かコードを決めるのにルールが有ると思いますがそれが解らないのです。

 以上大変長くなりましたが、又、文字ばかりで解りづらいととは思いますが、私が数十年間悩んでいる所で御座います。多忙とは存じますが、手が空いた時にでもよろしくお願い致します。
 HARIMAOさん、 ご質問ありがとうございます!
 このコラム、お読みいだだき光栄です。
 また、「お父さんのためのピアノ教室」もお買い上げいただいたようで 重ねて御礼申し上げます。
 読んでいて、 HARIMAOさんのピアノに対する熱い気持が伝わってきました。 熱心に質問していただいてうれしいです。

 テーマがいくつもありますね。
 いっぺんにお答えしようとすると長くなってしまいますので、とりあえず一つずつお答えさせてください。
>つまり和音の部分も鍵盤でそれぞれ4つ(黒鍵を含め)下げたのです。そうするとAがFになり、BmがGmに、っとこれでいいのでしょうか。つまりメロディーの最初の音を、黒鍵を含め4つ下げたなら、和音も(コード)もそれぞれ4つずつ下げれば移調が出来るという事につながる。この考えでいいのでしょうか。
 はい、結果としてはそれで合ってますし、リードシートの上で簡単に移調したコードに書き換えていくには便利な考え方の一つです。 ただ、それでは演奏中にリアルタイムに移調しながら弾いていくことは難しいですし、コードを移調する正式な考え方は別にあります。それは度数で考えるということです。

 私の本「お父さんのためのピアノ教室」の25ページを開いていただくと、下の方にダイアトニック・コードの音符と「主音からの度数」という のが書いてありますね。
また26、27ページにかけて度数の説明をしています。
 あるKeyの曲で出てくるコードがそのKeyの主音から数えて何度のコードであるか、 というのを理解してください。 28、29ページには、24種のKeyのダイアトニックコードと度数表記の一覧を載せています。

 そこで、たとえばKey=Aの場合、HARIMAOさんが例として書かれている A Bm E A というコード進行をこの度数で見てみます。すると T Um X T (この際、話が簡単になるようにXに付いている7は省略して考えてみましょう)になっていることが分かると思います。
これをKey=Fに移調する場合は、FのKeyでの T Um X T というコード進行を使えばいいのです。
 28ページのコード一覧を見てみると F Gm C F ということが分かりますね。
 すると結果的にHARIMAOさんが考えられたコード進行と同じになってますよね!
 この度数表記でコード進行を考えればどんなKeyになっても全て同じ理屈が当てはまります。

 また度数でコード進行を考えてみると、様々な曲で一見気まぐれに出てきているようなコードの羅列が、実は一定のルール(度数の進行)に従って並んでいることが分かります。(何度のコードの次には何度のコードが出てくる、というように…)
 するとアレンジ(コード付け)の意図や、次に出てくるコードの意味(必然性)が見えてくるようになります。

 プロはこれを瞬間的に考えながら(あるいは経験上ほとんど無意識に)弾いていきますからいきなりリアルタイムにピアノの上で移調しながら弾けるというわけです。
 私はまだ考え考え弾かないと無理ですが、理屈はそういうことです。(それが手品の種明かしです)

 長くなりますので、今回はここまでにしておきましょう。
 続きはまた次回に!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 さっき、県庁まで行ってきました。
 少し前のBBSにも書いたのですが、銀杏の黄葉が見事です。空を覆うように広がる黄色のトンネル。足元には黄色のじゅうたんが分厚く敷かれてフカフカでした。真っ青な空と黒い幹と鮮やかな黄色のコントラストが目に沁みました。
 もう11月もあと2日。あっという間に今年も終わりですねぇ。街中のクリスマスのイルミネーションがまだ何となく馴染まない気がしますが、12月の声を聞けばそんな気分になるんでしょうかね。
−an 弾手−


第149回Q&Aコーナー「キーについて」 [2005.12.6]
 さて、今回も前回の続きです。
 前回のバックナンバー(第148回)のHARIMAOさんのご質問をご覧になってからこの先をお読みになるとわかりやすいと思います。
(HARIMAOさんより)
 もう一つの疑問は「キー」です。我々素人はあまり言いませんが、良く「私のキーはEとかEmとか」言う人居るじゃないですか。この場合のキーとはその人の声の高さですよね。上の「テールライト・ヘッドライト」を例にすると、キーをEにすると言う事は元の♯3つ・イ長調・キーAの曲を、メロディーの最初の音をミから5つ(黒鍵を含め)下げシから始まり♯4つ・ホ長調にして、コードもAからEに変更、っと考えて良いのでしょうか?
(an弾手)
 はい。それで結構です。
 ただ、鍵盤をいくつ下げて、と考えなくてもそれぞれのKeyのダイアトニックスケール(私の本の28,29ページ参照)がありますのでこれを考えながら、前回お話しましたような方法で調号とコードを決めていけばいいです。
(HARIMAOさんより)
 そして、もしその人の声の高さがキー・Eと言うのなら、常にイ長調に変更って事なのでしょうか?
(an弾手)
 いいえ。
 声の高さがキー・Eとか言うのは、ある曲に対してその人の音域がキー・Eの音域である、ということです。
 曲が変われば最適なキーも変ります。 高い音が含まれている曲は全体に音を下げないと声が出ないし、メロディーが全体的に低ければ音を上げて歌った方が映えますでしょ。カラオケで歌いやすくキーを変えるのと同じことです。
(HARIMAOさんより)
 更にキー、EとEmは違いますよね。Eはホ長調、Emはホ短調ですよね。しかしE(ホ長調・♯4つ)とC♯m(嬰ハ短調・♯4つ)は同じと考えて良いのでしょうか?同様にG(ト長調・♯1つ)とEm(ホ短調・♯1つ)は同じ?(平行調?)。同じだとしたら、では何故調が異なるのでしょうか?
(an弾手)
 E(ホ長調・♯4つ)とC♯m(嬰ハ短調・♯4つ)、およびG(ト長調・♯1つ)とEm(ホ短調・♯1つ)はおっしゃるようにそれぞれ並行調です。並行調とは調号が同じで長調(メジャー)と単調(マイナー)の関係にある調(キー)のことですね。
 調号はどちらも同じですが、何が違うかと言うと長調と短調(メジャーとマイナー)でスケールが違います。もう一度私の本の28,29ページを見てもらうと分かるように、スケール(音階)の始まりの位置が違っています。
 メジャーはド(移動ドで読んだ場合)、マイナーはラ(移動ドで読んだ場合)から始まっています。
 前回申しました度数表示によるT、Y、U、Xのコードもそれぞれ違ってきます。同じコードネームでも、トニック、サブドミナント、ドミナント等のコードの機能が違ってくるのです。
 ある曲の楽譜を見て♯が4つ付いていた時、これがEなのかC♯mなのかをすばやく判断するには曲の最後のコードを見てください。Eの時はEのコードで、C♯mの時はC♯mのコード(つまりそれぞれのキーのトニック)で曲が終わっているはずです。(但しエンディングが付いている時、エンディングの最後は違うこともありますが、その時は曲(メロディー)の本体の終わりを見てください。
 実際に弾いてみればすぐ分かるように、Eの曲は明るい感じで、C♯mの曲はもの悲しい感じがします。何が違うかと言うと、スケール(音階)とコード進行に出てくるコードの機能が違うのです。

 え〜、なんか分かりにくい説明ですねぇ。
 私も演奏する時に実用上必要な内容だけで理解していますので、音楽理論上の詳しいことはよく分かりません。スミマセン。もっと的確に説明していただける方がおられたら、ぜひメールなり、掲示板なりでお知らせくださいませ!
 それと、文章だけで上記のご質問内容や私の文章を読まれても、いまひとつ何のことか分かりにくいと思います。ぜひ、私の本の28、29ページに載せているスケールの楽譜一覧と見比べながら読んでみてください。
 (手前味噌ながら、この一覧は資料としてとても重宝しますよ!単なるコードフォーム集よりずっと使い道があります。私自身、事あるごとにこれを自分でも参照しながら確認しています)
 そして、実際に鍵盤で音を出してみてください。ずっと分かりやすくなると思います。
 えーHARIMAOさんのご質問はまだ続きますが、長くなりますのでこの後はまた次回ということで…
 では、また!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)


■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 寒いです!
 昨日の朝、出勤する時は家の屋根、塀の上、それに近くの畑の黒い土の上にはうっすらと白いものが被っていました。今朝は熊本市も氷点下になったそうです。
 つい最近まで日中は暑かったので、この急な冷え込みには戸惑ってしまいますね。
 我が家の庭の隅に、ぱあっとそこだけ明るく咲いていた白菊が、さすがにこの寒さでしおれかかってしまいました。庭の千草の曲を思い出しながら、やっと本格的な冬の到来を感じています。
−an 弾手−


第150回Q&Aコーナー「コード付けのルールについて」 [2005.12.13]
 HARIMAOさんからのご質問を考えるシリーズも3回目になりました。
 今回も皆さんとご一緒に考えてみましょう。
 なお、このQ&Aは続き物ですから、初めての方はバックナンバー第148回からお読みになると分かりやすいですよ。
(HARIMAOさんより)
 更に更に、曲の中の小節毎にコードが一つ又は複数記してありますが、このコードの付け方が理解できないのです。例えば富士山、(貴殿の「目からウロコのピアノ練習法」購入しました)31ページ・ソソラソ...っとコードはCから始まってますが、何故Cなのだろう。又56ページのダークアイズはファーミミ...っとE7です。何かコードを決めるのにルールが有ると思いますがそれが解らないのです。
(an弾手)
 このご質問はコード奏法の本質にかかわる問題で、これが解決すればもう、天下無敵です。
このテーマだけで本が1冊、どころかシリーズの理論書が3〜5冊くらいは出来てしまうでしょう!
 とは言っても、基本の原理はシンプルなのですが。
 ただ、この原理を理解するには、その前に前提となる知識がいくつか必要です。

●コードの機能
 まず黄色い私の本(お父さんのためのピアノ教室〜目からウロコのピアノ速習法)の25ページから27ページに書いている内容を理解してください。
 そこに書いていますが曲のコード進行はトニックからドミナントに進んでまたトニックに戻ります。
 Key=Cで言えばC→G7→C という進行です。 
 全ての曲が、突き詰めればこのシンプルなコード進行で出来ています。
 色々なコードが出てくるように見えますがCの代わりにちょっと違うコードAmで代用したり、G7の代わりにDm→G7と二つのコードに分解して遊んでみたりしているだけで、結局はC→G7→Cの繰り返しになっているのです。ですからC→Am→Dm→G7というコード進行もコードの機能的にはC→G7と同じ意味なのです。ほかにもCやGの代理として使われるコードが色々あります。これらのパターンが、一つの曲の中で手を変え品を変えて延々と繰り返されているのです。ですから基本的に、曲の最初はその曲のKeyのトニックコードで始まり、たとえば上記の様なパターンを何回か繰り返した末に曲の最後の一つ前にドミナントコードが登場し、その後トニックコードで締めくくって終わり!となります。
 富士山はKeyがCなのでコードもCで始まっています。ダークアイズはちょっと変則ですが出だしの4分音符二つがすでにトニックコードであるAmで始まっており、その後にKey=AmのドミナントであるE7が来ているのです。
 ここにもAm→E7というトニック→ドミナントという進行があります。そしてその後にまたAmというトニックが来ているでしょ。
 このコード進行の原理で色々な曲のコードを分析していくと、この理屈がだんだん分かってきます。
 Key=C以外のKeyの場合にトニック、ドミナントが何になるのかは黄色い本(お父さんのためのピアノ教室)の28、29ページに書いているダイアトニックコードの一覧を見てください。
 文章だけで一気に説明するのは難しいですし分かりにくいと思いますが、黄色い本の上記のページを何度も読んで、実際に鍵盤で音を出してみて、色々な曲のコード進行を分析してみてください。
 これだけでほんとに本の何冊か出来てしまうような内容です。色々なコード進行の理論書などを見ると、難解で思わず戦意喪失してしまいそうですが、基本的な原理はシンプルなんです。
 まずC→G7→C(トニック→ドミナント→トニック)を理解して、だんだんバリエーションを覚えていくようにすると分かりやすいですね!

 ただ、一般的なコード進行の原理がなんとなく分かったとしても、次にそのコード進行とメロディーの関係がまた疑問になりますよね。コード進行が先にあって、それに合うメロディーを後から乗せる(作曲する)ほうがなんとなく感覚的には分かりやすい気がします。既にあるメロディーにコードを付けるのはこれまた本が2〜3冊出来てしまうようなテーマですが、まずは上に書いたトニック→ドミナント→トニックの原理を応用して単純なコード進行を付けてみて、メロディーと合うかどうか試してみてください。(紙の上で考えても絶対分かりませんよ!必ずピアノで音を出してみてください)
 メロディーの音がコードの構成音になっている場合が多い、というのもヒントになります。この単純(基本的)なコード進行がうまくメロディーと合ったら、その後、少しずつコードを変えてみて曲想に変化や色彩感を付けていきます。その時、まずはその曲のKeyのダイアトニックコードの中のコードから選んでみる、というのがヒントです。それが出来たら次にダイアトニックコードに無いコード(ノンダイアトニックコード)を使ってみる、というテクニックに進んでいきます。コード進行を工夫する事で、同じメロディーでもガラッとイメージが変わったりします。コード付けは、これが絶対の正解、というのはなく、どんなコードでもそれで曲がカッコよくなればいいんです。それがあなたのオリジナルのアレンジです。ただ、カッコいいコード進行は、分析してみるとやはりちゃんとコード進行の理論にかなっているものです。

 という訳で、HARIMAOさんからのご質問の話は、今回で一応終了です。
 HARIMAOさん、とても有意義なご質問、ありがとうございました!
 他の読者の方も、どんな事でも結構ですのでどしどしご質問お寄せください。私も原稿を書きながらとても勉強になりますので。
 では、またですね!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■久し振りに来訪された方へ。
 バックナンバー第132回に書いていますように、出版の原稿を抱えて毎週のコラム更新がむずかしくなりました。当分の間、随時更新に変更させていただきますが、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 今回、おかげさまで第150回になりました!ご愛読、ありがとうございます!
 これまで50回、100回で記念特集号を出してきましたので、今回もどうしようかと思ったのですが、第133回からそれまでの週1回更新を随時更新に変更しましたので、まあ、150という数字にあまりこだわらなくてもいいかと…。
 また、そのうちに何かの節目で記念号を企画したいと思います。それまでこのコラム、続くかどうかが心配ですが(汗)。でも、まだまだなんとか連載を続けてみようと思っていますので、読者の皆様、どうかご支援よろしくお願い申し上げます!!!
 皆様からのメール、書き込み、そしてコラムページへのアクセスログだけがこのコラムを書き続けるエネルギーなんです。ついつい言い訳を考えて弱気になりがちなan弾手の尻を、これからもたたいてくださいね〜!!!
−an 弾手−

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