第201回「今度は秋野菜?」 [2007.10.9]

 また清和物産館の館長さんから電話です。
 「今年初めの清和高原冬野菜deフランス料理の時は色々お世話になりました。今度また、イベントやるんですけどご参加いただけますよね。」
(注:清和高原冬野菜deフランス料理の記事はバックナンバー第190回をご覧ください)
 「えっ、今度は何野菜なんですか?」
 「はい、今度は清和高原秋野菜deフランス料理、です。」
 「あ、今度は秋野菜、ですか…」
 「an弾手さんにピアノ弾いていただくって、もう上司に言ってありますから。」
 えっ、既に決まってるんじゃないですかぁ。段取りが。
 「今回は夜の部もぜひ!」
 「夜の部、って?」
 「はい、夜はワイン会です。シェフお勧めのワインを揃えてますから。で、そこでもちょっと弾いていただければ…」
 「え〜っ!でも、ワイン会で飲んだら帰れなくなりますよ〜。」
(注:清和から我が家まで山道をクルマで約2時間)
 「では、お泊りコースということで!」
 「……」

 と、いうことで…。いつの間にか、そういうことに…。
 9月23日。まだ異常な残暑の残る熊本市内を後にして清和高原へとクルマを走らせます。
 さて、今回は何の曲を弾こうかなぁ。
 前回は2月11日だったので、早春の曲でまとめてみたんですが。今回はやっぱり秋の曲かなあ。一応、予定の曲と大体の時間を紙に書いてきました。

 小さい秋見つけた
 里の秋
 赤とんぼ
 花かげ
 十五夜お月さん
 誰もいない海
 荒城の月

 これに、いま流行りの「千の風になって」をどこかに入れて、と。
 曲だけつないで弾くとこれで大体20分くらい。曲の合間に鼻歌風コード進行フレーズを適当に挟みながらいけば30分前後までは引っ張れそうです。
 12時前に会場の郷土料理館に着くと、準備中の館長さんと早速下打ち合わせ。
 あれ、ピアノの位置が以前と変ってる。
 「あ、この前のイベントの時にこっちに移動したんですけど。よかったですか?」
 試しに弾いてみると…。
 あれー、音の返しが小さくて弾きにくいなあ。自分で弾いている音が遠く、小さくしか聴こえません。
 この郷土料理館、ホールの周囲360度ガラス張りのオシャレな建物なんですが、部分的にその壁(ガラス面)が斜めになって(床より天井部が広がって)いて、ピアノがその斜めの壁の前にあるんです。壁からの反射音が自分に返ってこない角度?
 「ピアノの位置、ずらしましょうか?」
 他のスタッフの方にも手伝ってもらって、垂直な壁の前までピアノを移動。
 弾いてみると…。おっ、今度はバッチリ!しっかり自分の音が聴こえるようになりました!

 ピアノ近くのテーブルをセットしていただいて、1人、ウーロン茶を飲みながら時間つぶし。
 1時少し前、チラホラとお客さんが入り始めました。
 「じゃ、そろそろピアノお願いします!」
 と、館長さんにうながされて、ピアノの前に座ります。

 いつもながら、コード進行の鼻歌フレーズで音出し開始。ピアノの上に置いた携帯電話で時間を確認しながら曲を弾いていきます。1時半開宴の予定なので、それまでうまくつながないといけません。
 こうやって弾くシチュエーション、今回は冬に続いて2回目なので大分慣れてきたかな。な〜んて思ってたら、「千の風になって」のエンディングでトチッちゃった!せっかく転調して盛り上がるキメ所なのに〜!いかん、いかん、気持ちを切り替えて、っと。
 あれ、冬の時はピアノに合わせて口ずさんでくれてた人がいたのに、今回は反応ないなぁ。みんな、それぞれのテーブルで勝手に喋ってるけど、聴いてくれてるのかなぁ。
 不安になりながらも、
 「いえいえ、これはあくまでもBGMですから。」
 と自分に言い聞かせながら気持ちを静めて弾いていきます。

 1時半になりました。館長さんが出てきてマイクを取ります。私も曲をコード進行に切り替えて館長さんのあいさつのバックに音を流していきます。
 「〜それでは、お食事の前に副町長からごあいさつ申し上げます。」
 という館長さんの言葉にタイミングを合わせながらIIm→V7→Iのコード進行に何とかつなぎ、副町長さんにマイクが渡るタイミングを見ながらI(トニック)のアルペジオをチャラララ〜ン♪って弾いて終りっ!
 ふぅ、何とかBGMピアノの最後のキメ、カッコついたかなぁ。
 スッと自分のテーブルに戻って副町長さんのごあいさつを聞く体勢。

 かくして、秋野菜イベントのBGMピアノ、途中ちまちまトチリながらも何とか開宴までつないだのでした。
 しかし…。今日はまだまだ夜まで続く。なぜか想定内で終わらないのがここ清和でのイベントの常(?)

 今回も、やっぱり思わぬハプニングが…。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 何度かご案内させていただいています「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く懐かしい日本の抒情歌」、当初発売予定の9月下旬を10月上旬に一度変更させていただいたんですが、どうやら10月上旬も厳しそうな雲行きになってきました。先週出版社から連絡があり、表紙の最終色校正でいくつか文字の直しが入ったようです。申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください。もう、ここまで来ていますから後は時間の問題だと思います。
 そんな訳で200回記念号のプレゼント発送も遅れそうですみません。発売日が分かりましたらまたこのコーナーか掲示板でお知らせしますので、何卒お許しください。
 
−an 弾手−


第202回「1時間の即席コード奏法講座ッ!」 [2007.10.29]

 『…かくして、秋野菜イベントのBGMピアノ、途中ちまちまトチリながらも何とか開宴までつないだのでした。
 しかし…。今日はまだまだ夜まで続く。なぜか想定内で終わらないのがここ清和でのイベントの常(?)
 今回も、やっぱり思わぬハプニングが…。』

 …と、いかにもわざとらしく気を持たせる言い振りで終わった前回。それなのに3週間も間が空いてしまいました。ごめんなさい!
 気を持たせるんだったら1週間で続きをアップしないとテンポ悪いぞ〜。更に、その間に別のコラムネタもいくつか浮上。さて、今回はどうしたものかと思案してしまいました。
 でも前回、次へ続くを前提に終わってしまったので、その決着は着けないと失礼ですよっ、て訳で、今回は前回(第201回)の続きで〜す。

 さて、昼の部が終了して夜のワイン会までしばらく時間があります。お客さんが引けたホールの中にポツンと残って、さて、どうやって時間を過ごそうか、と思っていたその時です。ここ物産館の仕事用前掛けを着けた1人の若者が近づいてきました。近くで後片付けをしていた館長さんが私に声を掛けます。
 「彼、ピアノを弾けるようになりたいんですって。」
 「ああ、そうなんだ!」と私。
 「ええ、彼ね、今日でここのバイト終りなんですよ。○○君、せっかくだからan弾手さんに習っていったら?」
 「はい、よかったら教えてください。」
 なかなか実直そうな青年です。
 「そっか、じゃ即席ピアノ講座やる?30分で分かるコード奏法、ね!」
 ということに相成りました。

 早速二人でピアノの前に座ります。
 「これまでピアノ弾いたことある?」
 「いえ、中学校の時に音楽の授業でちょっとやったくらい。」
 「コードは?」
 「音楽の先生がコードでの伴奏法をやってくれて。ドミソ、ドファラ、シレソくらいだったら。」
 と言いながら、左手でなんとかコードをつかんで見せてくれます。
 「おっ、中学の音楽の時間にコードかぁ。いい先生だねぇ。だったら話は早い。じゃ、今から簡単コード奏法の入門をやるからね。まず、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドを弾いてみよう。」
 〜♪〜♪〜♪〜
 「はい、コード奏法では、それをC、D、E、F…って言うんだよ。それが分かったら早速コードだ。こうやって鍵盤一つおきに3つの音を弾くよ。メジャーとマイナーの違いは…」

 …って、例の「お父さんのためのピアノ教室」に書いてる通りなんですが、簡単コードの構造と仕組みの実演。
 それから、いきなり左手の弾き方。
 「左手はとりあえずコードのルートの音を弾けばいいから。」
 「ほら、小指と親指でルートを弾くと、人差し指が自動的に5度に来るでしょ。これだけで左手伴奏の出来上がりだよ。」
 実際にやってもらいます。
 「あーっ、指がツル〜ッ!」
 あはっ、確かに。なんだか辛そうな指の開き具合。
 これまで鍵盤をほとんど弾いた事がない人には、いきなり指を開きながら鍵盤を押さえる動作はなかなかきついのかな。
 「ま、少しやってれば慣れてくるからね。」

 「じゃ、早速曲を弾いてみようか。ダニーボーイ知ってる?」
 「いえ、知りません。」
 「じゃ、何か知ってる曲は?」
 「これだったら…。」
 と言いながら一本指で弾いてくれたメロディー♪。私も聴いたことがあるしKey=Cで弾ける。(でも曲名は思い出せなかったけど)
 「じゃ、それにしよう。」
 という訳で、簡単コード付け(C、F、G)でまずは左手ルートのみ。
 「メロディーは私が弾くから左手でルートだけ押さえてみて。」
 「はいC」〜♪〜♪〜「はいF」〜♪〜「はいG」〜♪〜「はいC」〜♪
 「おっ、できるじゃない!それでOK」
 「じゃ、次は左手1,5,8で!」
 〜♪〜♪〜…〜♪〜
 指ツリそうになりながらも、なんとかクリア!
 「よし、じゃ、両手で挑戦!」
 〜♪〜 ♪〜 〜〜…〜♪〜  …♪〜
 「おー、なんとか最後まで行けたっ!」

 私には15分くらいにしか感じなかったけど、時計を見たら1時間近くもやっていたみたい。約1時間の「即席コード奏法講座ッ」。彼はなんとか卒業しました!

 聞くと、どこかの高専の学生さんで、今日はここ物産館でのバイトの最終日。
 「もう上がっていいですよ。お疲れ様でした。」
 館長さんの声にうながされて前掛けをはずす彼の顔はニコニコと晴れやかで、私も爽やかな気持ちに。

 気がつくと、いつの間にか傾きかけた秋の陽がガラス張りのホールに長く差し込んでいました。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 本当にお待たせしました!
 「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く懐かしい日本の抒情歌」、やっと出来ました!
 先週末にドレミ楽譜出版社からメールがあり、奥付10月30日発行、ということで出荷の手配になったそうです。ドレミ楽譜のサイトを確認したところ、同書の紹介ページでこれまで『現在制作中』となっていたのが『発売中』に変っていました。
 同サイトのトップページにも『今週の新刊』というところに写真入で掲載されています。
 http://www.doremi.co.jp/Doremi/ATC01.do
 もちろん、今週の新刊、ですから表示はすぐに次の新刊に変る可能性はありますが。
 (すでに表示がなかったらサイト内検索でページを開いてみてください)
 私のところにも急いで送っていただく手はずになっていますので、手元に届き次第、先の200回記念号でメッセージをお寄せいただいた方へお約束しましたサイン入り本をお送りいたします。すみませんが、今しばらくお待ちくださ〜い。
 
−an 弾手−


第203回「諸田由里子ピアノコンサート。夢の体験!」 [2007.11.13]

 夢のような、ステキなピアノコンサートに行ってきました!
 立派なホールでのコンサートでもなく、小さなライブハウスでのコンサートでもなく、おとぎの国の出来事のようなコンサートでした。

 くまもとピアノの社長さんからご招待いただいたコンサートです。西原(熊本市の東・阿蘇の麓)にある「西原別荘ドルチェフェリーチェ」という名前の所であるらしい。出演は諸田由里子さんという人らしい。
 西原別荘? ドルチェフェリーチェ? 諸田由里子さん?
 知らんなぁ…

 ???マーク一杯のまま、とにかく11月4日(日)の午後4時30分開演に間に合うようにネットで調べた地図を頼りに車を走らせます。(私の車にはカーナビが付いてない)
 熊本市から東へ阿蘇の方へ向かい、地図の案内に従って途中から右に折れると道は細くなり、どんどん山に登っていきます。やがて、いい加減不安になってきた頃、道の分岐点に案内の人が小さな臨時の案内看板を持って立っていました。
 「この道でよかったんだ」
 と、少しだけほっとします。
 しばらく行くと小高い丘の上にそれらしい建物がありました。
 駐車場風の空き地に車を停め、大きなオシャレな門をくぐり、さらに上り坂のアプローチを登っていくと…

 お〜、いきなり広〜い屋外テラス。大きなテーブルにゆったりとした革張りのソファー。数名の人が腰掛けてお茶とケーキを楽しんでいます。いま上って来た方を振り返ると、視界をさえぎるものが何もない眼下に見渡す限り熊本平野が広がり、その遥か向こうに小さく金峰山のシルエット。やや右手に遠く熊本空港の管制塔が見えます。素晴らしい展望です。
 建物の方を見ると、全面ガラス張りの向こうにマホガニーのグランドピアノが見えます。あの部屋が会場のようです。

 「そろそろ始まりますから中へどうぞ。」
 係りの人の声にうながされて玄関へ。山の別荘、という言葉から想像していたロッジ風のイメージとは全く違い、ヨーロッパ調の豪華なインテリアの邸宅、という感じです。廊下を通り、部屋へ入ってまたびっくり。高い傾斜天井に大きな木の梁が交差し、そこからシャンデリアが下がっています。正面は全面にオフホワイトのロールスクリーンが下がった前に、紅いマホガニーに猫足の優雅なグランドピアノ。その右横に、天井に届くように大きなグリーンがすらりと伸びた葉を幾筋も広げています。ピアノの左(ピアニスト用椅子の背後)にはそのグリーンの葉と対称をなすように大きく弧を描くフロアスタンドの照明器具。その左の壁には曲線をふんだんに使ったロココ調の大きな食器棚。その横にレンガ貼りの暖炉。部屋の右側は全面のガラス貼り。その向こうに先ほど見た熊本平野が広がっています。
 「こちらの席にどうぞ」
 そううながされて掛けた席は右端のガラス壁の前。
 「あれ、ここからは鍵盤が見えないぞ。ピアニストの手が見える席がよかったんだけどなあ。」
 そう思っても、40脚ほど並んだ席はすでに家族連れやグループの人で七割方埋まっていて、ここで無理に移動するのもスマートじゃないみたい。
 「しょうがないか」
 と妥協。しかし、実はこの席が、このあと素晴らしい光景を私にプレゼントしてくれることになったのです!

 予定の4時30分過ぎ。
 くまもとピアノの社長さんのあいさつの後、いよいよピアニストの登場です。客席の後から、カツカツと軽く靴音を響かせて諸田由里子さんが入ってきました。スラリとした細身を優雅に包むロングドレス。深いエンジ色と渋いセピア色が肩から裾まで幾筋も大きく流れるようなデザイン。この部屋のインテリアや猫足のマホガニーピアノと見事にマッチしています。柔らかな微笑を漂わせながら諸田さんはピアノの前まで進み、軽く一礼してにこやかにあいさつを始められました。
 まだ20代とお見かけしましたが、その話し振りはとても優しく自然で、すぐに観客の心をつかんでしまったようです。(ま、少なくとも私の心は!)
 来熊は初めてらしく、前の日くまもと空港に降り立った時の感想や熊本名物「いきなり団子」の話など、リップサービスも自然に決まってます。
 5歳からピアノを始め、桐朋学園大学と同大学室内楽研究科を卒業。ウイーン留学。帰国後はソリストとしてのリサイタル活動はもとより、多くのアーティストとの共演や数多くのコンサートに出演。海外公演も数多い。…とは、プログラムのプロフィールから一部抜粋ですが、そんな数々の経歴の重さを感じさせないフレンドリーな空気が漂います。

 こうして、演奏が始まる前からこの素晴らしい空間と諸田由里子さんの魅力にすっかり魅入られてしまった私ですが、このあと演奏が始まると、さらに思いがけない感動のシーンが目の前に現れることになったのでした。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 最近、テレビのスポーツ中継が盛んですね。毎晩のように何かのスポーツをやっています。フィギュアスケート、女子バレー、野球、もちろん、ゴルフにサッカーは別格。なかなか落ち着いてテレビを見てる暇もないんですが、帰宅してスポーツ中継が点いているとつい引き込まれてしまいます。
 で、にわか評論家になったりして。その時だけのスケート通、次の日はバレー通…。
 暗く陰湿なニュースが多い中で、そんなにわか評論家ごっこもストレス解消のひとつにはなってるのかな。さ、頑張れニッポン!
 
−an 弾手−


第204回「諸田由里子ピアノコンサート。夢の体験!」その2 [2007.11.20]

 キラキラした音から始まりました。
 ピアノの明るい色彩感と諸田さんの華麗なテクニックがあたりを満たしていきます。曲はドビッシーの「2つのアラベスク」。アラベスクとは唐草模様という意味だそうです。(諸田さんの解説より)
 なるほど、唐草模様のような華麗なメロディーが美しく絡まりながら流れていきます。

(…このコラムは前回『第203回』からの続き物です。前回をお読みでない方は是非そちらから順にお読みいただくとうれしいです。)

 私の席の位置から見ると諸田さんの向こうの壁に縦長の窓。上体を揺らすように演奏している諸田さんの肩から背中にその窓が重なって見えます。窓の外には近くの山。緑の木々がこんもりと茂っているのが見えます。その風景をじっと見ながら心地よいピアノの音を聴いているうちに、ふっと自分の中の不思議な感覚に気が付きました。意識の視点によって、諸田さんが部屋の中ではなく窓の外の風景の中で弾いているようにも見えるのです。

 私は意識して窓の外の森をじっと見つめてみました。
 すると、次第に視界から周りの客席やヨーロッパ調度の部屋が消え、緑の森の中で諸田さんがピアノを弾いているような気がしてきます。森の中に諸田さんの優雅なシルエットが浮かび、心地よいピアノの音が流れていきます。風のそよぎや木々の葉が触れ合う音まで、ピアノのメロディーの向こうから聴こえてきそうです。
 曲はヤナーチェックの「草かげの小径にて」より、から「落ち葉」に移っていました。

 その時です。信じられないような光景が目に映ったのは。
 「落ち葉」を弾く諸田さんの背中に、ヒラヒラッと落ち葉が舞ったのです!
 「………………」
 私はゾクッとして訳もなく涙が出そうになりました。
 もちろん木の葉は窓の外に舞ったのですが、森の中でピアノを弾く諸田さんの世界に浸っていた私には諸田さんの背中に舞ったように思えたのでした。

 この素晴らしい光景を見せてくれた私の席に感謝!少しでも位置が違っていたら諸田さんと窓の位置が離れて、こんなファンタジックな世界を見ることは出来なかったでしょう。
 しかも、この席はこのコンサートの最後、クライマックスのアンコールの時に、もっと感動的なシーンを私に見せてくれる事になるのです。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 携帯電話を替えました。これまでのがもう6年以上も使っていたムーバ。最近バッテリーが弱ってフル充電しても数回の通話でピーピーピーと切れるようになっていました。まあ、電池パックを交換すればいいんでしょうが画質の高い写真も撮りたいし、近いうちにムーバは使えなくなる、なんていう話も聞いたし。販売店へ行き「写真がきれいで、文字が大きくて、出来ればワンセグが視れるやつ」という条件で機種を選んでもらいました。
 写真は350万画素。文字はデカくて太い!ワンセグでテレビも視れる。というのにしました。しばらくはマニュアル見ながら遊べそうです。
 
−an 弾手−


第205回「諸田由里子ピアノコンサート。夢の体験!」その3 [2007.11.27]

 ところで、私はクラシックピアノのコンサートはいつもちょっとした違和感を感じていました。というのも、普通、ピアニストが舞台の袖からツカツカと登場して演奏を始め、弾き終わるとまた黙ってツカツカと下がっていきますよね。あれがどうもシックリこなくてですね。ところが今日のコンサートではこの小さな空間で諸田由里子さんのフレンドリーなトークで始まり、曲の合間にも立ち上がって、楽しい、それでいてとても刺激的な話をしてくれるのです。
 その中でも印象に残ったお話の一つ。

 諸田さんがウィーンに留学中、自分の表現力について悩んでいた時、あるドイツ人指揮者と言葉を交わすチャンスを得て、尋ねてみたそうです。
 「どうしたら表現力豊かに弾けるんでしょう?」
 するとその指揮者はひと言、答えたそうです。
 「楽しい時は楽しいって言うでしょ。悲しい時は悲しいって言うでしょ。」

 このひと言で諸田さんはハッと気付いたそうです。そう、楽しい時は楽しいって言う。悲しいときは悲しいって言う。ピアノだって同じ。
 その話を聞いて、私も納得!とてもシンプルな言葉ですが、考えてみるととても深い気がします。ピアノで語る、お話しする。当たり前のようですが、ピアノを弾いている時は意外と音符やテクニックにとらわれて、意識がそこに向いていないような気がします。歌には歌詞があって「うれしい」「悲しい」って言葉で言うけど、ピアノ曲には歌詞がない。だから自分で物語を感じて音でその気持ちを語らないといけないんですね。

 そういえば、「一つひとつの音を大切に弾きなさい」とか「このピアニストは一つひとつの音をとても丁寧に弾いている」などという言葉を聞くことがあります。これまで私はその意味を「一つひとつの音をないがしろにしないで、丁寧に弾かないといけない」という風に、テクニックの問題として捉えていました。以前クラシックの先生にハノンのレッスンをしてもらった時、「鍵盤はしっかり下まで丁寧に弾くように」と教わった事があります。そういうこともあって、丁寧に弾く、とは「一音一音をきちんと弾く」という風に思っていた節があります。確かにそれも大切なんでしょうが、諸田さんのお話を聞いて、もっと大切なことがあるような気がしてきました。

 私たちは普段日本語で話をしていますが、ピアノを弾く時は「ピアノ語」でおしゃべりしているんですね。いま自分はこの言葉で(ピアノ語で)誰にどんな気持ちを伝えようとしているのか?それをしっかり意識して語る(弾く)ことが大切なんでしょうね。そういう風に考えると、よくありがちなすごいテクニックで弾いているのは分かるけど聴いている人に伝わるものがない、っていうのは、きっと「独り言ピアノ」なのかなあ。
 なーんて、いろいろ考えてしまいました。

 そんなお話を聞いてからまた諸田さんの演奏を聴いたら、うーむ、なるほどっ!一つひとつの音を丁寧に弾くってこういうことかぁ、と、非常に良く分かるような気がしてきました。音の一つひとつに諸田さんの気持ちが滲み出しているんです。ここまで!っていうくらい、ピアニシモの小さな音の一つひとつからも諸田さんの感情が伝わってくるんですよ!テクニックを意識させず、ストレートに気持ちの底に語りかけてくる音に、思わず引き込まれてしまいました。
 (余談ですが、このコンサートの後、興奮したまま自宅に帰ると無性にピアノが弾きたくなり、夜中にもかかわらず約1時間ほども弾いてしまいました。もちろんヘッドホンですが。さっき聴いた諸田さんの「語るピアノ」の音をイメージしながら弾いていると、自分ではとても上手になったような気がして悦に入ってしまったんですが…さて?)

 諸田さんのステキなトークと演奏に引き込まれているうちに、あっという間にコンサートもラスト。会場の暖かいアンコール拍手に諸田さんも満面の笑みで再びピアノの前に掛けます。曲はリストの「愛の夢」。
 そしてそして、このアンコール途中のファンタジックなシーンで私の感激もいよいよクライマックスに!

(続く→随時更新)

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ちょっと、ひと言。
 熊本城の一角にある熊本県立美術館で開催されていたピカソ展。10月13日に始まって、そのうちに行こうと思いながら気が付いたら最終日!あわてて行ってきました。会場は超満員。私と同じ駆け込み観覧者、多かったみたいです(笑)
 知り合いの人にもたくさん会いました。まずは会場に入る前にいきなり会社のスタッフに!中に入ってからも「あら、久し振り!」「あっ、こんにちは!」って声を掛ける人がいっぱい!
 ピカソ芸術を堪能して外に出ると、外はのどかな秋の陽。久し振りに歩く熊本城公園は色付いた木々が爽やかな秋空に映えていました。心身ともに洗われたような、そんな3連休の最終日でした。
 
−an 弾手−


第206回「諸田由里子ピアノコンサート。夢の体験!」その4 [2007.12.4]

 諸田さんのステキなトークと演奏に引き込まれているうちに、あっという間にコンサートもラスト。会場の暖かいアンコール拍手に諸田さんも満面の笑みで再びピアノの前に掛けます。曲はリストの「愛の夢」。

 日頃、クラシックはあまり馴染みのない私にも聞き覚えのあるメロディーが流れ始めました。さっきまで諸田さんの後ろの窓から見えていた森はいつの間にか秋の早い夕暮れの中に暗く沈んで、室内でピアノを弾く諸田さんの姿がガラスにくっきりと浮かんでいます。シャンデリアの光と諸田さんの後ろから大きく伸びたフロアライトのタングステンの灯りが、あたりを暖かいオレンジ色に包んでいます。

 ふと、自分の右側に広がる全面ガラス張りの壁に目をやりました。すると、さっきまで眼下に広がっていた熊本平野や金峰山の風景はすっかり闇に隠れ、代わりに街の灯りが、点滅する砂のように遠くまでキラキラと続いているではありませんか。
 そして、そのガラスに映り込んでいるのは大屋根を広げたグランドピアノの黒いシルエット。そのピアノの前で「愛の夢」を演奏する諸田さんの姿。暗い空間を背景に、曲の演奏に合わせて揺れ動くロングドレスと大きく開いた肩から伸びる白い腕。それらがまるできらめくピアノの音のように闇に広がる街の灯りと重なって見えるのです。

 おーっ、すごい!私はこの思いがけない発見にドキドキしながら、しばらく見とれていました。
 闇に浮かぶピアノと諸田さん。そこにキラキラと重なり映る遠い下界の街の灯。耳にはリストの「愛の夢」…。
 そして、そんな映画のワンシーンのような光景に見とれていた私に、偶然の演出家はさらに感動的なシーンをプレゼントしてくれたのです。闇に浮かぶグランドピアノの大屋根の左上から、点滅する灯りがゆっくりとピアノの中へ弧を描くように舞い降りてくるではありませんか!昼間、遠くに見えたくまもと空港の管制塔。そこへ降りる飛行機のライトでしょうか。
 しかし、なんと幻想的な光景でしょう。まるで城達也の有名なナレーションで知られる『ジェットストリーム』のオープニングのようなシチュエーションですが、諸田さんの生演奏の「愛の夢」に浸りながら視るこのシーン。なんとも贅沢なひと時でした。

 緑の木々と広大な眺望と明るい光の中で始まった諸田由里子ピアノコンサート。そして今、フィナーレを迎えて窓の外はとっぷりと暮れ、室内は暖かなオレンジ色の灯りに包まれています。でも、この暖かさは照明のせいだけではないようです。諸田さんの笑顔とフレンドリーなトーク、そしてなにより、そんな諸田さんのオーラが滲み出てくるような演奏に、私はすっかり心まで暖かくなっていたのでした。この部屋を埋めた四十数名のお客さんの間にも、そんな暖かい空気が流れているような気がしました。

 私にはピアニストの演奏を細かく分析する能力はありませんが、この短い時間の中でたくさんの感動といくつもの気付きを頂いたことが、なにより諸田さんのピアノの不思議な魅力を物語っているような気がします。なにしろクラシックピアノを聴いて、こんな気持ちになったのは初めてでしたからね。

 さて、夢のようなコンサートはこうして終了の時間を迎えましたが、この日のサプライズ体験はまだまだそのあとも続いたのでした!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 我が家の隣(ブロック塀のすぐ向こう)は畑です。季節ごとに色々な作物が実ってます。今はほうれん草。まだ小ぶりですがもうすぐ青々と茂ってくるでしょう。
 そういえば少し前までは芋(さつまいも)畑でした。緑色の葉とツルが一面に茂ってました。塀越に見ていたら、畑のおばさんがひとツル抜いてくれました。ひとツル、といっても台所に持ってきたら山ほどありました。それからしばらく、我が家は芋尽くしメニューでした!
 
−an 弾手−


第207回「諸田由里子ピアノコンサート。夢の体験!」その5 [2007.12.11]

 明るい緑の高原の中で始まった「諸田由里子ピアノコンサート」。でも、その夢のようなひと時が終りを迎えたとき、気が付いたらあたりはすっかり闇に包まれ、暖かな灯りと諸田さんの笑顔と素敵なピアノの余韻がこの西原別荘「ドルチェフェリーチェ」の部屋を満たしていました。

 「出口で諸田さんのCDを販売しています。お買い上げいただいた方にはその場で諸田さんのサインをさせていただきます。」
 そんな案内に、たくさんの人が出口付近に並んでいます。私もその列の最後に並びました。やがて私の番。先ほどのままの優雅なステージドレス姿の諸田さんがにこやかに迎えてくれました。すると、そばにいたくまもとピアノの社長さんが
 「あ、諸田さん。この人が例のan弾手さんですよ。」と紹介してくれました。
 諸田さんは顔一杯にこぼれるような笑みを浮かべて
 「そうですかぁ。実は昨日から社長さんにはan弾手さんのお話をずっとお聞きしていたんですよ。お会いするのを楽しみにしていました。今日は演奏しながら、どの方だろうとずっと思っていましたぁ。」
 と、いきなりのフレンドリートーク!
 「あ、初めまして。今日は素敵な演奏を聴かせていただいてありがとうございました。」
 と、an弾手は緊張気味です。購入したCDのセロハン包装を開きながら
 「ここに、サインしてください。」
 と言ったら、諸田さん
 「じゃ、お互いにサインの書きっこしましょうか!?」って。
 あれ〜っ、くまもとピアノの社長さん、私のことをどんな風に紹介してくれてたんでしょうね〜。
 で、サイン入りCDを受け取る時、しっかり握手まで。小さくて柔らかい手!おー、ピアニストの手だぁ!しばらく手を洗わずにおこ〜。ご利益があるかも!
 浮かれてそのまま帰ろうとしたら社長さん、
 「どうぞ別室でゆっくり話でもしていってください。」ですって!
 (あっ、そうですか!では、お言葉に甘えて〜)
 というわけで、思いがけなく別室でのフレンドリータイムへ突入!

 …通された部屋は、広い和室。大きな卓袱台が二つ。翌日、別のところで一緒に演奏するという声楽家の方が、この後7時過ぎからのここでの音合わせのために待機しておられました。
 待つ事、数分。「お待たせしました〜」と入ってこられた諸田さん。さっきまでのステージドレスから普段着に着替えられて、あっ、これはまた身近にいそうな普通のお嬢さん!ニコニコ笑顔がますます身近に感じられるではないですかぁ!
(ん?なんかオヤジ入ってますかね〜?)

 最初しばらく声楽家の方と段取りの話をされ、その後はもう一つの卓袱台で二人差し向かい。出していただいたお茶とお菓子を頂きながら、ピアノ談義を交わしていただきました。
 「自分のピアノを聴いていただいた方がどんな風に感じられたのか、いつも聞いてみたいと思っています。感想を聞かせてください。」
 と率直なご質問。
 私が、興奮冷めやらぬ「落ち葉の舞」や「ピアノの中に舞い降りる飛行機」の話をすると
 「今、お話を聞きながら、私もゾクッとしました。」
 「きのう昼間、リハーサルの時に私も遠くに飛行機が飛び立つのを見ました。すごくゆっくりと弧を描いていくんですよね。それが楽譜のスラーのようで。大きくなめらかにひとつのフレーズを歌っていく感じが、とても演奏の参考になると思いました。」
 うーむ、さすが、ピアニストの観察は違う。全て音楽の表現のヒントになるんですね〜。

 そして私が初心者向けのピアノ本を書いていること、私自身が大人になってからのピアノ体験者だということをくまもとピアノの社長さんから聞かれていたらしい諸田さん。
 「ピアノ初心者の方は何が一番難しいんでしょうね?」と、ピアノ指導もされている立場からの率直なご質問をいただきました。
 「私がやっているのはコード奏法で、私自身、音符を追っかけるのは苦手です。コード奏法ではコードを頼りに自分で音を作っていくので、10人いたら10通りの違う弾きかたになるんですよ。」
 なんて、なんか的外れ(?)なトンチンカンな話をしちゃったかな?

 そんなこんな、イイ感じで二人の会話も盛り上がってきたのに、時計は早くも7時過ぎ。そろそろ声楽家の方との音合わせの時間となってしまいました。

 …丘の上の秘密の別荘に一歩足を踏み入れた瞬間から、不思議な世界に迷い込んでしまった私。そこで出会った妖精のような一人の美しいピアニストに導かれながら、いくつもの時間と空間をワープして、いま再び、私は真っ暗な山道をヘッドライトの灯りを頼りに日常の下界へとクルマを走らせていました…。

 な〜んて、赤面しそうなキザなセリフですが、でも、ひょっとするとあれは本当に夢の中のおとぎの世界だったのかも…、と思えてくるような、そんな時間でした。

 素敵な「夢の体験」をさせていただいた、くまもとピアノの社長さん、そしてなにより、このファンタジーのヒロイン、諸田由里子さんに感謝です。

 そして、あの不思議な時間がやっぱり夢ではなかった証拠に、いま私の手元には一枚のCDがあります。諸田さんの笑顔の写真に直筆のサインが入って…。

●タイトル:諸田由里子ピアノ・リサイタル
●制作:ライヴ・ノーツ
●発売:ナミ・レコード
↓こちらから諸田さんの笑顔の写真が見れます。
http://www.nami-records.co.jp/archive/20070422.html

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 やっちゃいました。いま流行ってるらしい急性胃腸炎?
 先週半ばに急に胃が痛み出し、吐き気と下痢。4日間、ほとんど食べずに寝込んでしまいました。病院に行ったら「まあ、断食療法というのもありますから。」って。
 で、今日からなんとか社会復帰してます。不思議と空腹感はあまりありませんが、さすがに足元がフラフラ。
 今年もあと20日。皆様も体調にはくれぐれもお気をつけくださいね〜。
 
−an 弾手−


第208回「千葉、東京近辺で大人のピアノ仲間募集!のご紹介」 [2007.12.18]

 今年も、あっという間に残すところ2週間になってしましましたね。早いものです。今年は以前ほど夜の街の人前ピアノを弾く時間もありませんでしたが、それでも清和には2回も呼んでいただいてフランス料理の前座を務めさせていただきましたし、4冊目の本となる「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く懐かしい日本の抒情歌」をドレミ楽譜さんから発行していただくことも出来ました。

 そして、9月にはこのコラムもおかげさまで200回を迎えることが出来て、読者の皆様から暖かいメッセージを寄せていただきました。本当にありがとうございました。
 その200回感謝特別号の中で私は

「〜ここでのメッセージご紹介が、皆様とan弾手とのメッセージ交換に留まらず、皆様方同士の思いが横につながり広がっていくきっかけにでもなれば、私にとってもこんなうれしいことはありません。」

 と書きました。私は、コラムや本の読者の方とのメール交換の中で、大人になってピアノを楽しみたいと思っておられる方が本当にたくさんいらっしゃることを実感しています。そして、そんな方同士の思いがいろんな所でたくさん広がっていったらいいなあ、と思っています。

 先日、そんな同じ思いの読者の方からメールを頂きました。私の本がきっかけでピアノを始められ、最近では時々東京・赤坂のライブハウスで人前素人ピアノを楽しんでおられるという、千葉市にお住まいの団塊世代の「お父さん」です。
 実はその方が、同じように素人ピアノを一緒に楽しめる方を探しておられます。そのメッセージをお預かりしましたので、ここでご紹介したいと思います。
 私の「お父さんのためのピアノ教室」の中でも上達の秘訣として、「人前で弾こう」「仲間を作ろう」と書いています。仲間を作り、一緒に人前ピアノも楽しんでみる。楽しみと上達の一石二鳥かもしれませんね。もし、関心を持たれましたら直接連絡してみてください。

(中島富士夫さんからのメッセージ)

 はじめまして。千葉市在住の中島富士夫(50代男性)と申します。
 ピアノを始めてまだ数年ですが、次のような呼びかけを致したく、同じ気持ちで扉を開けてくださる方からの連絡を待っています。
 東京の赤坂に名前がカーサ・クラシカというライブハウスがあり、ここは「人前でピアノを弾いてみたい」そんな機会を初心者の誰にでも与えてくれるところで、毎月1回のセッションナイトで素人の方が自由に集まり、お互いに好きな得意の楽器を演奏しています。
 全くのピアノ初心者である私でも、ドキドキ感で指を振るわせながら、間違っても下手でもとにかく「人前でピアノを弾く」にこだわり、時々弾きに出かけては自分なりに大いに楽しんでいます。
 そこで、私と同じan弾手様からいつも励ましを受けておられる読者の方の中で、自分の部屋での練習だけでなく、私と一緒にこのライブハウスへ時々出向いて、そこで人前で自分の技量の範囲内で楽しくピアノを弾いていきたいと思われる方からの直接のご連絡をお待ちしております。
 さらにはこれを機会に、an弾手様を囲む大人の輪を作っていければと思っています。
 どうか宜しくお願い致します。

 以下、私(中島富士夫 「千葉市中央区在住」 )の個人連絡先になります。

  勤務先連絡 直通TEL 03-3512-7810
  会社メールアドレス
  fujio.nakajima@macquarie.com

(an弾手より)
 中島さんからは200回記念号にもメッセージを頂いています。
http://www.kumamoto-bunkanokaze.com/andante/an20_syoukai.html#nakajima
 ただ、この方と私はメールのやり取りをしているだけでお会いした事はありません。直接連絡を取られた後は、どうがご自身の判断でお話を進めてくださいね。

 同じく200回記念号でマレーシアの藤森さんからも現地でピアノ仲間の輪が広がっているとのうれしいメッセージを頂いています。
http://www.kumamoto-bunkanokaze.com/andante/an20_syoukai.html#fujimori
 ちなみに藤森さんもマレーシアのレストランでの人前ピアノ体験者です。
http://www.kumamoto-bunkanokaze.com/andante/andante16.html#158

 楽しい素人ピアノの輪が、皆さんの身近から日本に、そして世界に広がっていったら楽しいですね。来る2008年がそんな夢の広がる年になりますように。(あ、まだ鬼が笑うか!)

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 会社で使う年賀状の印刷が上ってきました。仕事柄、よそ様の年賀状は早くから作っているんですが、自分のところはいつも後回し。今年は早くできた方ですね。
 異常気象で季節感がなくなっているので、もうすぐお正月という実感がいまいち。でも年賀状を手にしてやっと「あと2週間かぁ」って気分にはなってきました。
 しかし何だろう、何かやり残しているような一抹の不安。さてさて、はやく年を忘れてすっきりと新年を迎える準備をしたいものです。
 
−an 弾手−


第209回「経済誌からan弾手の取材!?その後日談」 [2007.12.25]

 このコラムの第199回で地元の経済誌から新たに創刊される雑誌のための取材を受けた事を書きました。今回はその後日談です。
 馴染みの記者さんが会社に訪ねてこられて取材を受けた事、そして馴染みのライブレストランでピアノを弾いているところの写真を撮ってもらった事、第199回はそこまででしたね。

 取材数日後、その記者さんから電話が。
 「実は先日撮影させていただいた写真ですが、編集の者と検討した結果、もっと違うアングルの写真がないかということになりまして…」
 「はぁ、そうですか。3年前に最初の本を出版した時にプロフィール用に撮った写真の予備ならありますが」
 「それを貸して頂けませんか?」
 ということで、CDに焼いてお渡しする事になりました。

 そして、それから1週間後。メールの添付でページのレイアウト校正が送られてきました。
 おーっ、なんじゃこりゃ!カッコ良過ぎ!自分じゃないみたい!それに雑誌の記事って聞いていたのに、なんだか1ページ使い切りの広告みたいなレイアウトだなあ。こんな大げさな扱いにしてもらっていいのかなぁ。
 「前後のページのレイアウトが分からないのでなんとも言えませんが、こんな独立した感じのページレイアウトでいいんですか?」
 まあ、取材していただいた立場で差し出がましいとは思いながら、一応尋ねてみます。
 「はい、他の記事の間に独立して入りますから」
 ははあ、なるほど。本筋の記事とは別の、箸休めみたいになコラム記事なのか。納得。
 それはそれとして、タイトルもちょっと気になるなあ。私が余程自由自在にピアノを操れるみたいに誤解されそうだ。カッコ良すぎ?
 私はまだまだ素人おじさんですよ〜。ということで、楽譜は苦手だけどコードで適当にピアノを楽しんでます、って雰囲気の見出しに変えていただきました。
 で、出来上がった雑誌がこちら。オールカラーでなかなか豪華な感じの雑誌です。

●雑誌名:ESPRESSO〔エスプレッソ〕(くまもと経済別冊)創刊号
●サイズ:A4
●発行所:(株)地域情報センター
こちらから画像が開きます

 出来上がった雑誌を手にして初めて、やっとどんな雑誌なのかが(何となく)分かってきました。
 元熊本県知事で総理大臣の細川護熙さんの晴耕雨読の日々の記事や、書道家・武田双雲さん、建築家・安藤忠雄さん、ソムリエ・米野真理子さんなどのインタビュー記事、それにちょっとオシャレな大人の空間や大人のグッズ、高級車や高級腕時計の広告、美術や音楽などの分野で特異な活動をされている方の紹介記事…等々。
 ひえ〜っ、ずいぶん大人のこだわりに溢れた雑誌だ。こんな紙面に私なんかが挟まってていいのかなぁ。しかし、まあ、載せてくれたものはありがたく受け止めるとするかなぁ。

 この雑誌の趣旨を、創刊のごあいさつページから少し引用してみます。

 『大人だからこそと言えるOFF TIMEをあなたは過ごしていますか?
 今、団塊の世代が定年を迎え、経済も新たなマーケットの可能性に大いなる期待感を露にしています。
 しかし、当の主役達が何をしていいのか分からなければどうしようもありません。
 家族のために働き尽くめの日々、勿論、仕事がまず大事。
 いい意味のビジネスホリック(仕事中毒)は、それ自体、人生を謳歌しているとも言えるでしょう。
 でも、そろそろ、これまで頑張ってきたからこそ出来る“自分へのご褒美”を
 もっとご自身を褒めてやってもいいのでは…。
 新創刊〔ESPRESSO〕は、「濃厚で味わい深い大人の時間」が基本コンセプト。
 「これからの人生をもっと面白く、豊かに過ごしたい、上質な価値のあるものを選びたい」、そんなワンランク上のステージを嗜好する大人のためのライフスタイル応援マガジンです。(後略)』

 と、ありました。
 なるほど。いろんなところで言われている事ではありますが、団塊世代がこれからどんな生活(人生)を送っていくのか、そのヒントになるような情報を提供していこうという雑誌なんでしょうね。
 ま、私のピアノはそんな理屈を考えて始めたわけではもちろんありませんが、自分もそんな人生の転換期に差し掛かったときに、たまたまピアノという楽しみが身近にあった、ということでしょうかね。そんなめぐり合わせに感謝しながら、これからもピアノと楽しく付き合っていけたらいいなあ、と思う年の瀬ではあります。(なーんちゃって!)

 今年も皆様方には本当にたくさんのメッセージをいただきありがとうございました。そのひと言ひと言が、私にとっては大きな励みになりました。また、メッセージはなくても、私の知らないどこかで私の拙いコラムや本を読んで下さっている方がいらっしゃるということだけでも、ありがたいことです。
 これからも引き続きよろしくお願い申し上げます。そして、来る2008年が皆様方にとって素晴らしい年になりますようにお祈りして、今年のコラムの最後の言葉にしたいと思います。
 本当にありがとうございました。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 前回(第208回)のコラムで、千葉の中島さんのメッセージをご紹介しました。ピアノを始めて数年の団塊世代のお父さん。東京・赤坂のライブハウスで時々人前ピアノを楽しんでおられるとか。いいですね〜。もしお近くの方がいらっしゃいましたら、ちょっと覗いてみられてはいかがですか。できる範囲で無理せずマイペースで。そんな「大人の時間」を仲間と一緒に楽しめたら最高ですね。
 
−an 弾手−


第210回「謹賀新年」 [2008.1.8]

 2008年が始まりました。遅ればせながら、あけましておめでとうございます!
 昨年も大変お世話になりました。皆様の声に支えられてここまで続けてくる事ができました。本当にありがとうございます。
 今年もこのコラムではピアノの話題で皆様と一緒に楽しい世界を広げていけたらと思っています。どうかよろしくお願いいたします。

 さて、今日のテーマはまたまた雑誌取材のお話なんです。
 昨年最後のテーマがan弾手の雑誌掲載の話でした。で、年明け早々にまたまた連続して別の雑誌掲載の話ではしつこいかなぁ…、an弾手の自慢話ばっかりみたいになっちゃうかなぁ…、と悩んだんですが…。しかし、自慢話ということではなくて、an弾手の近況をご報告するのも務めかと思い直しまして。それに今度は月刊誌の新年号なので、いまご紹介しておかないとタイミングはずれになりそうで。
 な〜んて、言い訳タラタラでごめんなさい!

 今度は「熊本ハイカラ」というタイトルの生活情報誌です。12月中旬に雑誌社から取材依頼の電話がありました。
 「新年号で〔大人の手習い〕という特集をするのですがお話を聞かせていただけませんか?」
 翌日、ライターとカメラマンのお二人が会社へ。
 「写真はインタビュー中の様子と会社の外観と出版された著書と実際に作業されているところを撮らせてください。」
 (会社の外観?会社は関係ないんだけどなぁ…)
 「はぁ。結構ですが…。作業、といってもここ(会社)にはピアノはありませんよ。本業の作業風景では趣旨が違いますよね?」
 「そうですね、確かに。じゃ、その本を開いて指差しているところとか。」
 「はぁ。」
 ま、全ておまかせします、ってことで、インタビュー開始。私はひたすら質問に答えていきます。その間、カメラマンの方が右から前から左からパシャパシャと写真撮影。
 話は私がピアノを始めたきっかけからこのHPコラムを書き始めたいきさつ、出版の話、読者の方からのたくさんのメールの話、等々。その後本を開いて手タレ(タレント)モードの撮影、会社の玄関先に出て本を持っているところの撮影(近所の人が通りかかって超恥ずかしい!)などと続き、あっという間に1時間半の取材になっていました。
 「あの。ところでピアノを弾かれているところの写真はお持ちではないですか?」
 あ〜、ついこの前、くまもと経済別冊〔ESPRESSO〕の記事用に写真を貸したばかりだぁ。同じ写真ではまずいでしょうねぇ。
 「こちらのドレミ楽譜と講談社の本のプロフィールに使っている写真ならありますが…。」
 「あ、それで結構です!」
 ということで、あのプロフィール写真、またまた使い回すことになってしまいましたぁ!
 で、出来上がった本がこちらです。
 (こちらから画像が開きます

 「しなやかな暮らしを手に入れる大人の手習い」

 というタイトルで、野草の活け花、テーブルコーディネート、書道アート、アクセサリー工芸、ガラス工芸、などを教えている方々のインタビュー記事。そこに並んでan弾手の記事が。
 他の方は皆さん教室を開いている先生ばかりなのに…。私だけ浮いてないか?そう言えば取材の時に
 「教室とかはなさってないんですか?」
 って聞かれたような…。
 「いやぁ、教室なんかまだまだ。」
 とは答えたものの、ま、「お父さんのためのピアノ教室」って本なら書いてるか、確かに。

 ということで、この記事が大人の方の「しなやかな暮らしを手に入れる」何かのご参考にでもなれば、それはそれで掲載していただいた甲斐があるのかもしれません。
 …しっかし、「40歳を過ぎてからの挑戦で自由自在にピアノを操る」とは、やっぱり書き過ぎだなぁ。早くそうなりたいものです。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 「大切なことは質問をやめないことだ」(アルバート・アインシュタイン)という言葉があるそうです。いつも、自分の脳に問いかけをしておくこと。そうすると脳は知らないうちにそれに応えようと頑張ってくれるんでしょうね。
 今年は、私も自分自身にもっともっとたくさんの質問をして、脳にもっともっと働いてもらおうと思います(笑)
 2008年が皆様にとって、もっともっと素敵な年になりますように!
 
−an 弾手−

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