第271回「an弾手ライブ@熊本県立劇場・その3」本番直前の巻

[2009.9.29]

 「おはようございます。今日はよろしくお願いします!」
 指定された午前十時半。県立劇場に着くと、まずは事務所(プロデューサー室)にごあいさつ。それから今日の会場設営や司会、音響等の運営をしていただく熊本舞台芸術サポートセンターの方々にもごあいさつ。
 さて、ライブの会場は熊本県立劇場の光庭横休憩スペース。って言っても分からないですよね。県劇の表玄関と裏玄関を結んで建物の真ん中を貫いている広い通路。その途中にある片側が総ガラス張りで中庭風の空間に面したコの字型の空間。普段はベンチが置かれて休憩スペースになっているのですが、月に1回のライブの時は空間の奥をステージに見立て、手前に半円形にベンチを並べてオープンなライブ空間になるのです。

  ステージには本日の私の相棒、電子ピアノ。しゃべりながら弾いたりするのでアームスタンド付のマイクも用意してもらいます(弾き語り、じゃないよ)。担当の方数名が特設のスピーカーや照明を設置したりミキサーのテストをしたりしてくれています。

  と書くと着々と万全の準備が整いつつあるように聞こえるかも知れませんが、実は平静を装って設営の確認をしながらも、私の頭の中にはいくつかの不安が…。

  不安その1.果たして何人くらいのお客さんが来てくれるのか。会場のベンチは30脚。知り合い数人には声を掛けているんですが、ガラガラだったらカッコ悪いよねー、と不安です。
 不安その2.今日のライブは最初にコードの簡単な解説、その後テーマに沿って色々なシチュエーション毎にトークを交えながら曲を弾いていく予定なのですが、うまくしゃべれるか。一応台本は作っているんですが…。
 不安その3.劇場からの指定時間は30分。でも自宅でシミュレーションしてみたら何と45分をオーバーしそう!で、曲目を少し減らすつもりではあるのですが、それでも40分くらいに収まるかどうか…。(特に、最初のコードの解説はもたつくと理屈っぽい話で時間を食いそうで、ライブ全体の構成バランスが悪くなるので要注意だなぁ)
 不安その4.ライブというからには、もちろん演奏がメインだし。その最大の心配事が慣れない電子ピアノ。1週間前にこの電子ピアノに触るリハーサルの時間を頂いたのですが、生ピアノと違うのは仕方ないとしても、我が家の電子ピアノともあまりに違い過ぎだぁ!タッチの違いは当然ですが、音の響き、特に高音部や和音にした時の響きがあまりにも自分のイメージと違うので、先週の試弾の時も頭を抱えてしまいました。それでもその時は2時間ほど弾いて何とかこのピアノの響きを「これで弾くんだからね!」と無理やり自分に納得させたつもりではありますが、さて、1週間振りの演奏、どうなりますか。

  …と、不安が膨らむ中、刻々と開演の時間は迫ってきます。
 開演15分前。席の約7割位が埋ってきたぞ!うん、もう少しだ。
 その時、知り合いの方の顔が。早くから声を掛けさせていただいていた方が親子で。手には花束!
 「わぁ、ありがとうございます!」
 司会者の方と相談して、ライブの後に花束を渡していただく時間をつくってもらうことにします。
 あ、もう1人、顔なじみの人が大きな花束を抱えて入って来られました。
 「来てくださったんですね!ありがとうございます」
 あ、今度は2人。「その日は前日から朝まで仕事なので起きれるかどうか分からないけど…」と言っていたお2人が、寝起きの顔で(失礼!)揃って来てくれました。

  見ると、係りの人が会場の30脚ほどのベンチの後ろに補助椅子を出して並べています。
 「おーっ、第1の不安=お客さんの入り(笑)、何とかクリアかな?」

  いよいよ正午。開演の時間です。司会の方と目配せして、前方ステージの方へと向います。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 さて、シルバーウィークもあっという間に過ぎ、もう10月になろうとしてますね。今年もあと3ヶ月かぁ。今更ながら、あきれるくらい早いものです。
 我が家の隣りのさつまいも畑。先日の日曜日、窓から覗くと、ついこの前まで一面の緑だった畑には収穫の後の赤茶けた土と、搬出のトラックのワダチだけが午後の日差しの中に広がっています。遠くにスズメの影。じっと見ていたら、自分の中を何かがフーッと吹き抜けて行ったような気がしました。

 
−an 弾手−


第272回「an弾手ライブ@熊本県立劇場・その4」いよいよ本番の巻

[2009.10.5]

 備え付けの椅子では足りずに補助椅子も並べられたオープンライブ会場。その後の通路には別のイベントで演劇ホールの開場を待つ人の列も出来ていて、かなりの人だかりです。
 12時。開演の時間。司会者の方と目配せして前方ステージのピアノに向かいます。椅子に掛けてスタンバイ。司会者の方の挨拶が始まりました。

 「本日はケンゲキアットライブ、コードで遊ぶ楽々大人のピアノ〜鼻歌ピアノのすすめ〜にご来場いただきありがとうございます。ご出演のan弾手さんは〜」
 と、事前の打ち合わせ通り、私のプロフィールを簡単に司会者の方から紹介してもらいます。その間、私は客席にやや斜め後ろを向いた椅子に掛けたまま、じっと待機です。
 「では、an弾手さん、お願いします〜!」
 という司会者の声を合図に、ポロポロポロ〜っといつものコード進行アドリブ弾きを流し、決めをドミナントモーションの華麗なるアルペジオでチャララ〜〜〜ン♪。
 それからマイクを取って立ち上がり、客席の方を向いてご挨拶です。

 狭い空間ですから、前から客席の方を見るとお客さんの顔が良く見えます。あっ、あの後の方に掛けているのは知り合いのクラシックピアノの先生だ!今日は用事があって来れないかも知れないとのことだったけど、何とか来てくれたんだ。他にも花束を膝に抱えてくれている人、最前列には夜勤明けに無理して来てくれた例の二人。ほとんど大人の人たちに混じって家族連れらしい小学生くらいのお子さんの姿も。

 簡単に挨拶した後、再びピアノに向かい、アームスタンドに付けたマイクを通してコード奏法の話から。
 「皆さん、コードってご存知ですか?」

 ……シーン

 ヤバッ、堅い空気…。自分の緊張が伝わってるのかなぁ。
 マイクが自分の前(ピアノ側)にあって、話をする時はなるべく斜め後(お客さんの方)を向くようにするのでついマイクと口が離れてしまい、どうも客席から声が聞きづらい?(これはライブ終了後に、来ていた知り合いの人に言われました)
 事前に同じセッティングでリハーサルをやったわけじゃないので、後で聞いて分かった事。
 その時は、とにかく自分の緊張を抑えながら先に進むしかないし〜。

 で、コードの話。
 右手での簡単なコードの押さえ方。そして左手でのベースの入れ方。そこまで出来たら事前に客席に配ってもらっていた「ダニー・ボーイ」のリードシート(メロディーとコードネームだけの楽譜)を見てもらいながら最初の16小節だけコード奏法の実演。
 まずメロディーだけ1本指。次にメロディー+左手ルート1本指。次に左手ルートをオクターブで。更に左手に5度も入れた伴奏パターン。仕上げは右手メロディーの下にもコード構成音を加えて。

 最初のシンプルなメロディーだけの音が、ステップを追う毎に響きの幅を広げていくのを感じてもらえた(?)かな。
 「では、今ご説明しました弾き方を使ってダニー・ボーイを通して弾いてみましょう。少し複雑なコードを混ぜたりしますが、基本的には今お話した通りの方法で弾きます。たったこれだけの方法でこんな感じに弾く事が出来ます。では、鼻歌ダニー・ボーイ、聴いてください」

 弾き終わったら、会場から拍手!(ほっ、よかった)
 「さて、少しピアノが弾けるようになったら、自分一人ではなくてなるべく人前で弾いてみるようにしましょう。たとえば、飲みに出た夜の街で。たまたま入った店にピアノがあったらどうしますか?
 彼女、あるいは彼氏と一緒だったら、チャンス!ですね。ここでポイント稼ぎましょう!」
 身体を半身にして斜め後の客席に視線を送りながらの慣れないトーク。でも「チャンス!」の所でやっと会場から笑いが。お客さんと視線が合うと、1人ひとり深くうなづきながら視線を返してくれるのが分かり、やっと一体感が出てきた感じです。
 「さて、ここはオシャレなジャズバーです。目の前のカウンターにカクテルのグラスが置かれています。曲は、ミスティー」
 69のジャズ系コードをパラパラっとイントロ風に弾いて、ミスティーの演奏です♪

 「友人やお知り合いの結婚披露宴に呼ばれる機会もよくあると思います。そんな時、お祝いのスピーチもいいですが、1曲弾いて差し上げたらどうでしょうか。定番かもしれませんが、愛の讃歌など、いかがでしょう」
 愛の讃歌演奏♪

 「皆さん、カラオケとか、行かれますか?若い人とカラオケなどに行くと、私なんか、最近の歌には全く付いていけません。で、既に懐メロになってるみたいな歌謡曲なんかをつい歌っては浮いてしまってます。でも、ピアノがあるような所だったら、たまには懐メロのピアノソロも意外と新鮮でいいかも知れませんね」
 曲は、小林旭の「北へ」♪

 「さて、話は変わりますが、実は我が家には要介護老人がおります。私のおふくろです。今年91歳になりました。休みの日に私が部屋でピアノを弾いていると、自分の部屋からコトコトと杖を突きながら出てきます。で、私が昔の童謡や唱歌などを弾くと一緒になって歌い始めます。びっくりする位たくさんの歌詞を覚えています。
 いつも腰が痛くてつらそうな顔をしているのですが、この時ばかりは生き生きとして楽しそうに歌います。日頃親不幸ばかりの私ですが、こんな時はちょっと位は親孝行にでもなっているのかな、と勝手に思ったりしています」
 「では、そんな曲の中から、赤とんぼ、荒城の月、2曲続けてお聴きください。今日はせっかく電子ピアノですから、赤とんぼの方はストリングスの音で弾いてみましょう」
電子ピアノのストリングスのボタンを押し、赤とんぼを弾き始めます。ここまでずっとピアノの音で弾いているのでガラッと雰囲気が変わり、ストリングスの伸びやかな響きが広々とした秋空の空気感を演出してくれた(?)かな。
 赤とんぼが終わったら、再びピアノの音に切り替えて荒城の月のイントロ。こちらもサウンドの変化が意外とインパクトあって効果的だった(?)かな。

 そんなこんなで、時間はすでに予定の12時30分を回っています。
 「そろそろ、予定の時間も過ぎたようですね。では最後に、私のオリジナル曲を弾いて終りにしようと思います。オリジナル曲、と言ってもコードをつなげただけの鼻歌です。コードが分かればこんなのも割りと簡単に作って遊べるというサンプルとしてお聴きいただければと思います」

 そう言ってKey=Gのコード進行をパラパラ〜っと弾き始めます。
 そのBGMに乗せて情景描写のトーク。
 「広〜い草原が広がっています。そこに一陣の風が吹き渡り、草花をサワサワと揺らしていきます。やがて風は止み、また静かな草原に戻ります。そんなイメージでつくってみました。タイトルは〜そよ風の微笑(ほほえみ)〜」

 もうずいぶん前(5年以上も前!)に何となく作った曲「そよ風の微笑」(バックナンバー第74回に楽譜あり)
人前でちゃんと弾くのは初めて?精一杯、自分でも情景を思い浮かべながら気持ちを込めて弾かせてもらいました。

 さて、こうしてあっという間に私の県劇ライブは終わってしまったのですが、終演後にはたくさんの嬉しいサプライズが!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 この前の土曜日、中秋の名月、でしたね。
 その夜、すっかりそんな事も忘れて自宅でヘッドホン被ってピアノを弾いてました。深夜になって「あ、今日は名月だ」と気付きベランダから夜空を見上げたら、高い位置に真ん丸のお月様。もう小さくしか見えませんでしたが、しばし観賞。さっきまで弾いていた曲が実は荒城の月で、偶然の面白さに1人にんまりしてしまいました。

 
−an 弾手−


第273回「an弾手ライブ@熊本県立劇場・その5」うれしい出会いの巻

[2009.10.13]

 初めての県劇an弾手ライブ、緊張の中にも何とか終了!
 「それでは、花束をお持ちの方、どうぞan弾手さんにお渡しください」
 司会者の方のMCで、まずは女性の方がお1人。ライブの店で時々お会いする某ジャズヴォーカリスト、のお母さん。それからもう1人、仕事の異業種交流会で一緒の女性。エレクトーンの経験がおありということで話が合って、今日は来て頂けたみたいです。
 その後は、一旦閉会した後もたくさんの方がそのまま会場に残って話し掛けて下さいました。

 私と同じくらい(?)のお歳の男性。
 「an弾手さんの本で、4年前からピアノを始めました。今は慕情を練習中です。また是非、次の本出してください!楽しみにしています」
 「わっ、ありがとうございます!次の本、ジャンルのご希望は?」
 「そうですね、洋楽の第2弾でも」
 「洋楽系がお好きなんですね。考えてみますね」(出版社さん、聞いてますか〜?)

 中年の女性の方。
 「an弾手さんの本は、どこで売ってるんですか?」
 「はい、街なかの大型書店や楽器店とか。例えば上通りの大○楽器地下の楽譜売り場にはan弾手のコーナーが出来てますからすぐ分かりますよ!」

 若いお嬢さん。
 「私もピアノがやりたいんですが、ピアノって小さい時からやってないとダメかなと思っていたんです。でも今日でそんな考えは吹っ飛びました。大人になってから始めたというan弾手さんのあんなスゴイ演奏を聴いてモチベーション上がりました!頑張ってみます」
 「いやぁ、スゴイ演奏というより私のは鼻歌ですが。コード覚えると楽しく弾けますから。頑張ってください!」

 小学生くらいの男の子。
 「向こうにお父さんも来てるから、一緒に話聞いてもらっていいですか?」
 「えっ、どこ?」
 という訳で、案内してもらうと…
 大人の女性2人とお父さんらしい男性。
 まず、女性の1人が話し掛けて下さいました。
 「私、エレクトーン出身で以前はYAMAHAで教えていました。今は個人でコードを使ったピアノを教えています。こちらのご主人も私の生徒さんで、an弾手さんが始められたのと同じ40代で…」
 もう1人の女性がその奥様で男の子が子供さん。3人ともその女性の先生に習っているらしい。
 「そうなんですか!ご家族でいいですね!皆さんで楽しまれてください」

 その後、その先生から頂いたメール。
 「とても感激しています。ライブ楽しかったです。演奏も素敵でした。著書、テキストなどを見て、同じ熊本に住んでいるのだから絶対お会いしたい、と以前から思っていました。
 私自身、子供の頃、CとG7だけでいくつもの曲が弾けるという感動を味わって以来、音楽のマジックにはまってしまいました。明星や平凡についている流行りの歌のリードシートでややこしいコードは省略してガンガン自己流アレンジでエレクトーンを弾いて遊んでました。貴著を読んで一番共感した所です。まだまだ大人のレッスンは手探りですが、an弾手さんのテキストや自分のノウハウで頑張っていきたいと思います」
 「この前の生徒さんに感想を聞いてみました。パパさんは、『指がなめらかですね〜。相当練習しないと』と刺激を受けておられたようです。ママさんは『あんな風にアレンジが出来たらいいですね〜』と言っておられましたよ。10月からは60代のおばさまと子供の同級生のママが大人生徒としてコード奏法の仲間入りです。私も40ですが最近他の楽器にも興味を持っています。まだまだ挑戦していきますよ。an弾手さんは希望の星です」
 いやぁ、コードの楽しさにはまって、大人の人たちにこの楽しさを広げていっておられる先生が熊本にもいらっしゃるんですね。私なんか趣味の鼻歌ピアノ弾きで、とてもピアノの先生から「希望の星」と言われるような存在じゃありませんが、身近に仲間(同好の志?)が出来たみたいで嬉しいです。

 それから、後の席で聴いて頂いていたクラシックピアノの先生からも、後でご感想のメッセージが。
 「an弾手さんの雰囲気の伝わるとても素敵なライブだったと思います。さらさら〜って弾かれたan弾手さん、とてもカッコよかったですよ。きっとライブを見てピアノに向かってみたいな、コードで勉強してみたいな、など色んな思いをして帰られたお客さまがたくさんいらしたことでしょう〜」
 身に余るお褒めと励ましのお言葉、ありがとうございます!

 不安を一杯抱えたままやってしまった(汗)県劇ライブ。その結果は?
 不安その1.お客様の入り。補助椅子出して、それでもその後に立ち見の人垣が出来るくらいの人が来ていただいて感謝感激です。
 不安その2.弾きながらのトーク。終わってから、来ていた人に「緊張してるのが分かりましたよ」って言われてしまった。反省。こればっかりは慣れるしかないですね。
 不安その3.規定時間(30分)内での進行。10分ほど勝手に延長してしまいましたがぁ(県立劇場の方、確信犯ですみません〜)。でも、コード奏法の説明もあまりくどくならず(?)構成バランスはまずまずだったかな。
 不安その4.電子ピアノの使い勝手。う〜ん、これは何とも。やはり県劇の電子ピアノを使いこなせなかった。与えられた環境の中で精一杯のパフォーマンスをするのが自分の仕事、とは分かっていても、自分の能力が追いつかず、弾きながら「あれ、こんなはずじゃないんだけどなあ」と思ったり、弾いたつもりの音が出なかったり。自分的には演奏そのものはボロボロで、終わった後は実はかなり落ち込んでました。聴いていただいた方に申し訳なくて。反省。でもこれも経験です。

 それにしても、たくさんの貴重な経験と出会いを頂いたKENGEKI@Live
 お忙しい中、県劇まで足を運んで私の拙いトークと演奏を最後まで聴いていただいた皆様、本当にありがとうございました。
 当日の司会をして頂いた方、会場設営やPAをして頂いた熊本舞台芸術サポートセンターの方、ありがとうございました。
 そして、こんな思いもしなかった機会を頂いた熊本県立劇場のプロデューサーやご担当の方、本当にありがとうございました。お話を頂いた時は「まさか自分が」と思ったんですが、今は思い切ってやらせて頂いて良かったなぁと思っています。
 いま出来る目の前の小さな1歩。その一歩が、また新しい世界を開いてくれるんですからね。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 我が家にハイビスカスが育っています。
 と言っても庭に生えているわけではなく、小さなマグカップの中。沖縄旅行のお土産です。
 最初はただの直径3センチ、長さ15センチ位の棒っ切れでした。マグカップに水をいれて挿しておいたら細い枝が出て、葉っぱが付きました。まだどう見てもハイビスカスには見えませんが、そのうち南国の花を咲かせてくれたらうれしいです。
 しかし、これから寒くなるけど大丈夫なんだろうか。

 
−an 弾手−


第274回「ホテルの祝賀会会場でピアノ演奏」

[2009.10.20]

 「あ、ちょうどよかった。あなたにお願いがあるんだけど」
 いつもの画廊喫茶にランチで顔を出したら、ママがひと言。
 「今度、中村先生の文化功労者賞受賞祝賀会でピアノ弾いてくれない?」
 「ええ、いいですよ。いつものウェルカムピアノでしょ」
 ウェルカムピアノなら、これまでもいくつかのパーティーで弾かせてもらったことがあります。開宴までの30分程度、タラタラと耳障りのいいBGM曲を弾いてればいいので気は楽です。
 …と思って簡単に引き受けた演奏でした。ところがっ。直前になって思わぬ展開に!

 祝賀会の1週間ほど前、またその画廊喫茶にランチで行ったら。
 「司会の人と打ち合わせしたんだけど。あなたにお願いしたいのは開宴前のウェルカムピアノと、その後、中村先生ご夫妻が入場される時のバックミュージックね。それから、先生に捧げる詩の朗読があるそうだから、その時もバックで弾いてほしいの。それが終わってからピアニストの紹介をするから、先生に捧げる曲を1曲弾いて頂戴ね。あ、それから作曲家の岩代先生も出席されるから、ひょっとして(先生作曲の火の国旅情を歌われる場合に備えて)火の国旅情も弾けるように用意しといて」

 えーっ、話が違うよー!
 ママは簡単に言うけど、入場のBGMはドアが開いてから先生が会場内を歩いて席に着かれるまでのタイミングできれいに終わらないとおかしいしー。詩の朗読だったら、詩の内容・雰囲気に合わせた曲想で、これも朗読の終わりと演奏をうまく合わせないとまずいでしょ。
 「どんな詩なんですか?詩の原稿だけでも見せてもらえませんか?」
 「いや、詩はまだ出来てないみたいよ」
 「えーっ!それじゃ考えようもないよー」
 「分かったらまた電話するから」

 そして会の3日前。ママから電話。
 「詩を考えてる人に聞いたんだけど、曲は寅さんの男はつらいよ、をイメージしてるみたいよ」
 「えーっ!男はつらいよ!?一体どんな詩なの?」
 「いや、詩はまだ出来てないって。当日にならないとどうも分からないみたい」

 まいった。男はつらいよ、はコード譜があれば曲は何とか弾けるかも知れないけど、詩と曲をどんな風にからませるのか。何番まで繰り返すのか、イントロ、間奏のところでセリフ風に詩を入れるつもりなのか、全体通して朗読するつもりなのか。はたまた男はつらいよ、の替え歌風なのか。全くイメージも湧かないし。(それにしても受賞祝賀会のオープニングで男はつらいよ、も何なんだか…)

 さあて、日にちが無いっ!
 30分のウェルカムピアノはマイペースで好きに弾いてればいいので、これはとりあえず置いといて、と。

 次に中村先生の入場。
 現場の状況に合わせていつでも終われるためには、コード進行の即興メロを適当に流すのが一番手っ取り早いけど、オープニングの主賓入場!って場面にしては私のタラタラ即興ではあんまりドラマチックでないかなぁ。手持ちのレパートリーの中からすぐ弾ける曲でこのシチュエーションに合いそうな曲は?
 ある愛の詩?曲の内容はちょっと違うけど、これ使えそう。バーンと派手なイントロで始まるアレンジにしてるので、まずここでドラマティックな期待感を盛り上げ、それから静かなテーマのメロディーが流れ始めるタイミングで扉が開いて先生のご入場!拍手の中を進んで頂き着席まで。この曲は一つのテーマが30秒程で弾き終わるので後は先生の動きを見ながら必要ならテーマを繰り返し演奏すればいくらでも引っ張れるし、席に着かれたらその時どこを弾いていても長くて10〜20秒以内位にはきれいに終われるはず。

 詩の朗読のバックは。
 これはもう考えてもしょうがない。とりあえず男はつらいよ、のコード譜探して弾けるようにはしておこう。後は当日朗読するご本人と会ってからどうするか決めるしかない。会場には男はつらいよ、のカラオケを用意しておいてもらって、いざとなったらカラオケでやってもらうか!(あの曲だったらピアノよりカラオケの方が雰囲気出そうだし)

 火の国旅情の伴奏。
 幸いな事に手元にコード譜ありました。ところがっ!KeyがA♭!慣れないフラット付きのコードばっかりでやっかいそう。で、半音上げてAにしちゃいました。楽譜を書いて持参するのも大げさなので、小さなメモ用紙にコード進行だけを書いてカンニングペーパーにすることにします。

 先生に捧げる曲。
 私の手持ち曲はどちらかというと静かな曲が多いけど、祝賀会の最初だからなるべく華やかにいきたいなぁ。曲の内容はちょっと違うけど、愛の讃歌、でいきましょ。イントロとエンディングを多少派手なアレンジにしているので、まあ、盛り上がっていいかな。

 と、とりあえず構想が固まったのが本番2日前。
 さてさて、どうなりますことやら。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 もう1年以上前になりますが、地元熊本のお菓子メーカーがスポンサーになっているラジオの対談トーク番組「お菓子の香梅・ハイティートーク」にゲスト出演させて頂きました。(その時の模様はバックナンバー第219回に)
 で、その番組のこれまでの出演者が一堂に会する懇親パーティーが先日ありました。ここ3年程の出演者の中から、当日は100名程の方が出席されていました。皆さん、芸術・芸能の分野でそれぞれご活躍中のそうそうたる方ばかりで、素人おやじピアノ弾きの私はちょっと場違い?
 そんな中、たまたま隣の席になった女性、上田圭子さん。名刺交換したら肩書きが「ピアノ・シンセサイザー・作曲・編曲・ミュージックアドバイザー」?
 どんな方だろうと、後で名刺にあったURLにアクセスしてみたら…。なんと、すごい経歴・実績!
 身近にこんな方がいらっしゃったなんて知りませんでした。早速メール差し上げてお話させていただきました。これからも、色々勉強させてください。
 上田圭子さんのホームページはこちら。
 http://www.keikoueda.com/ENGLISH/HOME.html

 
−an 弾手−


第275回「ホテルの祝賀会会場でピアノ演奏」その2・当日前編

[2009.10.27]

 開宴前の30分間。耳障りの良いウェルカムピアノをタラタラと弾いていればいいか、と思って気軽に引き受けてしまった中村先生の文化功労者賞受賞祝賀会での演奏。
 ところが直前になって、先生のご入場のバックやら詩の朗読のバックやら、果ては「火の国旅情」の伴奏やら、注文が一杯出てきちゃった!どれも、本来なら事前の打ち合わせやリハが必要なんだけど、そんなものやってる時間もないときてる。さてさて(汗)

 6時開場、6時30分開会なので、とりあえずウェルカムピアノ開始の1時間前、5時には会場着。(とにかく会場に行ってみないと分からない事が多過ぎで)
 行ってみたら、まだ今日の世話役のママも司会者も誰も来てないなぁ。とりあえず会場設営中のホテルの人に声を掛けてピアノのセッティングからやってもらおう。弾きながら先生の入場や着席の様子が見えるようにピアノの位置と向きを調整して、ピアノマイクを入れてもらって、音を出してみて、PAの確認。

 …まだ誰も来ない。じゃ、この間にこのピアノに慣れるように少し指慣らしでもしときましょ。
 この会場のピアノは以前にも数回弾いた事があるのですが、響きや音の反応が良くて気持ち良く弾けるので好きです。

 やがて、ママと司会者が到着。早く先生の入場のタイミングを打ち合わせしないと。
 「このイントロを弾きますから、イントロが終わったこのタイミングで扉を開けて先生に入場してもらっていいですか?」
 ママとホテルの担当者に「ある愛の詩」のイントロを弾いて聞かせます。
 「じゃ、実際に歩いてみましょうか」
 もう一度最初から弾きながら、ママとホテルの担当者(先生の先導役)に実際に歩いてもらいます。
 おー、ドンピシャ!先生が席に着くピッタリのタイミングでサビの前まで。ここでパラパラパラッ〜とトニック(Am)のアルペジオを入れるときれいに終われそう。

 さて、次は詩の朗読。朗読者の方も到着。希望を聞いたら詩の途中から「男はつらいよ」が始まって、また途中で適当に終わっていいです、とのこと。う〜ん、なんかよく分からないなぁ。これはスパッと会場のカラオケにお任せしましょ〜。すみません!

 おっと、もうそろそろ開場の時間だ。ウェルカムピアノ、始めなきゃ。
 会場の扉が開いて、お客さんがパラパラと入り始めます。
 ピアノの上には先日の県立劇場ライブのために百均ショップで買ったデジタルウォッチ。
 曲目は、これも先日の県立劇場ライブの時に準備した曲を使い回ししながら数曲プラスする(省エネ)演奏♪
 次に弾く曲を忘れないように曲目だけ書いたメモ用紙をピアノの上に置きます。
 ダニー・ボーイ(C)、赤とんぼ(F)、荒城の月(Dm)、シークレットラブ(F)、ヴェニスの夏の日(G)、ムーン・リバー(C)、浜辺の歌(F)、誰もいない海(G)、ミスティ(F)…
 曲の間には次の曲のKeyにつながるコード進行のタラタラ即興をゆったりと挟んでいきます。
 (う〜ん、自分でも気持ちよく弾けてる〜♪)
 次第に会場の円卓がお客さんで埋っていきます。
 浜辺の歌に入ったとき、ホテルの会場サービスマンが近寄ってきて司会者の伝言を小声で伝えます。
 「そろそろ開会の時間です」
 弾きながら軽くうなづきます。ピアノの上のデジタルウォッチは「6:26」
 浜辺の歌を弾き終わると、司会者のMCが始まりました。
 私はピアノの前に掛けたまま静かに待機です。

 「では、これから、中村先生ご夫妻のご入場です!皆様、後方の入口をご注目ください!」
 会場内が少し暗くなり、入口のドアにスポットライトが当たります。

 バーン!と、オクターブ奏法で「ある愛の詩」のイントロを弾き始めます。かなりドラマティックなアレンジです。そして、トロトロトロトロ〜とTrill(トリル)を弾いて…
 優しいテーマのメロディーが静かに始まるタイミングで、打ち合わせ通り入口の扉が開き先生ご夫妻のご入場です!ホテルのスタッフに先導されながら拍手の中をご夫妻が進んでいきます。(結婚披露宴じゃないので、先生もリラックスした雰囲気でニコニコと手を振ったりしています)
 私は視野の端でお二人の動きを見ながら弾いていきます。リハの時より演奏のテンポが少し速くなっちゃった気がしたけど、最後は何とか先生の着席と演奏の最後のパラパラアルペジオがピッタリ合って、入場BGMは無事終了!

 「ではここで、先ほどから素敵な演奏をしていただいていますan弾手さんに、先生に捧げるお祝いの曲を弾いていただきましょう!曲は愛の讃歌です!」
 司会者の紹介で、いよいよ私が主役になる場面です。さ、私のお役目も(火の国旅情の伴奏を除けば)あと少しだ。

 愛の讃歌のイントロを弾き始めます。こちらもオクターブ奏法で、ちょっと派手目に始まります。
 ………
 …あれ、何なんだ?さっきまで落ち着いて自分でも気持ちよく弾けてたのに。急に会場の注目を集めてる、って意識し過ぎ?いやな緊張感?なんかヤバイ?この空気!
 ………
 そして。
 この後、会場注目の中でとんでもない失敗がぁ!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
an弾手プロフィール新設のお知らせ

 このan弾手コラムも2002年8月27日の第1回開始から、いつの間にか7年以上が経ってしまいました。本当に早いものです。歳をとるはずですね(笑)
 思えば、この間実に沢山の方に訪問していただき、日本全国はもとより海外からもたくさんのメッセージや励ましの言葉を頂きました。本当にありがとうございます。そんな皆様の声やたくさんの嬉しい出会いに支えられて、ここまで何とか回を重ねることが出来ました。感謝です!

 で、ふと気付いたんですが、このコラムには私のプロフィール紹介ページがないんですね。連載を始めた当初は自分のプロフィールなんて本文を読んでもらえば何となく分かるだろう、位に考えていたような節があります。(っていうか、何にも考えてなかった!?)
 でも、自分が他の方のブログなどを拝見する時、すぐに気になるのは筆者のプロフィールです。この人、一体どこの誰なの?何やってる人?って。ですから、考えてみると自分の連載コラムは(特に初めて訪問された方には)実に不親切なページだなぁ、とやっと今頃気付いたのです。

 そこで、an弾手のプロフィールページを作ってみました。今更、って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、遅まきながらの自己紹介です。
 どうかよろしくお願い致します!

 an弾手のプロフィールはこちら

 
−an 弾手−


第276回「ホテルの祝賀会会場でピアノ演奏」その3・当日後編

[2009.11.4]

 あれ? 何、この緊張感?
 祝賀会会場でのピアノ演奏。開宴前のウェルカムピアノからもう40分以上も弾いてるのに。ここまで自分でもずっと気持ちよく弾けてきたのに。何今さら緊張してるの?
 そう、ここまではずっとBGM。つまりバックグラウンド。背景。空気。ところが司会者から
 「ではここで、an弾手さんに中村先生に捧げる曲を弾いていただきましょう!」
なんて言われたとたんに自意識過剰になっちゃった!自分でもあきれる位にちっぽけなノミの心臓ですね〜!誰もあんたのピアノなんて、そんなに真剣に聴いちゃいないんだからぁ。普通に、自然体で弾けばいいだけなんだからぁ。

 って、今だから言えること(笑)。その時は…、弾きながらどんどん緊張が高まって…。
 小指で弾くメロディー部分を気にし過ぎたら、いきなりコードがどこかに飛んでしまった!
 あれ、ここ何のコードだったっけ?

 グシャッ!!!
 無残な音がぁ!!!左手のコードが違ってる!!!
 とにかく止まらず、続くメロディーを…
 グシャッ!!!
 不協和音の連続っ!!!
 ええいっ、なるようになれっ!強引に次のフレーズにつなぐためにGのアルペジオをパラパラパラッと〜〜〜〜〜♪

 ふぅ、失敗した時の最低限のリカバリー、止まらずに弾き続ける、は何とかクリアか。その後は大したミスもなく、何とか最後まで終了っ!
 しっかし、聴いてる人もさぞかしヒヤッとしただろうなぁ。
 失敗しても、コンマ何秒で開き直れるか、って自分の本でも書いていますが。弾き終わった後は皆さんに軽く一礼して、素知らぬ顔で自分の席(円卓)に付きます。(さっ、もう忘れよう)

 乾杯の後、円卓の隣席の男性が話しかけてくれます。
 「プロ?じゃ、ないん、です、よね?」
 「あはは、プロだったらもっと上手でしょ〜!私のピアノは趣味ですから」
 「あ、そう言えば、いつか新聞に載ってませんでしたか?」
 「はいっ、あの記事、覚えていただいてたんですね!ありがとうございます!」
 という訳で、an弾手の名刺(本業用と2種類持ってますので)を出して、改めて自己紹介。
 その方も、若い頃ギターをコードで弾いていた、とのことで、しばしコード談義で盛り上がり♪

 続いて、1人の年配の男性が、グラス片手に近づいてきます。
 乾杯の前に、お祝いの詩吟を吟じられた方です。
 「素敵なピアノでした。聴いていて気持ちに沁みてくる、っていうか、上手とか下手とかじゃなくて心に伝わってくる演奏でしたよ」
 「わぁ、ありがとうございます。そう言って頂いて光栄です」
 「私は若い頃から詩吟をやっていますが、この歳になって思う事があります。若いときは勢いに任せて声を出してましたが、歳をとって大きな声も出せなくなってくると、逆に若い頃には充分わからなかったその漢詩の意味をじっくり理解しその心を語れるようになってきた気がしています。長く続けているといろんなものが見えてきますね。あなたも、ピアノをこれからもずっと続けてください」

 ありがたいお言葉です。もしかするとさっきの失敗で落ち込んでいるかもしれない私を、人生の先輩として慰めに来て頂いたのかもしれませんが、『気持ちに沁みてくる演奏でした』というのは私にとって最大の褒め言葉です。それは私が目指したいと思っている目標そのものなので。そしてその言葉は、そんな私の気持ちをまるで見抜いておられるかのようにも聞こえました。

 もうお1人、声を掛けて下さった方。
 「さっきのあなたのピアノを聴いて、話をしたいと言ってる人がいますよ」
 と、知り合いの男性。
 聞くと、なんでも音短(音楽短期大学)の先生らしい。
 「へぇー?」
 という訳で紹介してもらいました。
 立ち話でゆっくりとは話が出来ませんでしたが、私の名刺を渡したら
 「今日は自分の名刺を持ち合わせてなくてすみません。今度こちら(私の名刺の連絡先)に電話しますね」
 と言っていただきました。なんだか、また一つ新しいつながりが出来そうで嬉しいです。

 ところで、こっそり準備しておくように言われていた「火の国旅情」の伴奏は?
 中締めでご登場の作曲家・岩代浩一先生。司会者の「ぜひ、火の国旅情を!」という誘い水にも乗らずにご挨拶だけで終わったので、こちらは私の出番は無し。最後の最後にまたまた恥の上塗りせずにすんで良かった!かな?

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 とうとう、11月に突入。急に冷え込んで本格的な冬になってしまいました。そう言えば年賀状の発売も始まって、いよいよ年の瀬ですね〜。年賀状と言えば私が以前から住所録を登録しているデータベースソフトがすっかり年代物(MS−DOS版!)で去年から調子が悪く、今年新年に頂いた賀状の名簿整理もまだ出来ていないんでした。一度、データをエクセルにでも入れ直さないと大変なことになりそうです。あ〜、早くしないと時間がないなぁ。

 
−an 弾手−


第277回Q&Aコーナー「オンコードについて」

[2009.11.17]

 いやぁ、G&Aコーナー、って言葉、久し振りのような気がしますね。
 ご質問のメールは時々いただくんですが、ここにご紹介するのはしばらくご無沙汰でした。
 今回は本連載コラムと拙著「お父さんのためのピアノ教室」の読者、m&mさんからのご質問をご紹介しましょう。

(m&mさんからのご質問)
 an弾手さん、第61回「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」(その8)左手で伴奏のパターンをつくろうを読ませていただき大変参考になりました。ありがとうございます。
 そこで質問なのですが、この左手伴奏パターンでいろいろな曲をピアノ弾き語りで楽しんでいると、 スムーズにいかないコードがでてきます。C/Eのオンコードなどです。
 例えば〔keyがC〕のポップスの8ビートの曲を歌いながら弾くとき、1小節を右手でコードCのド・ミ・ソで押さえ、左手でCの1オクターブをドからドと人差し指でソの五度で弾くと、五度のソはコードC内の音なので理解できるのですが、1小節をコードがC/Eのオンコードの場合、右手でコードCのド・ミ・ソで押さえ、左手でEの1オクターブをミからミと人差し指でシの五度を弾くと、音が外れます。
 C/Eのようなオンコードを1小節左手伴奏パターンで弾く場合、左手のEの五度は何を押えるのでしょうか?カンタンにコード理論的にどう考えればよろしいでしょうか?よろしくお願いいたします。

(an弾手からの回答)
 はい、m&mさん、ご質問ありがとうございます。
 オンコード(分数コード)の時の左手の弾き方のご質問ですね。
 まず、m&mさんがおっしゃっている本コラム第61回の該当する記事をここに再掲してみますと…


 …左手をオクターブに開いてルートに置きます。その時の人差し指を見て下さい。どの鍵盤に来てますか?コードCだったらG、コードAmだったらE、コードDmだったらA、コードGだったらDに来てませんか? もし、ちょっと指がズレる人がいたら、少し修正して、上に書いた位置に人差し指を乗せて下さい。そして、この指の形を感覚的に覚えて下さい。
  この人差し指が乗っている鍵盤が各コードの5度の音になっています。ですから、各コードのルートをオクターブでつかめば、同時に自動的に5度の音もつかんだことになります。
 5度の音はメジャーコードもマイナーコードも同じですから、この手の形はメジャー、マイナー気にせず使えます…


 …ということで、簡単に言うと左手のパターンとしてコードのルートを小指、親指(1オクターブ)でつかむと、自動的に人差し指がそのコードの5度の音の鍵盤に乗りますよ、ということを書いています。ここまではいいとして、m&mさんのご質問はオンコードの時に左手をこのパターンで弾くと5度の音がはずれておかしくなるんだけど、というご指摘ですね。

 一般的にオンコードの意味は、大別すると2つの場合があります。

 1つ目は分子でコード、分母でベース音を指定している場合。
 2つ目は分子、分母ともそれぞれ別のコードを指定している場合。
 (これは2つの違うコードを重ねることで、ジャズなどの複雑なテンションの入ったコードを単純に表記する場合などに使われます)

 ご質問のケースは1つ目の、分子でコード、分母でベース音の場合と思います。
 この場合、分母の左手はあくまでもベース音なので、Eの音を弾くことになります。つまり、Eというのはコードネームではなく音名なのです(最低音をEにしなさい、という指示)。Eというベース音をどういうリズムで入れていくかは曲の流れや前後の関係の中で判断します。
 但し、上記の奏法と違ってコードを左手だけで弾いているような場合は、左手はEが最低音になるコードの転回形を弾く事になります。つまり、C/Eの場合は(最低音がEになるCのコード、という意味で)低い音からE、G、Cとつかむ、などのパターンが考えられます。ただ、くどいようですがこの場合でもC/Eの分母のEはあくまでも最低音をEにしなさい、ということを言っているだけで、そのほかの音の押さえ方を具体的に指示しているわけではありません。
 オンコードを使う目的としては、例えばコードCの場合にずっとベース音をC音で弾いているとサウンドが単純になる場合にコードCを転回形にして変化を付けたい場合や、あるいは前後のベース音が順次滑らかに動くようにしたい場合(例えばベース音がF→E→Dと動くとか)などがあります。

(m&mさんから)

 an弾手さん、ありがとうございます。誠に勉強になります。

>分母の左手はあくまでもベース音なので、Eの音を弾くことになります。
>つまり、Eというのはコードネームではなく音名なのです。

 この回答で、私は満足いたしております。

 「お父さんのためのピアノ教室」(体験的コード奏法超入門)とってもありがたい書籍で、私のバイブルの一冊としております。これからのan弾手さんのご活躍応援しております。
 またよろしくお願いします。
 m&m

(an弾手より)
 ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。
 また、何かありましたらいつでもお便りください!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 「船を揺らす波を見下ろして船酔いになるよりも、明るい水平線に視線を向けることだ」
 先日の日経新聞の日米関係コラム記事の中にあった言葉。
 なるほどですね。足下の波に翻弄されるより遠くの水平線を見ていた方が船酔いにならずに済む。毎日降りかかってくる様々な出来事に目を奪われて自分を見失うのではなく、その向こうにある自分の進むべき道をしっかり見つめていればいいんですよね。
 これ、いただき!です。

 
−an 弾手−


第278回

「アナ鼻ピアノ(その37)いろんなコードでの
左手人差し指の使い方」
[2009.12.2]

 前回、m&mさんからのご質問のQ&Aでオンコードの時の左手人差し指の話をしました。そのついでに、今回はオンコード以外でもちょっと人差し指の使い方が通常と違うコードの話をしてみたいと思います。久し振りのアナ鼻ピアノです。
 最初にこの話の前提として、前回も引用しましたコラム第61回に書いている左手パターンの記事をもう一度載せてみますね。
 (何度も同じものですみません)

 …左手をオクターブに開いてルートに置きます。その時の人差し指を見て下さい。どの鍵盤に来てますか?コードCだったらG、コードAmだったらE、コードDmだったらA、コードGだったらDに来てませんか? もし、ちょっと指がズレる人がいたら、少し修正して、上に書いた位置に人差し指を乗せて下さい。そして、この指の形を感覚的に覚えて下さい。

 この人差し指が乗っている鍵盤が各コードの5度の音になっています。ですから、各コードのルートをオクターブでつかめば、同時に自動的に5度の音もつかんだことになります。
 5度の音はメジャーコードもマイナーコードも同じですから、この手の形はメジャー、マイナー気にせず使えます…

 上記の左手の形は非常に汎用性があってこれだけで大概の曲が弾けてしまいます。この左手パターンでは人差し指がコードの5度の鍵盤に乗っていますので、普通に5度の音が含まれているコードであればこれで大丈夫です。但し、コードによっては5度の音が半音ずれているものがあります。その場合は当然ながら人差し指も同じように半音ずらしてやる必要があります。
 たとえばコードネームにaug(オーギュメント)が付いているコード。
 これはメジャーコードの第5音が半音上がっているコードです。ですから、単純に人差し指を半音上げて弾けば大丈夫です。
 もうひとつdim(ディミニッシュ)が付いているコード。
 これは形としてはマイナーコードの第5音が半音下がっています。ですから、単純に人差し指を半音下げて弾けば大丈夫です。
 他に、楽譜のコードを見ていると♭5とか−5とか(いずれもフラット・ファイブと読みます)書いてあるコードが出てくる場合があります。この場合もむずかしく考えず、単純に人差し指を半音下に(左に)ずらすだけでOKです。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 とうとう12月になってしまいましたね。って、前々回(第276回)でも、とうとう11月に突入!なんて書いてますがぁ。ほんとに速いものです。
 昨日は熊本県庁のイチョウ並木を歩いてきました。もう6〜7割葉が落ちていましたが、それでも当り一面むせるような黄色いジュウタンが広がり、夕日を浴びて金色に輝く様は体ごと染まってしまいそうでした。
 小さなお子さんを連れたお母さん、車椅子の老夫婦、カメラを構える若い女性。何組もの人達がこの空間を楽しんでいました。私は仕事途中で足早に歩きながらも、全身を包むこの光と落ち葉の匂いと靴の裏に伝わるフカフカの感触。
 慌しさを忘れさせてくれる、ひと時の幸せでした。

 
−an 弾手−


第279回「緊急ご案内」年賀状交換のお願いです!

[2009.12.10]

 あっという間に12月も3分の1が過ぎてしまいました。みなさま、年賀状の準備は進んでますか?

 実は私はまだこれから。例年、自分の本業用(会社用)だけ作って友人関係にもそれを送っていました。ところが、今年の新年にはうれしいことにan弾手の読者の方数名から年賀状を頂いたのです。でも、お返事に出す専用のはがきがなく、結局は官製はがきにヘタな手書きで地味なお返事を出してしまいました。そこで、今回は去年いただいた方にはan弾手専用の年賀状を作ってみようか、と思い付いたのです。そして、せっかく作るんだったら日頃コンタクトをいただいている他の読者の方にも差し上げてみようかというアイデアが浮かんだと言う訳です。

 前置きが長くなってしまいましたが。
 そういう訳で、私と年賀状交換をしていただける方を募集させていただくことにしました!(そんな企画なら、もっと早くやれ、って叱られそうですが)

  どうか、私からの年賀状を受け取ってもいい、という殊勝な方がいらっしゃいましたらご住所、お名前をメールでお送り下さい。
 (もうこんな時期ですので、そちらから私宛の年賀状は出されても出されなくても結構です)

 ●私のメールアドレスは下記の通りです。
 piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

 ●必要情報
 メールの中に
 1.郵便番号、ご住所
 2.お名前
 3.年賀状送れ
 以上3点をかならずご記入下さい。特に、3.の「年賀状送れ」が無いと何のメールか分かりませんのでどうかよろしくお願い致します。

  ●締切り
 はがきを印刷する都合がありますので、勝手ながら12月16日(水)必着でお願いします。

  頂いたメールには受け取り確認の返信を致します。土、日を除いて丸2日以上返信がない場合は未着か私の確認漏れの恐れがありますので再度送ってくださいね。
また、頂いた個人情報はan弾手の年賀状を発送する目的にのみ使わせていただきます。

 ●私の住所
 私宛にも年賀状をお送りいただける場合(任意です)は下記までよろしくお願い致します。
 〒860-0863
 熊本市坪井4丁目5−7 (株)フォーカス内
 an弾手

  はがきの中身は、今考え中です。印刷、投函の都合で元日配達に間に合わない場合も考えられますが、その時はどうかお許し下さい。(ホントにもっと早く思い付けばよかったんですが)

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 という訳で。
 今回のコラムは変則の内容とアップ曜日で失礼しました。実はまだ仕事用の年賀状もどうするかこれから考えるところで、我ながらあきれたものです。
 (いつもギリギリ駆け込み!)
 今年も正味あと2週間ちょっと。これから忘年会が続く方もいらっしゃるでしょうが、お互い、体調に気を付けながら乗り切りましょう!
 ってこのコラム、まだこの後も今年の更新ありますのでどうか最後までお付き合い下さい!

 
−an 弾手−


第280回「ピアノ発表会・クリスマス会」

[2009.12.17]

 「今度、ピアノ発表会を兼ねたクリスマス会をするのですがan弾手さんも見に来られませんか♪」

 そんなメールをいただきました。9月の熊本県立劇場an弾手ライブに来ていただいていたピアノの先生。
 「あの時、一緒にライブを見に来ていたパパさんは、いま戦場のメリークリスマスを猛練習中です!」
 そうそう、あの時は先生とその生徒さんご家族(お父さん、お母さん、小学生の子供さん)もご一緒でしたね。あのお父さんも今度の発表会に出られるんですね。

 「ぜひ、見に行かせてください!」とお返事しました。
 すると
 「ほんとですか!よろしければ曲をご披露していただけませんか?もし、弾いていただけるなら曲のタイトルとか教えてください」
 と返信が。

 いえいえ〜。教室の皆さんの発表会ですし、よそ者の私なんかが曲のタイトルまで予告しての参加じゃ大げさなので、とりあえず私はおじゃまにならない程度に軽く見学させていただくということで。で、もしご紹介していただけるようであればちょっとご挨拶くらいは。で、演奏は…、その時の成り行き、ということで(笑)

 この先生、9月の県劇ライブに来て頂いた時に初めてお会いしたのですが、以前YAMAHAのエレクトーン教師をされていて、今は個人でピアノ教室をされているそう。コードを使ったレッスンということで、私の本に共鳴してあの時のライブにも来ていただいたとのことでした。
 その時ライブの後にいただいたメール。
 「10月からは60代のおばさまと、子供の同級生のママの二人、大人生徒としてコード奏法の仲間入りです。an弾手さんのテキスト(〜洋楽スタンダード)を使わせて頂こうかと思っています。目標にできる方が身近にいらっしゃることはとても心強いです」
 ありがとうございます!こうして、またコード奏法の仲間が増えてうれしいです。

 実はその発表会・クリスマス会、今週の土曜日。そこでどんな新しい出会いがあるのか、楽しみです。

 その模様は、また次回にご報告します♪

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 ふたご座流星群。今週前半くらいが見頃だったみたいですね。皆さま、ご覧になられましたか?
 14日(月)夜、帰宅のために会社の駐車場まで行き、ふと空を見上げたら満天の星。あ、もしかしたら見れるかも、と、にわか天文ファンになってしばらく夜空を見上げていました。そのうち寒くなって車の中へ。フロントグラス越しに見ていたら…。
 見えました!低く懸かったオリオン座の中をスーッと!周りの星より何倍も明るい光跡が!
 一瞬の出来事で願いを唱える暇はありませんでしたが。久々に師走の喧騒を忘れて夜空に遊んだひと時でした

 
−an 弾手−

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