第341回「ありがとうございます!」

[2011.3.8 ]

  「この前から見掛けて気にはなってたんだけど、声を掛けるきっかけがなくてね。今日はよろしく!」
裏通りのひっそりとしたビルの入り口。小さな看板サインが灯る、とあるピアノバー。ここを覗いてみるのは確か4回目だったっけ。上品な店内はいつも静かで、時々店のマスターが弾いてくれるピアノがお洒落です。
私も、そろそろここのピアノにもご挨拶(?)しなきゃ、と密かに思ってやって来たその日。マスターのピアノにお客さんらしい男性のウッドベースが入ってポピュラー系の曲をひとしきり聴かせてくれたそのあとで。
思い切って言ってしまった。
「ちょっと、ピアノ弾かせてもらってもいいですか?鼻歌ですけど…」

ピアノの鍵盤に向かい、心の中でそっと冒頭のごあいさつをつぶやきます。
「この前から見掛けて気にはなってたんだけど、声を掛けるきっかけがなくてね。今日はよろしく!」

演奏の方は?
何度も弾き慣れた箇所でなんで間違えそうになるんだっ、と自分に腹が立ちながらも、まあ何とか平静に弾き終えます。
聴いてくれてたのは、カウンターにいるさっきのウッドベースの男性、中年のカップルさん、他に男性一人、女性一人、そしてカウンターの中のマスターとママ。私のピアノが終わると皆で拍手してくれました。
「なんで僕の時より拍手が多いの?」
って笑いながらつぶやいているマスター。そりゃ、客の私が突然弾いたのでご祝儀拍手でしょ。
あはは、どうもありがとうございます!

それにしても、この時間この場所、見ず知らずの人がたまたまここに居合わせたこと自体不思議な偶然で。そんな所で私がたまたまピアノを弾いて、それをたまたま聴いていただいたこと自体不思議な縁で。
ありがとうございます!

ところでこの「ありがとう」っていう言葉、よく考えてみると、もともと「有り・難い=あることがむずかしい、めったにないこと」っていうような意味みたいなんですよね。それから転じて、めったにないことと感謝する、もったいない、尊い、っていうことらしい。
そもそも私が今ここに生きて存在していること自体、天文学的にわずかな確率の有り難きこと。そんな自分がピアノに出会い、今ここで弾いていること自体、ほとんど有り難きこと。(ん?なんか急に大げさな話になってすみません!)。
そしてそのピアノ。弾いた瞬間に音が鳴って、すぐに消えていく。曲はそこにあるようで実際はどこにも存在しない。そんな不思議な時間、空間に見ず知らずの人が一緒に遭遇するというのも、確かに有り難きことなのでしょうか。

そう考えると「お1人さまピアノ」と「人前ピアノ」では、その意味にとても大きな違いがあるような気もしてきます。

でもそんな不思議な有り難き出会いの瞬間のためには、お1人さまピアノも日頃からしっかり励んでおかなくっちゃ、ですね!
あはっ(笑)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 先週土曜日、熊本城の横に城彩苑という施設がオープンしたので行ってみました。昔の武家屋敷風の建物が連なった小路になっていて、飲食店や熊本の特産品などのお土産を売る店になっています。また、隣接して熊本城の歴史や文化を展示や映像で体験できる歴史文化体験施設もあります。
その日はオープン当日だったこともあり大賑わい。知り合いの体験施設運営リーダーの方やお土産のいきなりだんご屋さんとも人ごみの中で何とかお会いしてご挨拶できました。
これから、沢山の人に足を運んでもらえればと思います。

 
−an 弾手−


第342回「心よりお見舞い申し上げます」

[2011.3.15]

 2011年3月11日、私はずっと外に出ていて何も知らなかったのですが、夕方、ネットで地震のニュースを見てテレビをつけたら大変なことが起こっているのを知りました。同じ日本で今起こっていることとは信じられないような状況で言葉を無くしてしまいました。
まずは、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご家族や被災者、関係者の皆様へ心からお見舞い申し上げます。
また、政府はもとより各省庁、行政、関係団体、そして現地で危険と背中合わせで救助や復旧に当られている多くの方々のご苦労、ご心労はいかばかりかと思います。
世界中からも多くの支援が寄せられていると聞きます。自分には今すぐ何も出来ないのがもどかしい限りですが、こんな時こそこちらまで気が滅入ってしまうのではなく、少しでも前向きの気持ちを持っていかねばと自分に言い聞かせています。
まだまだこれから事態がどうなるのか予断を許さないところではありますが、自分がやれること、やるべきことは何なのだろうと考えながら、今は少しでも希望の方向に向っていきますようにと願うばかりです。

なお、このコラムは原則毎週火曜日更新としていますが、当面は状況を見ながら随時更新とさせていただきたいと思います。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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−an 弾手−


第343回「ガンバレ日本、負けるな福島!」

[2011.3.29]

 2011年3月27日午後5時半過ぎ。熊本交通センターの特設屋外ステージに手書きの横断幕が広げられました。
「ガンバレ日本、負けるな福島!」
横断幕を持っているのは福島県相馬市からやって来た、詰襟とセーラー服姿の向陽中学校の生徒さん男女10名。東日本大震災の避難所でボランティア活動もしているという中学生です。

その日は「第2回オハイエくまもと・とっておきの音楽祭」の日。「オハイエくまもと」とは、障がいのある人もない人も一緒に音楽を楽しみ、心のバリアフリーを目指そうという活動。プロ、アマ交えた70以上のグループや個人、約550人が思い思いの音楽を演奏する「とっておきの音楽祭」が熊本中心市街地一帯8つの会場で開かれました。

でも今年は開催直前の3月11日あの東日本大震災が勃発。関係者の方は予定通り開催したものかどうか随分悩まれたようですが、こんな時こそ熊本から被災地に応援の気持ちを届けようと、急遽、被災者支援チャリティーとしての開催を決断されたそうです。
実はこの「とっておきの音楽祭」、今回大きな被害を受けた仙台がもともとの発祥の地(約10年前)で、その趣旨に心を動かされた熊本の方が同じ思いを熊本にも広げようと昨年から始められた音楽祭なのです。震災直後は、今回仙台から特別出演で来られる予定だった方とも全く連絡が取れず心配されたそうですが、その後何日も経ってやっと無事だということが分かったとか。
そして当日、被災地仙台から「荒川知子ファミリーアンサンブル」のご家族3人とシンガーソングライターあんべ光俊さんが熊本のステージに立たれたのでした。

…と、人ごとのような解説をしているan弾手ですが。
あの震災以来、ささやかな募金くらいしか出来ない自分に無力を感じながら気分が落ち込んでいたのですが、たくさんの人が熊本から元気を届けようと頑張っているこの音楽祭に、とにかく観客としてでも参加しようと行ってきました。

市内8つの会場のうち、足を運んだのは6ヵ所。すると、行く先々で顔見知りの人とバッタリ。最初に行った熊本市現代美術館ではネームプレートを下げた高校の同級生。
「あ、久しぶり!今日はボランティア?」と聞いたら、一瞬の間があって
「ええ、責任者です」と。
後でプログラムの役員名簿を見たらその人はオハイエくまもとの理事で音楽副委員長だった!失礼しました。
(もちろんこの会は全ての関係者、出演者がボランティアで参加されているのですが)
そして進行や音響には熊本県立劇場のプロデュース室の方々。

美術館の前のびぷれす広場会場では
「これからゴスペル歌います!」という知り合いのヴォーカリスト。会場担当のスタッフの中にはたまに行くライブレストランのマスターの顔も。

TSUTAYA前の会場ではスタッフジャンパーを着た、知り合いの某社長さん。

そこから下通りアーケード内の会場に行ったら
「あら、an弾手さん!」
と声を掛けられて振り向くと、以前、出版記念パーティーで司会をしていただいた女性アナウンサーの方。この会場の司会担当らしい。この会場には広いアーケードの真ん中にグランドピアノが置いてあり、プロ、アマ交えた演奏を堪能。

そしてメイン会場の交通センターに行ったら。会場タイムキーパー係は異業種交流会でいつも一緒の某社長。出演者の中には元ツイストのギタリスト作本さんや作曲家・ピアニストの志娥さんも。

みんなボランティアで頑張ってるんだ!それに引きかえ自分はぁ…?

いやいや、落ち込んではいられません。出演者とボランティアスタッフと街なかのたくさんの人たちが気持ちをひとつにして被災地の皆さまに応援メッセージと義援金を届けようと願ったこの音楽祭、観客として参加した私までしっかり元気をもらいました。

フィナーレのステージに上がった被災地・福島県相馬市の中学生が目を真っ赤にして言葉に詰まりながら言った言葉を司会者が伝えてくれました。
「遠い九州は今回の震災とは関係ないと思っていたけど、熊本の人たちがこんなに応援してくれているのを知って驚いた。福島に帰ったら、このことを皆に伝えます」

最後はステージいっぱいに溢れる出演者と総立ちの客席一体となった歌声の中で、中学生たちが持つ手書きの横断幕の文字が揺れていました。

「ガンバレ日本、負けるな福島!」



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 会社2階の湯沸し室の小窓を開けると、隣地の桜が五分咲きの枝を目の前に伸ばしています。
今年はいつまでも寒かったせいか、例年より1週間ほど遅い気がしますが、それでも毎朝車で走る通勤コースの桜並木は、もうすっかり春の色。その瞬間、気持ちがちょっと明るくなったような気がするから不思議です。

被災地の皆さまの所にも、早く暖かい春が訪れますように。

 
−an 弾手−


第344回「私とおやつ」

[2011.4.5]

 熊本のお菓子メーカー「お菓子の香梅」さんから「私とおやつ」というテーマで原稿の依頼を頂いたのは確か去年の中頃。RKKラジオ番組「お菓子の香梅ハイティートーク」(同社提供)に出演した人たちに依頼されたらしい。
はて、何を書こうか?自分にとって「おやつ」って何だろう?と色々考えたのですが、結局、同番組出演のきっかけとなった自分の素人ピアノの話とからめた原稿を書いてみることにしました。

先ごろ、それが1冊の立派な本になって送られてきました。熊本で文化芸術活動に携わっておられる方々約50名の、おやつにまつわるそれぞれの思いのこもった文章が綴られていて、興味深く読ませていただきました。(私自身は文化芸術活動と呼べる程のこともやってませんが…)
改めて自分の文章を読んでみると、いわゆる「おやつ」とはちょっと離れた文章になっていて恥ずかしいのですが、せっかくなのでお菓子の香梅さんにご了解をいただいて、ここでご紹介(転載)させていただくことにしました。

「Jause(ヤウゼ)」


店の奥にグランドピアノ。
この時間帯は弾く人もなく静かに佇んでいる。
通りすがりに入った昼下がりのカフェレストラン。
がらんとした店内の窓際の席に、レースのカーテンから午後の柔らかな日差しが差している。

「レモンティー」
そう注文してからメニューの裏にCafe & Dessertというコーナーがあるのに気付く。
「あ、この、本日のオリジナルケーキ?も一緒にいいですか」
こんな店に一人で入ってケーキを注文することは滅多にないけど、今日は何となく食べてみたい気分だ。

こうやってお洒落な店にグランドピアノが佇んでいるのは見るだけでも楽しい。ピアニストがいて耳障りのいい演奏をしてくれたら心が和む。もしこんな所で自分でも弾けたらきっと嬉しいだろう。
実は、ずっと憧れていたピアノを大人になってから始めたのだ。そうしたらすっかり虜になってしまった。楽譜の通りに弾くピアノではなく、コードを頼りに自分で好きなようにアレンジしながら弾く奏法だ。なかなかうまくはならないが、タラタラと気分に任せて弾くのが楽しい。これを自分では勝手に「鼻歌ピアノ」と呼んでいる。
ヘタな素人ピアノながら、夜の街のバーなどでたまに弾かせてもらったり、パーティーのウェルカムピアノを頼まれたり、それなりに楽しんでいる。

レモンティーと一緒に、パープルのフルーツ?が入ったショートケーキが出てきた。
「中に入っているのはリンゴをカシスで煮たもので…」
私が不思議そうに見ていたら、ウェイトレスさんが説明してくれた。
「ウィーンの言葉で『午後のティータイム』という意味のJause(ヤウゼ)という当店オリジナルケーキです」

少しキズのあるどっしりとした木のテーブルに白いティーカップ。同じく白い皿に淡いクリーム色とパープルが縞模様になったショートケーキ。通りすがりにたまたま寄ったカフェレストランだけど、こんな『午後のティータイム』もたまにはいいかな。
レモンティーをすすりながら、しばらく皿の上の上品な縞模様を眺めてみる。見ているだけでも美味しそうだ。フォークで切って口に入れる。甘酸っぱい香りが広がった。

ふと、ピアノもお菓子も同じだなぁと思う。なくても多分生きていける。でも、あればきっと人生の時間がふくらみそう。もっと言えば、そんなひと時を一緒に過ごしてくれる家族や親しい人が傍にいたら、もっと楽しいはずだ。今日は一人だけどね。

次はピアニストが演奏している時間にこの店に来てみよう。いや、いつかあのピアノ、自分でも弾けたらいいなぁ。その時はきっと、甘酸っぱい人生のJause(ヤウゼ)を共に味わいながら私の鼻歌ピアノを聴いてくれる人と一緒だ。

妄想は広がる。だから妄想も人生の「おやつ」のひとつ、と言ったら、言い過ぎ、かな?



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 前回のコラムでご紹介しました、被災地の福島県相馬市から熊本に来て募金活動などをしていた中高生10人が、一昨日(4月3日)福島に戻ったと新聞に出ていました。(前回コラムでは中学生10人と書いたのですが、実際は中学生と高校生だったようです)
記事によると、この中高生に熊本市のNPO法人「グランド12」から漫画本約400冊が贈られました。相馬市ではライフラインの復旧は徐々に進んでいるものの、娯楽が足りず、避難所では雑誌を回し読みしているらしいのです。贈られた本はそれぞれの手で避難所に届けられるとか。
「津波で家族を亡くした友人もいる。現地で若者にできることを頑張りたい」「熊本の人たちは親切で励まされた。今度は私たちが被災者を元気づける番」という彼・彼女らに、陰ながらエールを送りたいと思います。
(一部、熊本日日新聞記事より引用)

 
−an 弾手−


第345回「日曜日のストレス解消生ピアノと次の出版企画」

[2011.4.12]

 いろんなことがあって。このところ。
あまりピアノに触れない日が続いていました。それに、ちょっと体調崩して胃の調子も良くなくて、夜の街もだいぶご無沙汰なんですよね〜。

で、この前の日曜日は久しぶりにピアノに触りましたよ。生ピアノの音とあの空気の振動感が恋しくて、グランドピアノの蓋を開けてみたのでした。何を弾くわけでもなく、コード進行のタラタラアドリブ弾きをやってみたり、ピアノの横に立てている曲集からランダムに開いたページの乱弾きをやってみたり、まあ、いつもながらのご近所迷惑ではありますが。あっという間の2〜3時間?自分なりのストレス解消ではありました。

ところで、すっかり予定が遅れてしまっている次の本の出版企画。実は例題曲の選定で手間取っておりました。私が選んだ曲と、出版社の方の希望候補曲との調整がなかなか難しくて。
先週の金曜日、出版社の方から電話が。
「掲載曲の件ですが。私の方でもまた少し考えてみましたのでこれからメールしますね。検討していただけますか?」
はーい、ありがとうございます!ちょいと原稿の調整がうまく進んでいない時も、すっかりお世話になっている編集者の方の声を直接お聞きすると、やっぱり嬉しくなって、よっし、頑張らなくっちゃ〜って気になるもんです。

メールしていただいた候補曲と、既にこれまでもリストアップしている曲、あわせて15曲程を、日曜日のストレス解消弾きに合わせてピアノで弾き比べてみました。そして、解説に使うメインの曲と、それ以外の参考曲に分けてもう一度絞り込みました。

自分で設定した選曲の基準は、
今度の本の対象者であるピアノ(コード)超初心者でも分かるようにメロディーラインが分かりやすいこと、難しいコードが出てこないこと、そして誰でも知っている曲であって、同時に大人が弾いてもそれなりに聴ける曲であること。Keyは基本的にCであること。あまり流行り廃れに関係ない曲であること。それに、出来れば著作権使用料があまり発生しそうにない曲?等々…。

楽譜を見ただけでは同じようなレベルに見える曲も、実際に弾くと微妙に指使いが面倒だったり簡単だったりがあるんですね。弾きながら頭の中で本にした時の解説の仕方をシミュレーションしてみたり、出てくるコードを変えて分かりやすく単純化してみたりしてみました。

こうして絞り込んだ曲は…。あ、まだ企画の途中なのでここで公表できないのが残念ですが。弾きやすくて、同時にそれなりに味のある曲が揃ったのではないかと思っています。

実はもうひとつ、別の出版社の企画も同時進行中で少し焦り気味なのですが。
久しぶりの生ピアノの感触でやや気分もリフレッシュしたことだし、さてと、一気に原稿仕上げに掛かりますか!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 我が家の隣の畑、いま一面の緑が風に波打っています。麦畑です。緑の波の上を小さな蝶が白い羽根をヒラヒラさせながら舞っています。まだ緑の葉っぱだけですが、やがて麦の穂があの独特の形を見せてくれることでしょう。
季節は確実に巡っているんですね。自然の営みの前で自分のちっぽけさを感じながらも、こうしてのどかな春の風景を眺めていられることに感謝です。

 
−an 弾手−


第346回「オカリナ奏者募集?」

[2011.4.19]

 面白いサイトを見つけました。「オカリナ楽譜配信サイト・おとタマ」。
(リンク先はこのコラムの最後にあります)
オカリナの種類から、持ち方、姿勢、音の出し方、吹き方のコツ、それに例題曲「ちょうちょ」の楽譜と伴奏付の音源などが載っています。これだけでもとりあえずオカリナ演奏のとっかかりは出来そうですが、私が特に興味を持ったのは同じサイトの「楽譜集」のページと「オカリナのためのピアノ伴奏」のページ。

「楽譜集」ページでは童謡や世界のうた約120曲ほどのリードシート(コード譜)が載っています。また「オカリナのためのピアノ伴奏」のページでは25曲ほどのリードシートと、それを実際に演奏した場合のピアノ伴奏のみの音源、及び伴奏付きオカリナ演奏の音源が付いています。
オカリナを演奏してみたい人はリードシートを見ながらピアノ伴奏の音源に合わせて演奏を楽しむことが出来そうですが、私の興味はもっぱらリードシートからどんな風にピアノ伴奏のパターンを弾くか、ということ。収録されている音源のピアノ伴奏はなかなかオシャレでとても参考になりそう。また、これはそのまま歌の伴奏にも応用出来そうですね。

そこで、です。伴奏パターンだけ1人で弾いても面白くないので、どなたかオカリナでメロディーを合わせて演奏してくださる方がいらっしゃったらいいなあと思った次第なのでした。
私の周りにはジャズヴォーカルの人は結構たくさんいらっしゃるんですが、オカリナ奏者となると、いまひとつ思い浮かばないんですよね。

私が日頃親しんでいるのはほとんどソロ・ピアノですし、伴奏、となるとまた別の難しさがあります。でも、いつかはやってみたいと思っていました。すぐにどこまで出来るかは分かりませんが、そんな、新しい分野にも挑戦できたらいいなぁ。

「オカリナ楽譜配信サイト・おとタマ」はこちら

 http://ototama.com/



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 ピアノ初心者の方でも、自分がそうだったように身近なところから気軽にピアノに親しんでもらえれば、という思いで、これまでのan弾手既刊本とはまたちょっと違う切り口で構想してみた次の出版企画。かなり時間がかかってしまいましたが、ここに来て急に予定が具体的になってきました。
7月刊行予定、ということで出版社から連絡がありました。まだこのあと若干原稿の手直しや最終的な掲載曲の詰めもありますので、今度のゴールデンウィークが勝負になりそうですね。
久々に原稿三昧の連休になりそうです!

 
−an 弾手−


第347回「今日は出番はあるの?」

[2011.4.26]

 「今日は出番はあるの?」
ライブに出かける予定のその日。夕方まで家でタラタラとピアノを弾いていたら、外出から帰ってきた家族にそう聞かれました。
「あ、いや、今日はないよ。聴くだけ」と私。
出番があるんだったら、もっと気合入れてリハーサルやりますから(笑)。

その日は私がたまに顔を出すライブハウスの6周年記念ライブの日。2日連続の2日目でKBC(熊本ボサノバクラブ)の出演らしい。KBC会長から直々に案内のメールが来ていたので行ってみることにしたのでした。

開演時間の少し前に店に着くと店内は十数人の人。ピアノの横には、この店ではいつもは見ないキーボードが。今日はちょっと違う編成でやるのかな。
やがてお客さんがどんどん入ってきます。出演者もお客さんもごちゃ混ぜで席に着くのがこの店の特徴。(というか、楽屋が無いので)
「あ、こんばんは!」「お久しぶり!」
あっちこっちで挨拶の声が上がります。馴染みの人や、思わぬ人と久しぶりに出くわしたりするのもこういう店に来る楽しみの一つではあります。
席に掛けていたら、ポンポンと肩を叩かれました。振り向くと久しぶりに会うヴォーカリストさん。
「おっと久しぶり!今日は出るんですか?」
「いえ、今日は出ませんよ」
そう言えば来月この人のヴォーカル暦10周年記念のライブがあるんだった。まだチケット買ってなかったなぁ。って訳で、その場でチケット購入!
あれ、今横を通って前の席に掛けた人、本業の仕事で長年お世話になっている県庁マンだ。この店でお会いするのは確か2度目だけど、あの人もこの店によく来られるのかな。

そんなこんなで満席の中、予定より10分ほど遅れて始まったボサノバライブ。KBCメンバーのヴォーカリスト7〜8人が次々に交代で歌ったり、曲によってピアノとキーボードの奏者が交代したり、ギター奏者が替わったり、途中でサックスが入ったりフルートが入ったり、鍵盤がピアニカに替わったり、何ともバラエティー満載で大盛り上がりのライブになりました。

ボサノバステージの後はセッションタイム?会場からヴォーカルや楽器の飛び入り演奏が続きます。たまたま来熊中のテルミン奏者が来られていて、急遽テルミンの演奏も。アンテナが付いた四角い箱。そこに手をかざして微妙に動かすだけで色々な曲が流れてくる不思議な演奏を生で間近に見ることが出来ました。

「さて、次は誰にいきましょうか〜」
この店のオーナーピアニストさんが会場を見渡して…。私と目が合います。
「an弾手さん、いきますか〜」
「えっ、今日はそんなつもりじゃなかったんですけど〜」

家を出る前、「今日は出番はあるの?」と聞かれて「いや、今日はないよ。聴くだけ」と言って出てきた私でしたが。そうかぁ、ライブの後はセッションタイムだったか!
「本の紹介もしますから、こちらへどうぞ〜」とオーナーに言われて前に出てしまった私でした〜。

ピアノの前に座ると、ここまで沸きに沸いてきた満員の会場がシーンと静まり返り、視線が集まっているのを感じます。出番を想定していなかったので一瞬何を弾こうかと迷いつつも、ここはこれまでの盛り上がった空気と逆に、思いっ切り静かなソロ・ピアノで行ってみましょうか。
いつものコード進行タラタラアドリブ(風?)フレーズをさらにゆっくりにして弾いた後、「ひき潮」の出だしへ。フレーズの切れ目を意識してわざとたっぷり目に取ることで、緊張して雑に速くなりがちな気持ちを抑えてみました。途中、鍵盤をきちんと下まで押さえられずに音を飛ばしてしまった所がだいぶあったみたいだったけど、何とか大きなミスもなく弾き終える事は出来たかなあ。
席に戻ると、近くの人に「綺麗ですね〜」とか「癒されました〜」とか言って頂けたのが救いでした。

しかし、あの店内の温かな空気と一体感は何なのでしょう。いまさらですが、音楽は人の心をひとつにつなぐ力があるんですね。1人で行ったライブでしたが、たくさんの人の笑顔と温もりを頂いて帰路についた深夜のan弾手でした。



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ちょっと、ひと言。

 今週末からゴールデンウィーク突入ですね。
お仕事によっては連休なんてとんでもない、って方もいらっしゃるでしょうし、震災に遭われた方や現地で復興に取り組まれている沢山の方のことを思うと、連休どころの気分でもないのですが、それでも自分なりに有意義な連休を過ごしたいと思っています。
私の場合は、とにかく連休中に次の出版企画(講談社・7月末刊行予定?)の原稿をまとめてしまう、という宿題が。
という訳で、誠に勝手ながら来週火曜日(5月3日)の本コラムアップはお休み、ということにさせてくださいませ。休み明けにはまたここに帰って来る予定です。

皆様、どうか良いゴールデンウィークを!

 
−an 弾手−


第348回「ひな子さんとの約束を果たせなかった連休」

[2011.5.10]

 ゴールデンウィークも終わりました〜。皆さまいかがお過ごしでしたか?
私は前回コラムの「ちょっと、ひと言」でも触れましたが、この連休は次の出版企画の原稿仕上げに追われていました。一日を午前、午後、夜の3ブロックに分け、各ブロック毎の進行目標を10日間のスケジュール表にして机の前に張り出し、それをチェックしながら過ごしていました。

とは言っても息抜きも大事(笑)。合間には家族サービスも兼ねてちょっと外出も。そんな息抜きの一つに出かけたのが熊本城にこの3月オープンした「城彩苑」という一画。江戸時代の街並みを再現したような小路を巡りながら熊本名物のお土産や味に触れたり、隣接の体験コーナーで熊本城築城の秘密や歴史上の人物などを最新のバーチャルリアリティや映像などで体験できる施設です。

そこでお土産を見ていたら…。外から聴き覚えのある澄んだ歌声が。外に出て声のする方に行ってみると。城彩苑の中央に四方が開いた屋根付きの常設イベントステージがあるのですが、そこで歌っていたのはDOYO組のお二人(矢部清子さんと曽我みまこさん)でした。
(お二人のプロフィールその他はホームページをご覧ください)
http://doyo-inc.com/doyo.html

江戸時代風の街並みに二人の澄んだ歌声が響き渡り、たくさんのお客さんが立ち止まったりベンチに掛けたりして聴き入っていました。私もしばしステージの前のベンチに掛けて楽しませていただきました。
実は私、以前ひょんなことからこのお二人のピアノ伴奏をさせていただいたことがあったのです。
途中からステージの近くにやって来た家族に
「この二人の伴奏したことあるよ!」
と自慢したら。
「えっ、さっき伴奏したの?あらぁ、写真撮ればよかった…」と。
いやいや、そんな。突然ここで私が飛び入りする訳ないじゃない!ずっと前の話だって!
(そのサプライズ伴奏の話はバックナンバー第176回に)
http://www.kumamoto-bunkanokaze.com/andante/andante18.html#176

ただ、私は二人のステージを観ながらひとつ疑問が湧いてきました。伴奏は二人のトークにあわせてタイミングよくカラオケが流れてくるのですが、その音響の操作をどこで誰がやっているのか?ステージは4本の柱があるだけで四方壁なし。それらしい機械も人も見えません。あたりを見回してみても周囲はお客さんで賑わう店が連なっているだけで、そんな操作をどこかでやってそうな場所もないし。

そんな疑問を抱きながらも、お二人のステージが終わって再び城彩苑の小路をブラブラしていたら。あら、向こうのベンチにさっきのお二人が腰を下ろしてソフトクリームなんぞを食べておられるではありませんか!
「こんにちは!ご無沙汰しています!先程は素敵な歌を聞かせていただいてありがとうございました!」
「あら、こんにちは!ありがとうごございます!」
とご挨拶。
すると矢部さんが
「ひなちゃんも今日は向こうで音響やってますよ!」って。
「えっ、音響って?さっきからどこでやっているのか不思議だったんですよ」
なるほど。聞くとステージの横に周りのお店と同じような江戸風の建物があり、そこの中に音響設備があるらしい。
ひなちゃん、というのは星野ひな子さん。こちらも日本国際童謡館の専属歌手で、実はこれまで何回もロータリークラブの行事で私のピアノとジョイントコンサート(?)をさせていただいた方でした。
さっそく、その建物のところに行ってドアの中を覗いてみると。あはは、大きなPA機械の前にいらっしゃいました。
「こんにちは!お疲れ様です!」
「あらぁ!お久しぶり!どうしたんですか?」
「いえ、いま矢部さんからひな子さんがこちらにいらっしゃると聞いたので」
「そうですか!私も明日はステージで歌うので聴きに来てください!」
「そうですか!出来たらぜひ!」
と言って帰ってきたのですが…。

次の日から、また机の前のスケジュール表にらみながらの毎日で。ごめんなさい。ひな子さんとの約束を果たせなくて、ちょっと心残りの連休になってしまったのでした。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 先週はずっと肌寒くて、「もう5月なのに寒いなぁ」とつぶやいたら、家人から「こういうのを、若葉寒む、って言うよ」と教えてもらいました。なるほど、若葉の頃に寒くなるからかぁ。よく言ったものだ。

なのに。今週はいきなり暑いです!会社の窓を開けていても蒸し暑いっ!空もどんよりしてきたし。これで雨まで降ってきたらなんて言うんだろ?「走り梅雨?」ちょっと早い気もするけど。

 
−an 弾手−


第349回「アナ鼻ピアノ」(その39)鍵盤遊び

[2011.5.17]

 今さら「アナ鼻ピアノ」って言うのも気が引けますがぁ。だいぶ前の第305回に続いて久しぶりのアナ鼻です〜。
難しい曲に挑戦したり、難解なコード理論に頭を絞ってアレンジを考えてみたり、それはそれでやりがいもありますが、たまにはお気軽に、な〜んにも考えずに鍵盤で遊んでみる、というのも楽しいものですね。
今回は、そんな遊びのネタをちょっと書いてみます。大したことでもないので「何を今さら」と思われる方もいらっしゃるかもですが。

(その1)黒鍵弾き
文字通り、黒鍵だけで弾く遊びです。左手も右手も黒鍵だけを適当に弾いていきます。不思議なことに、黒鍵だけ弾いていくと、どんなにむちゃくちゃに適当に弾いてもそれなりに聴こえます。左手と右手も、バランスも何も考えずに適当に弾いてもOKです。もちろん、適当に2音、3音同時に弾いて和音にしてもちゃんとそれなりに響きます。所々で黒鍵だけをグリッサンド(手の爪や指の腹でダァーッと鍵盤を撫で上げたり撫で下げたりする)してもなかなかカッコいいです。鍵盤の左端から右端まで目一杯使って派手に弾くと、ちょっとした前衛音楽っぽい感じになったりしますよ。何かの曲の間で間奏のアドリブ風に使ってみるのもいいかもしれません。

そして、これをひとしきりやったら、最後の落し所として、白鍵を使う通常のKeyにフッと移動すると、その瞬間の転調する感じもなかなかカッコいいです。
例えば、F♯の黒鍵からFとかGのコードに行く、G♯の黒鍵からGのコードに行く、C♯の黒鍵からCのコードに行く、などです。この時はマイナーのコードに進むと変な感じになるので、メジャーのコードに行くのがシックリ来ます。

実はこの黒鍵弾き、ペンタトニックというスケールになっています。主音から数えて4度と7度の音を抜いたスケールで、ドレミで言えばド、レ、ミ、ソ、ラ、という音階ですね。

(その2)全音弾き
こちらは全音だけのスケールを弾く、というもの。たとえば、ドから始めたら
ド、レ、ミ、ファ♯、ソ♯、ラ♯、ド
という音階。
ド♯から始めたら
ド♯、レ♯、ファ、ソ、ラ,シ、ド♯
です。弾き方はこの二つしかないですね。
これはホールトーン・スケールと言われるもので、調性感がなく、フワッと宙に浮いたような独特の雰囲気です。普通の曲の中ではなかなか使うのが難しいですが、コード進行のタラタラアドリブ弾きなんかをやっている時は、途中にちょっとはさむと面白い雰囲気になったりします。このスケールが使われている曲で有名なのは鉄腕アトムのイントロです。未来社会の空間にフワフワッとアトムが浮き上がってくるような雰囲気ですね。

いずれも、難しいことは考えずに、鍵盤を適当に弾くだけでいいので、お気軽に遊べますよ。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 昨日は年1回の定期健康診断でした。採血や胸部レントゲン、身長、体重、体脂肪、血圧、視力、聴力、心電図、眼底検査、腹部超音波、それに胃カメラ…。胃カメラでは注射をされて一瞬で意識が消え、気が付いたら別のベッドに寝ている自分が。何とも不思議なワープ感でした。
とりあえず全ての検査数値が正常らしくひと安心ですが、運動不足はいなめません。冬の寒さで軟弱にも中断していたウォーキング、そろそろ再開しなきゃ。

 
−an 弾手−


第350回「アナ鼻ピアノ」(その40)鍵盤上で感覚的にコードをつくってしまおう


[2011.5.24]

 さてさて、前回は久しぶりの「アナ鼻ピアノ」でしたが。今回はコード・ネームから感覚的にその構成音を見つける方法を書いてみます。大したことではないので分かっている人には退屈な話かも知れません。逆にコードとか鍵盤のC、D、E〜などの呼び方が全然分からない初心者の方には、今回の話は何のことかチンプンカンプンかも。何とも中途半端なコラムになりそうですが、その時はすみません。

よくコードの解説書などを見ると、メジャー・コードはルートに長3度の音と完全5度の音を重ねて〜みたいなことが書いてあったりしますが、もうそれだけで頭が痛くなったりしませんか?あるいは、半音で4つ上がって〜みたいな解説もありますが。これも「えっ?4つ上がって?それで長3度で?〜」みたいに混乱したり、「えっと?いくつ数えるんだったっけ?」って、すぐ忘れたりしそうです。

そこで、とりあえず理屈は置といて、今回は実際に鍵盤上で感覚的にコードをつくってしまおう、という話です 。

@ C(シー・メジャー)はド・ミ・ソである。
まず中央のドの位置から白鍵だけでド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドって弾いてみてくださ
い。そして、その中のド ・ミ・ソだけ弾くとこれでコードCができました。
A Cm(シー・マイナー)はド・ミ♭・ソである。
@ で弾いたド・ミ・ソのミを半音下げて黒鍵(ミ♭)を弾くとCm(シー・マイナー)になり
ます。メジャー・コードとマイナー・コードの違いは、このミの音の半音違いだけです
ね。
以上で基本的なCとCmが弾けました。これが基本です。ただ、コードにはこのメジャーとマイナーの他にも色々な記号がついたものがありますが、この基本からちょっと変化させれば簡単に出来ます。 
B Caug(シー・オーギュメント)はド・ミ・ソのソを半音上げる。
C Csus4(シー・サス・フォー)はド・ミ・ソのミを半音上げる。
D Cdim(シー・ディミニッシュ)はCm(ド・ミ♭・ソ)のソを半音下げてラをプラスする。厳
密に言うと意味合いはちょっと違いますが、これでも実用上は問題ありません。
E C6(シー・シックス)はド・ミ・ソにラをプラスする。
F C7(シー・セブンス)はド・ミ・ソにシ♭をプラスするる。
G CM7(シー・メジャー・セブンス)はド・ミ・ソにシをプラスする。

文字で読むと、何となく分かりにくそうに感じるかも知れませんが、鍵盤上で試してみれば大したこと言っていないことはすぐ分かると思います。
あ、それから(♭5)とか(−5)とか付いていたらド・ミ・ソのソを半音下げる、と思ってください。
実際の演奏ではこれらの構成音の順番を変えたりいくつか省略したりして弾く場合が多いですが、ここでは各コードの成り立ち、という意味で見てください。 
テンション(9とか11とか13とか…)の入ったコードを除けば、以上でほとんどのコードをカバーしています。

あれ、これってCだけなんだけど?他のコードは?って思われるかもですが。実は他のコードもコードの成り立ち、と言う意味では全く同じで、単に平行移動させるだけです。
以下に、その平行移動のやり方を書いてみますね 。

最初に白鍵だけでド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドって弾いてみましたが、ここで例えばレの鍵盤を仮にドと思って、そこからド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドって聴こえるように弾いてみてください。どうですか?ミとシに当たるところをファ♯、ド♯の黒鍵にするとちゃんとド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドって聴こえるでしょ。これは「移動ド」と言われる方法でKey=D(ニ長調)のスケール(音階)を弾いていることになります。これが弾けたら、上に書いたコードCの時と同じにド・ミ・ソを弾くとコードD(ディー・メジャー)になるし、それ以外のコードもミを半音下げたり上げたり、ソを半音上げたり…と同じやり方でD〜(ディー・何ちゃら)というコードが出来ます。

さらに全く同じ方法で最初のミの鍵盤をドと読み替えてド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドって聴こえるように弾くとKey=E(ホ長調)のスケール(音階)を弾いていることになります。その中のド・ミ・ソを弾くとコードE(イー・メジャー)になって…、という訳です。
ここでは説明のためにKeyとかスケールとかの言葉を使っていますが、それより単にどの鍵盤から始めてもド・ミ・ソと聴こえるように、ということさえ出来れば、半音いくつ、とか長3度、とか理屈を考えなくても鍵盤上で感覚的にコードが作れます。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 ここ数日、ジメジメとした天気が続いています。南九州は梅雨入りしたようで、これからしばらくうっとうしい日が続くんでしょうか。
さっき手帳を見たら、夜の街に出かける日が今週は5日、来週も5日になりそう!ま、夜の街と梅雨入りとは関係ありませんが。それでも毎晩傘を持ってのお出かけになりそうなので、ここはひとつ、雨もまた楽しの気持ちで過ごして行かなくっちゃ、ですね

 
−an 弾手−
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