くまもと工芸会館は、熊本市南部の川尻に平成3年7月、熊本市全体の工芸産業の振興発展のためにできた施設です。この工芸会館がある川尻は、今から400年前熊本の城主加藤清正公が、熊本の港町として整備されたところでもあり、日本が近代国家になる前に、地方の士族が反乱を起こした西南戦争の際、西郷隆盛が戦略基地を置いた所でもございます。
 また、このまちは自然に恵まれているところで、湧き水で有名な水前寺・江津湖の水が注がれている加勢川が中央を流れているところでもあります。まちの南側を緑川が流れ、まちの近くで加勢川と合流していたため九州山地の木材がここに集められ、木工業の産地(家具・木船など)として、また刀鍛冶に端を発する川尻刃物の産地として、また20万俵の年貢米の集積地等として、熊本の経済・流通の中心地として栄えたところでございます。
 他にも熊本で一番古い酒や焼酎を造る醸造所のある町で、酒作りの職人や工芸職人をはじめ川魚料理や和菓子など職人の多いまちでもあります。こういうまちに建てられたくまもと工芸会館は、熊本城や水前寺と同じように、熊本全体の伝統的工芸品や現代工芸品を通じて、本市固有の生活文化を見学できたり、工芸品づくり等を体験できる観光施設です。
 会館の1階には、熊本の工芸職人が丹念に製作した逸品の数々と様々な工芸品を購入できる場所のほか、開館日はいつでも職人による工芸製作の実演を見学したり、それぞれが工芸品づくりを楽しめるコーナーも有ります。また、1階奥から大正時代に建てられた酒蔵に行くことができ、タイムスリップした時の流れを実感できますし、ここにしかない酒の試飲や購入もできるようになっています。2階には、各種ものづくりの展示場やグループでものづくりが体験できる工房があり、3階には、和菓子づくりや郷土料理を楽しめる場所もあります。
 毎年開催される夏の風物詩「川尻精霊流し」、流鏑馬に沸く秋の大祭など今も当時を偲ぶ催し、また和菓子とのふれあい工房に始まり酒蔵祭りで終わるイベントなどが開かれる中、蔵づくりの外観を持つ工芸会館は、街に溶け込みながら「KUMAMOTOブランド」をめざし匠の技を活かした生活用品を創り続けております。
 会館で楽しんだ後のおいしい料理や情緒あるまちの散策は殊のほかでございます。
是非一度お出かけください。

くまもと工芸会館
TEL096-358-5711
熊本市南区川尻1-3-58