インタビュー
 今、輝いている熊本ゆかりの舞台芸術家の素顔に迫ります。
 
写真(堀田清) 日本劇作家大会での“収穫”を地域の演劇活動につなげていきたい
劇団「石」代表 堀田清
 
 今年3月に開催された「日本劇作家大会2005熊本大会」に、熊本で演劇をやっている私たちはスタッフとして大会をサポートしました。大変な4日間でしたが、大会を通じて私たちには2つの大きな収穫があったと思います。
 ひとつは他の劇団との親睦を深めることができたことです。これまでは交流したくても、時間が作れずにいたのですが、大会期間中はずっと県立劇場にいて、他の劇団の方たちと一緒に仕事をしたり、空き時間を過ごしたりと長い時間を共有しましたので、今までになかった連帯感が生まれたと思います。
 もうひとつは、期間中に行われたさまざまなイベントで得た経験です。私たちはスタッフとして走り回っていましたから、多くのイベントに参加できたわけではないのですが、リーディングやパフォーマンスなど、演劇の新しい取り組みに出会ったり、著名な劇作家や演出家、俳優さんたちと直接言葉を交わしたことは大変良い刺激になりましたね。
 大会の後も、これらの新しい取り組みを熊本で続けて行きたいという声が地元の演劇人の中で上がり、来年1月から開催される「熊本リージョナルシアター」の関連事業として、リーディングやパフォーマンスのワークショップを10月と12月に実施することになりました。公演を行う劇団だけが参加するのではなく、みんなが参加できるイベントになるといいなと思っています。
 こうした新しい試みをきっかけに、若い人たちが刺激を受けて、熊本の演劇界を引っ張ってくれる原動力になってくれるといいですね。実際に熊本では最近、若い人たちの劇団が増えていますよ。しかも彼らは、脚本まで自分たちで書いていますから立派だと思います。若い人たちのやる気は心強いですね。熊本の劇団はほとんどがアマチュアですから、仕事との両立は大変ですが、背伸びをし過ぎず、地道に長く続けていって欲しいですね。

プロフィール(堀田清)
1950年、生まれも育ちも上益城郡益城町。1970年、NHK放送劇団解散後、舞台公演を目指す劇団「石」を設立。笑いをテーマにモリエールのフランス古典喜劇(ファルス)を中心に活動開始。現在は、さまざまなジャンルの演劇に挑戦中である。代表作はダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」。地域演劇の連携の必要性を感じ、熊本演劇人協議会(会長・渡辺恭士氏)主催の熊本演劇フェスティバルに毎年参加し、今年で34回を迎える。
 
熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.55より

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