平成16年2月1日雑踏に見失ひけり雪女郎(あまの樹懶)
 2月2日 寒い雲がいそぐ(種田山頭火)
 2月3日 年かくすやりてが豆を奪ひけり(高井几董)
 2月4日 一艘の舟出でにけり海は春(あまの樹懶)
 2月5日 空も星もさみどり月夜春めきぬ(渡辺水巴)
 2月6日 こちの梅も隣のうめも咲にけり(与謝蕪村)
 2月7日 衿立てて春まだ浅き風を行く(あまの樹懶)
 2月8日 亡き母の尺古し針供養(松根東洋城)  尺:ものさし
 2月9日 ふるひ寄せて白魚崩れんばかりなり(夏目漱石)
 2月10日 ひとしきり白梅をめで紅梅へ(あまの樹懶)
 2月11日 うすぐもり都のすみれ咲きにけり(室生犀星)
 2月12日 春暁の紫玉菜抱く葉かな(杉田久女) 紫玉菜:むらさきたまな
 2月13日 水草の水の中より下萌ゆる(あまの樹懶)
 2月14日 麦めしにやつるる恋か猫の妻(松尾芭蕉)
 2月15日 春なれや満月上げし大藁家(川端茅舎)
 2月16日 冴返る一息にとはゆかぬもの(あまの樹懶)
 2月17日 雀の子そこのけそこのけ御馬が通る(小林一茶)
 2月18日 海苔粗朶の中を走るや帆掛船(正岡子規)  海苔粗朶:のりそだ
 2月19日 

荒磯へ落ちてみようか藪椿(あまの樹懶)

 2月20日 しをらしや細茎赤きはうれん草(村上鬼城)
 2月21日 飯蛸の飯より多し遊ぶ事(松窓乙ニ)  飯蛸:いいだこ
 2月22日 知らぬこと大海のごと青き踏む(あまの樹懶)
 2月23日 春さめや友をたづぬるおもひあり(良寛)
 2月24日 うすらひやわづかに咲ける芹の花(榎本其角)

 

2月25日

 

字余りは字足らずよりも春愁(あまの樹懶)  春愁:はるうれい 

 2月26日 風わたり泥も乾きて春の草(服部嵐雪) 
 2月27日 ふり向けば灯とぼす関や夕霞(炭太祗)
 2月28日 見回して最後の荷物春の雪(あまの樹懶)
 2月29日 春服や青緑のペン胸にあり(竹下しづの女)