平成16年4月1日山葵田の水音しげき四月かな(渡辺水巴)  山葵田:わさびだ
 4月2日 二番目の風が好きたんぽぽの絮(あまの樹懶)  絮:わた
 4月3日 窓あけて窓いつぱいの春(種田山頭火)
 4月4日 清明や翠微に岐る駅路(松瀬青々)  駅路:うまやみち
 4月5日 初蝶の空とは草の高さかな(あまの樹懶)
 4月6日 佐保姫の眠や谷の水の音(松根東洋城)
 4月7日 風に落つ楊貴妃桜房のまま(杉田久女)  楊貴妃桜:ようきひざくら
 4月8日 一島の水平線までフリージヤ(あまの樹懶) 
 4月9日 てふてふひらひらいらかをこえた(種田山頭火)
 4月10日 物草の太郎の上や揚雲雀(夏目漱石)  物草:ものぐさ
 4月11日 素直なることを愛してチューリップ(あまの樹懶)
 4月12日 ものひとついはで胡蝶の春くれぬ(加賀千代女)
 4月13日 我と来てあそべや親のない雀(小林一茶)
 4月14日 パレットにパンジーの花ひねり出す(あまの樹懶) 
 4月15日 一日物云はず蝶の影さす(尾崎放哉) 
 4月16日 目つぶりて春の耳噛む処女同志(高篤三)
 4月17日 口中に苺大福広がりぬ(あまの樹懶)  苺:いちご 
 4月18日 故郷はいとこの多し桃の花(正岡子規)
 4月19日 いざ竹の秋風聞かむ相国寺(安井大江丸) 
 4月20日 届きけり早や恒例の白子干(あまの樹懶)  白子干:しらすぼし
 4月21日 山吹や葉に花に葉に花に葉に(炭太祗)  山吹:やまぶき 
 4月22日 おそはるの雀のあたま焦げにけり(室生犀星)
 4月23日 すかんぽや兄の背中を追ひし頃(あまの樹懶)
 4月24日 世捨人目刺焼く瓦斯ひねりたる(川端茅舎)  瓦斯:がす
 4月25日 陽炎や名もしらぬ虫の白き飛(与謝蕪村) 飛:とぶ
 4月26日 花菖蒲むらさき加速しつつあり(あまの樹懶)
 4月27日 五六本よりてしだるる柳かな(向井去来)
 4月28日 庭芝に小みちまはりぬ花つつじ(芥川龍之介)
 4月29日 万緑を渡す大橋ありにけり(あまの樹懶)  万緑:ばんりょく
 4月30日 人入つて門のこりたる暮春かな(芝不器男)