私と県劇 思い出のステージ
Vol.
 
日本舞踊家 藤間 富士齋
日本舞踊家 藤間 富士齋

 開館記念の柿(こけら)落としで踊ったことがまず印象に残っています。それまで熊本のホールには壁についている仮花道しかなかったんです。それでは踊る時に持っているものが壁にあたってとても大変です。長刀なんて振り回せないし、日舞の衣裳を着て入れ替わることも困難です。ですから、本花道のある熊本県立劇場ができた時はすごく嬉しくて、柿落としはぜひそれを使った舞台にしようと思いました。柿落としでは昔からのしきたりで『三番叟』を上演します。私の使命と思って『三番叟(さんばそう)』を含めた舞踊公演を考え、昭和57年12月、この劇場の本花道をお客様にお披露目しました。
私が理事長を務めております日本舞踊協会では5年に一度の記念公演は必ず熊本県立劇場を使わせていただきます。「あそこはホンハナがあるから」と言ってみんな本花道を使う普段踊れないような演目を選んでいます。本花道は伝統芸能の醍醐味です。演者の表情や汗が目の前で見られるのでお客様にも大変喜ばれます。歌舞伎の方も「ここでは本式にやれるね」と、よく言われます。今でも熊本で本花道があるのは熊本県立劇場と八千代座だけです。
平成11年10月には『21世紀へのおくりもの1999そして明日へ…』という『くまもと未来国体』記念公演で熊本バレエ研究所の伴征子先生とご一緒に『ボレロ』を上演しました。福田隆さんが指揮をされ熊本ユースシンフォニーの演奏です。リノリウムを敷いた床は日本舞踊で裾を引いて踊るには大変でしたが、今までにないとても斬新な舞台だと高く評価されました。そういった現代的な舞台から本格的な古典まで上演できるというのはここの演劇ホールならではですね。

   

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.126より

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