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熊本で音楽や演劇・舞踊などに携わるものには、発表の場であるホールへの飢餓状態が続いていた1968年、私たちの悲願として「熊本市民会館」が誕生しました。
この熊本市民会館は、私が熊本バレエ研究所三代目教師となって初めての発表会「サマーバレエコンサート」を始めて以来今日まで、たくさんの研究生たちの大切な「ゆりかご」的存在です。
一方「熊本県立劇場」は、音楽と演劇それぞれの専用ホールを有し、それはもう私たちの待望の、憧れの、理想の劇場。オープン直前、演劇ホールの素舞台に案内してもらったことがありますが、ホールの真新しい匂いを嗅ぎながら客席を見渡し、これまで味わったことのない創造空間に感激し、このすごい器に何を、どう盛り付けるかと“武者ぶるい”したことを憶えています。
熊本バレエ劇場の名を冠した「くるみ割り人形」の舞台装置は、妹尾河童さんデザインにより1982年に、もちろん待望の劇場である熊本県立劇場のサイズで作りました。30年後の今でも、毎回「あーしたい、こうしたい」と試行錯誤の連続で、舞台装置も進化中です。
5年前、この装置一式が上野の東京文化会館の舞台を飾ったことがあります。晴れの舞台でどういうお役目をはたすのか、期待と不安とでイッパイでした。しかし舞台が進行していくうちになんだか違った舞台装置を見ているようで落ち着きません。思えば当然のこと、「舞台は生き物」なのです。やはり熊本のスタッフの皆さんの愛情が注がれている「くるみ割り人形」は、なかなかのものです。「本場はやはり、ここ県立劇場!」これも私の誇りです。
11月20日、「熊本のくるみ」の本場熊本県立劇場で、バレエと音楽を志す若者たちがたっぷりと青春を謳いあげます。「いつも新鮮!」を願って、今年も期待と不安で開幕を待ちます。
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