県劇人
Vol.17 
藤本 祐治/ふじもと ゆうじ
熊本県能楽協議会事務局長
 スポットライトを浴びる主役の陰で、舞台袖や楽屋を走り回るスタッフたち。これらの人々にスポットを当て、舞台づくりの魅力や苦心談などを連載しています。

藤本 祐治(熊本県能楽協議会事務局長)
第50回熊本県芸術文化祭のオープニングステージで上演される「熊本能―清正―」。県内四流派が総力を結集して挑むこのステージについて、熊本県能楽協議会の事務局としてとりまとめる金春流の藤本さんにお話をうかがいました。

熊本県は、加藤家、細川家の時代から能楽の盛んな土地柄だったと聞いていますが、現在の熊本県における能楽人口はどれくらいでしょうか?
 熊本県能楽協議会のメンバー以外の方々も含めて、何らかの形で自ら関わっている方は500人くらいだと思います

今回の「熊本能―清正―」では流派を超えて同じ番組を演じられますが、これは全国的にみて珍しいことですか?
 珍しいと思います。熊本でも、昭和20年頃までは神事奉納の際に、金春流と喜多流がシテとワキを合同で演じたこともまれにはありましたが、最近ではほとんどありません。

今回の合同公演で一番苦労されているのはどういったことですか?
 熊本県能楽協議会の会長は喜多流の狩野e鵬先生ですが、お忙しくて不在のことが多いので先生の代行業務がいろいろあります。ただ、神事奉納でいつも一緒にやっていますし、気心も知れているのでそれほど苦労とは思いません。熊本の能は歴史があるのでやりやすいですね。

今回の公演の見どころは?
 新作能ということと、喜多流シテ方の友枝昭世先生、金春流シテ方の櫻間右陣先生、それに狩野e鵬先生という、全国的にも実現できないような豪華なメンバーによるシテ方の絡みが一番の見所でしょう。特に、友枝先生は7月に重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定が文化審議会から答申されました。これも大きな話題になることと思います。

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.89より

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