私と県劇
平成24年、開館30周年を迎える熊本県立劇場。
節目となる30周年に向けて県劇で上演された思い出の舞台を、
熊本を拠点に活躍されている様々な舞台芸術関係の方に
振り返っていただきます。
熊本県文化協会常任顧問 大江 捷也
Vol. 13
熊本県文化協会常任顧問
大江 捷也

 熊本縁の人間国宝櫻間道雄さんを招いてのこけら落としから30年。平均すると月に5回以上は通っているので、およそ1,800回も通ったことになる。地元版こけら落としの制作を委ねられたのを皮切りに、随分と多く制作にも関与してきた。新人演奏会も実行委員長時代に、「デビューは最高の舞台で」と、県劇に移させてもらった。能の「清正」やオペラの「南風吹けば楠若葉」「潟切りの頌唄」などの私の作品も舞台にのせていただいた。県劇で成長した自分を発見するのは日常的。
 印象に残った作品を挙げろと言われても、そのあまりの多さに途惑わざるを得ない。
 マリインスキー歌劇場管弦楽団。福岡でも公演されているのに、音響効果がいいからと熊本までわざわざ足を運ぶ人も多いと聞く。野坂・沢井氏の二人のマエストロの箏曲コンサートの終演後の交流会では、広島以西の全部の県からの鑑賞者と触れあうことができた。「こんな素晴らしい劇場で、こんな素晴らしいお客様に聴いていただいて」と二人のマエストロは口を揃えた。熊本バレエ劇場の「くるみ割り人形」にはこの数年、首都圏からのツアーが組まれている。素晴らしいものが上演されると遠くからも足を運んでくれる。芸文祭オープニング事業の「白鳥の湖」では、プロが何回も使用した舞台装置が熊本で初めて生命を与えられたとの管理者の言。「清正」もNHKが全国放映してくれた。東京では作れない「青柳」をぜひ東京でと、新宿区が主催してくれる。例を挙げればきりがない。
 熊本人が驚くほど、熊本の文化と県劇に対する評価は高い。それもこれも県劇の歴史の積み重ね。県劇が国際的に高く評価される創造の発信源としてのさらなる飛躍を願う。

 

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.133より

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