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東京で過ごした学生時代は食費を削りバイト代を全てつぎ込んで、音楽鑑賞三昧の生活。21歳で熊本に戻ったころに県劇が誕生し、地方でもクラシックに触れられると大興奮しました。
私は成人式の時に「25歳になったら自分で事業を立ち上げる」と決めていました。そこで25歳の時、県立劇場という素晴らしいホールで大好きな音楽を熊本の人にも聴いてほしいと、コンサートやオペラ、バレエ公演を主催する「オフィス・ムジカ」を立ち上げたのです。県劇がなければ、オフィス・ムジカは生まれる事無く、全く違う仕事をしていたでしょう。
以来26年間、これまでに150回近く利用させてもらった県劇は、第二の職場のような感覚です。
“一流の演奏を、一流のホールで”と、会場は県劇で無くてはと、こだわって使わせていただいて来ました。
20世紀最高のピアニストの一人であるリヒテルの演奏や、小澤征爾、ケント・ナガノといった名指揮者の公演、シルヴィ・ギエムのステージなど、挙げたらきりがありませんが、1995年にシャルル・デュトワ率いるモントリオール交響楽団を招いた時のアンコール曲、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」はとにかく素晴らしかった。公演中は裏方で駆け回っていて、ステージを楽しむことはなかなかできませんが、この時ばかりはこの1曲を聴きたくて客席に入りました。最後方に立って、しばし主催者であることを忘れて音楽の喜びに浸りました。
県劇が30年間、熊本の文化発信拠点として歩み続けて来られたのは、素晴らしい施設と、それを運営する財団スタッフの皆さんの両輪があったからこそ。この間、財団には意欲的な若手スタッフが育たれ、これからの更なる発展を期待しています。
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