県劇人
Vol.11

 スポットライトを浴びる主役の影で、舞台を支えるスタッフや名脇役、そして仕掛け人。
 楽屋や舞台袖を縦横無尽に走り回るこれらの人々にスポットを当て、舞台づくりの魅力や苦心談などを連載します。

吉本政弘((有)吉本美術 代表取締役)
熊本県内で舞台に関わっている人なら、ホールの舞台付近で必ず一度は見かけるのが、熊本の舞台美術、大道具製作において無くてはならない吉本政弘さんです。県立劇場の今年度の自主文化事業においても、オペラ「南風吹けば楠若葉」、清和文楽「阿蘇の鼎灯」など、多くの公演で舞台美術を担当していただいた吉本さんにお話しを伺いました。

この仕事に関わるようになったきっかけは?
 父が戦前から福岡でこの仕事に携わり、熊本に帰って来てからも練兵町にあった歌舞伎座(昭和37年閉館)で舞台の仕事をしていたことから、高校を卒業するとすぐにこの仕事に就きました。

デザインしたり製作したりするうえで、気をつけているところは?
 演出家の意図に沿ってデザインしていきますが、美術だけが際立って、人の動きを邪魔することにならないような色使いを考えています。そして何より、役者がセットを見てやる気を起こしてくれることを心がけています。

今年度も、オペラ、文楽、演劇など様々な自主文化事業で舞台美術を担当していただきましたが、最も苦労した事業は?
 公演によって苦労の中身が違いますが、毎回苦労しています。最初に、仕事を依頼されると頑張らなければと思い、次に、稽古を見ると楽しくなりますが、本番近くになると、毎回プレッシャーで押しつぶされそうになります。

この仕事をやっていて良かったと思う時は?
 公演が終わった後、みなさんから「(舞台が)良かった」と言っていただいた時ですね。

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.83より

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